BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , BASIA - - report : BASIA

2009/10/17

バーシア-BASIA
バーシア-BASIA


公演リポート : BASIA


どうしてこんなに伸びのある声が出せるのだろう。どうしてこんなに切ないメロディが書けるのだろう。そう思いながら、ぼくはただステージに聴き入るだけでした。
待ちに待ったバーシアのブルーノート東京初公演。それは、とんでもなく充実した内容です。

会場に入ったぼくは、まず楽器編成に驚かされました。ドラムスがないのです。そのぶん、アコースティック・ギターの響きが際立ち、パーカッションの軽やかなサウンドが空間を埋めてゆきます。バーシアのパートナー(彼女はコラボレイターと呼んでいました)、ダニー・ホワイトのピアノやキーボードが、いかに細やかにヴォーカルに対応しているかも、クッキリ聴き取れます。もちろんバーシアの歌声も素晴らしいものでした。もともと声量の豊かなことで知られる彼女ですが、ドラムスがいないということもあるのでしょうか、どちらかというと近くの人に話しかけるように殆どのパートを歌い、ここぞというところでヴォリュームをアップします。そのメリハリ、コントラストがたまりません。バック・コーラスを務めた姉妹、アニック・クラリスとヴェロニク・クラリスとの息もピッタリで、高度なハーモニー(ドミソとかレファラではない)をガッチリ決めてくれました。

演目は、まさにオール・アバウト・バーシアというべきもの。「BABY YOU'RE MINE」、もちろん歌ってくれます。「HALF A MINUTE」、当然とりあげます。「DRUNK ON LOVE」、歌うに決まってるじゃないですか。ぼくが見たセットではアストラッド・ジルベルトに捧げた自作や、アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲「三月の雨」のカヴァーも聴かせてくれました。

バーシアの名前を聞くと、反射的に「’80年代のスター」というフレーズが思い浮かぶ方も数多くいらっしゃることでしょう。ですが、今のバーシアの歌は、かつて以上に「おいしい」です。’80年代がそのまま10代だったぼくは、心からそう思いつつライヴを堪能しました。2009年現在のバーシアの世界を、ぜひ間近でどうぞ!
(原田 2009/10/17)


● 10/15sun - 19mon
BASIA


バーシア-BASIA