'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JOE SAMPLE - - report : JOE SAM...
2009/11/02
公演初日リポート:JOE SAMPLE TRIO
なんて力強いタッチだろう!
最初の1音を聴いただけで、ぼくはそう叫びたくなりました。
実をいうと、ぼくがジョー・サンプルのアコースティック・ピアノを至近距離で堪能したのは今回が初めてです。前回、クルセイダーズで「ブルーノート東京」に出演したときは、主にエレクトリック・ピアノを弾いていました。ぼくは25年来の彼のファンなので、ホール公演や野外フェスティヴァルでもアコースティック・ピアノの演奏を聴いたことはあります。しかし、なんというのでしょう、近くで味わうサンプルのアコースティック・ピアノは生々しさが段違いなのです。あまりにも響きが雄大で、彼が鍵盤を押さえるごとに楽器がグラグラと揺れるかのようです。
今回の公演は、サンプルのアコースティック・ピアノの魅力を味わうにはこれ以上ないセッティングといえましょう。ニューオリンズ・ファンクの名ドラマー、ジョニー・ヴィダコヴィッチ(彼の略歴については、以前の「Bloggin’ BNT」をご参照ください)が背後で力強いビートを送り出し、サンプルのプレイがどんどん白熱していきます。それが手に取るようにわかるのも、クラブ公演の醍醐味です。
とにかくジョニーはドラムスを叩いているときの姿勢が美しい。だからこそ、あんなに滑らかなドラム・ロールやタム回しができるのでしょう。スティックを持ったときの左手中指と薬指の巧みなコントロールにも舌を巻きました。ソリストの音を聴いて即座に反応し、演奏の沸点を高めていく・・・・この日のピアノとドラムスのやりとりは、飛び切りのウィットに富んだ会話のようでした。
レパートリーは、サンプルのこれまでの多彩な音楽人生をそのまま反映したかのようなもの。ジャズ・クルセイダーズ時代の「FREEDOM SOUND」のような約半世紀前のナンバーから、クルセイダーズ‘79年のメガ・ヒット「STREET LIFE」、名盤として知られるソロ・アルバム『RAINBOW SEEKER』からの「MELODIES OF LOVE」、自身の出自について触れた(と同時に、ルイ・アームストロングへのトリビュートでもある)「SOULY CREOLE」、ジョニーのセカンド・ライン風リズムをフィーチャーした「HIPPING THE HOP」などなどを、ときにユーモラスなMCをはさみながら、次から次へと聴かせてくれました。
果たして今日はどんな曲が飛び出すでしょうか? テキサス人ピアニストとニューオリンズ・ドラマーの対話をお楽しみに!
(原田 2009 / 11/1)
● 11/1sun.-11/5thu.
JOE SAMPLE TRIO