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再結成の噂は本当だった。‘90年代の音楽シーンの話題を独占した伝説的ユニット“グルーヴ・セオリー”が遂に復活、ブルーノート東京に出演する! 同ユニットはシンガー・ソングライターのアメル・ラリューとプロデューサー/ラッパー/俳優のブライス・ウィルソンによって結成され、’95年に発表されたデビュー・シングル「テル・ミー」はヒット・チャートの5位まで上昇。2000年にアメールが脱退するまで、R&B〜ヒップ・ホップ界を牽引し続けた。今回は6人編成のバンドによる公演で、往年のヒット曲と共に、数多くの新曲も披露される予定。単なる再結成の枠を超えた現在進行形のグルーヴ・セオリーの世界を、ステージと一体になって体感したい。
GROOVE THEORY featuring AMEL LARRIEUX & BRYCE WILSON
グルーヴ・セオリー・フィーチャリング・アメル・ラリュー & ブライス・ウィルソン
2010 10.3sun.-10.7thu.
10.3sun.
[1st] Open4:30p.m. Start6:00p.m.
[2nd] Open8:00p.m. Start8:45p.m.
10.4mon.-10.7thu.
[1st] Open5:30p.m. Start7:00p.m.
[2nd] Open8:45p.m. Start9:30p.m.
Amel Larrieux(vo)
アメル・ラリュー(ヴォーカル)
Bryce Wilson(producer,mc)
ブライス・ウィルソン(プロデューサー、MC)
Bahnamous Bowie(key)
バーナマウス・ボウイ(キーボード)
Jeffrey Connor (b)
ジェフリー・コナー(ベース)
Adrian Harpham(ds)
エイドリアン・ハーファム(ドラムス)
¥8,400(税込)
今年前半、R&Bファンの間を駆け巡ったグルーヴ・セオリー再結成のニュース。遂にそれが、初の来日公演という形で現実のものとなった。
'95年に発表したデビュー・シングル「Tell Me」が全米R&Bチャート3位/ポップ・チャート5位を記録し、日本でも人気を集めた伝説の男女R&Bユニット。アルバム一枚でコンビを解消したオリジナル・メンバーのブライス・ウィルソンとアメール・ラリューが約10年ぶりに再会、その再結成ライヴをブルーノート東京から始めるという。
グルーヴ・セオリーは、プロデューサー/MC/俳優のブライス・ウィルソンと、後に“ネオ・ソウルの歌姫”として人気を集めるシンガー・ソングライターのアメール・ラリューというNY出身のふたりによって'90年代初頭に結成。ブライス・ウィルソンは、エレクトロ・ファンク/ヒップホップの名グループとして知られるマントロニクスの後期メンバーとして活躍し、グルーヴ・セオリー結成後は、その活動と並行してトニ・ブラクストンやメアリー・J・ブライジのプロデュースに関わり、以後もビヨンセやエイメリーらに楽曲を提供してきた奇才である。
一方のアメールは、NYウェストヴィレッジの“アート”な環境の中で育ち、フィラデルフィアの舞台芸術高校に通うなどした後、グルーヴ・セオリーに参加。同時に、高校時代から付き合いのあったザ・ルーツの『Illadelph Halflife』('96年)に客演したり、シャーデーのバック・バンドからなるスウィートバックの『Sweetback』('96年)に収録された“You Will Rise”でリードを取るなど、課外活動もこなした。そして'98年からはソロ活動を始め、2000年に『Infinite Possibilities』でアルバム・デビュー。以降、計4枚のソロ・アルバムを発表し、客演も、グールーのジャズマタズ、ソウライヴ、スタンリー・クラーク、日本のモンド・グロッソなど幅広くこなし、澄んだ美声を様々なリスナーのもとに届けた。宇多田ヒカルがその歌唱を手本にしたというのも有名な話だろう。
こうしたふたりの異なる個性が化学反応を起こし、ヒップホップ・ソウル以後/ネオ・ソウル前夜という時代の中で、それらの折衷的なサウンドを提示したのがグルーヴ・セオリーというユニットだった。ヒップホップをベースにしたブライスの高品質なビートと、涼しげでありながらエモーショナルなアメールのヴォーカル。デビュー作『Groove Theory』('95年)に収録された、時にヨーロピアンなクラブ感覚も滲ませたハイ・センスな楽曲群は、このふたりだからこそ生まれたと言っていい。切なくキャッチーなメロディ・ラインが胸を掴む「Tell Me」におけるヒップホップ・ソウル的なアプローチ。アイズレー・ブラザーズ版の“Hello It's Me”(原曲はトッド・ラングレン)をカヴァーするクラシック・ソウルへのこだわり。振り返れば彼らは、メアリー・J・ブライジから始まったヒップホップ・ソウルと、その後ディアンジェロやエリカ・バドゥ、マクスウェル、エリック・ベネイらの登場によってブームとなるニュー・クラシック・ソウルの橋渡し的な役目を果たしたユニットだったのだ。
アルバム発表後は2枚のサウンドトラックに楽曲を提供するも、方向性の違いからコンビを解消。その後ブライスはマケダ・デイヴィスという女性とともに新生グルーヴ・セオリーを立ち上げてシングルを発表したが、アルバムのリリースは立ち消えとなってしまった。やはり、グルーヴ・セオリーにはアメールが必要だったのだろう。
そこで今回の再結成、そして初の来日公演である。アメールとブライスを中心に7人編成のバンドで行われるというステージでは、「Tell Me」をはじめとする往年のヒット曲とともに、現在制作中という再結成アルバムからの新曲も披露される予定。再スタートを切り、R&Bの新たなる地平を目指すグルーヴ・セオリーの〈ニュー・グルーヴ〉を全身で受け止めたい。