'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , RONNIE CUBER - - report : RONNIE ...
2010/07/22
公演初日リポート:RONNIE CUBER'S B-3 BAND
バリトン・サックスはビッグ・バンドに欠かすことのできない楽器です。
だいたいステージでは向かって右手前方、サックス・セクションのいちばん右側にいるのがバリトン・サックス奏者です。決して目立つパートは与えられていませんが、バリトンが重厚な低音でハーモニーを支えると、そのアンサンブルは輝きを増します。
そんな“縁の下の力持ち”であるバリトン・サックスの、さまざまな持ち味を味わわせてくれるのがロニー・キューバーです。彼のプレイを聴くと、この大きな楽器が実はどれほど魅力的なソロ楽器であるか、華やかな存在でもあるかがわかっていただけることでしょう。
キューバーは過去何度もブルーノート東京に登場しています。ビッグ・バンドの一員としてやってきたこともありますし、2008年にはスティーヴ・ガッドのバンドで出演して大好評を博しました。ガッドのバンドはドラムス、ギター、オルガン、そしてバリトン・サックスという編成でしたが、今回のロニー・キューバーズ・B-3バンドの楽器構成もそれと同じです。ガッド公演にいらっしゃった皆様なら、100%以上満足できるセッティング、プログラムだと思います。
今回のサポート・メンバーは、いずれもソウル・ジャズ界で名を轟かせる面々です。ギターのエド・チェリーはディジー・ガレスピーのバンド出身、伝説のオルガン奏者ジョン・パットンと長く演奏していました。ドラムスのグレッグ・バンディも数多くのオルガン奏者から愛されており、ファラオ・サンダース、ジョー・ヘンダーソン等、サックス奏者との共演でも知られています。オルガンのダニー・ミクソンは、’70年代にチャールズ・ミンガスのバンドでピアノを弾いていました。ほかにR&Bグループ、パティ・ラベル&ブルーベルズの伴奏や、サックス奏者ハンク・クロフォード(デヴィッド・サンボーンに絶大な影響を与えた)等のサポートもこなしています。今回はハモンド・オルガンの名器B-3に専念し、グルーヴ感そのもののソロとバッキングを聴かせてくれました。
以上のツワモノ3人をバックにしたキューバーは、大きなバリトン・サックスを自由自在にあやつり、あるときは軽やかに、またあるときは重低音を響かせてファンを圧倒します。楽器編成から全曲ソウル・ジャズ〜ブルース系のナンバーになるのかなあ、と予測していたのですが、実際のところはファンキー・ナンバーだけではなく、ジャズ・スタンダード、バラード、そして「枯葉」こと「AUTUMN LEAVES」も織り交ぜた、とてもバラエティに富んだものでした。
公演は23日まで続きます。入れ替えなしの1日1ステージ。心ゆくまで、バリトン・サックスの醍醐味をどうぞ!
(原田 2010/7/22)
● 7.21wed.-7.23fri.
RONNIE CUBER'S B-3 BAND