'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , ROBERT CRAY - - report : ROBERT ...
2010/04/13
- report : ROBERT CRAY
ロバート・クレイ・バンドをクラブで、しかも約1週間にわたって聴ける!
たいへんな快挙です。昨年は野外フェスティヴァルのために来日し、素晴らしいパフォーマンスでファンを沸かせたそうですが、今、それが至近距離で体験できるのです。ニュアンスに富んだ絶品のギター・プレイ、熱いヴォーカルにぼくは、全身で浸りました。
MC第一声でクレイは‘We are the Robert Cray Band!’ といいました。ここにもぼくは感銘を受けました。自分ひとりがスターで他のミュージシャンは入れ替え可能な伴奏者、という認識ではなく、あくまで4人揃ってひとつのユニットなのだ、ということなのでしょう。クレイは何度も各ミュージシャンの名前を紹介し、曲が終わると彼らと打ち合わせて次の曲を決めるシーンもありました。メンバー全員が互いを信頼し、心の底から音楽に興じている様子が、ありありと伝わってきます。
ロバート・クレイ=ブルースという公式は不動のものです。しかし彼がブルースに魅了されたきっかけは、それまでのブルースマンとは違います。1953年生まれの彼はビートルズに感銘を受け、ジミ・ヘンドリックスに触発され、そのルーツをたどっていくうちにブルースへ深入りしました。ビートルズとジミには、「ブルースから影響を受けている」というほかに「自分でつくった歌を自分で歌う」という共通点もあります。クレイが歩んできた道はまさにそれ、いいかたをかえれば彼は「ブルース畑を中心に活動を続けているシンガー・ソングライター」であるのです。
ぼくが見た初日ファースト・セットのプログラムは基本的に新曲中心でしたが、その間にアルバート・キングを魅了した「PHONE BOOTH」、エリック・クラプトンもとりあげた「BAD INFLUENCE」など、いまや古典的となったナンバーを巧みに挟み込みます。もちろん、100万枚を売りあげた大ヒット曲「SMOKING GUN」も聴かせてくれました。R&B、ファンク、ゴスペル等の影響を感じさせる曲作り、火を噴くようなギター、そして力強いヴォーカル。そのすべてが一体となった“ロバート・クレイの世界”に、心底酔いしれました。
ぼくがクレイを初めて聴いたのは‘80年代のことでした。そのときは「ずいぶんスマートなブルースマンが登場したなあ」と思ったものですが、いまクレイの音楽をじかに浴びると、「こんなにゴツく、逞しく、熱い音楽は久しぶりだなあ」と感じるのですから不思議なものです。それだけ世の中がヤワになってきたということなのかもしれません
が、とにかくロバート・クレイ・バンドは今も旬です。17日までの公演中、ひとりでも多くの方に、このガッツあふれるサウンドを体験していただきたいと思います。
(原田 2010/4/12)
● 4.12mon.-4.17sat. (4.14wed.OFF)
ROBERT CRAY