BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , TONY DESARE - - report : TONY DE...

2010/08/06

TONY DESARE - トニー・デセール
TONY DESARE - トニー・デセール


公演リポート:TONY DESARE


伸び盛りのエンターテイナー、トニー・デセールの技のすべてを味わった!
そうビックリマークつきで書きたくなるほど、爽快で満腹感溢れるステージで、トニーはファンをもてなしてくれました。

オープニングではまず、ギターのエド・デッカーとベースのスティーヴ・ドイルが登場。二人が小気味よいビートを刻む中、颯爽とトニーが登場します。CDジャケットをごらんになればわかるように、貴公子然としたルックスの持ち主であるトニーですが、間近で見ると、彼が決して近寄りがたい2枚目ではないことがわかります。ハンサムなのに、なんともいえない「親しみやすさ」があるのです。
さっそくピアノを弾きながら歌うのだろうと思ったら、そのままマイクを握って立って歌い始めました。うっすら目を閉じながら、歌詞にあわせて左手を動かします。そこには、たった数小節で、すっかり歌の主人公になりきっているトニーがいました。

続いてトニーはピアノの椅子に座ります。あとはもう、トニー・デセール・トリオの妙技に酔いしれるのみです。ピアノ、ギター、ベースのトリオは古くから弾き語りピアニストにとって“黄金のメニュー”でした。その開祖というべきナット・キング・コールを筆頭に、バディ・グレコ、ペイジ・キャヴァノー、チャールズ・ブラウンなど多くの巨星が、ギターとベースをバックにピアノで弾き語りました。そんな由緒正しいフォーマットを現代に継承し、サムシング・ニューを付け加えようとしているところもトニー・トリオの魅力です。

彼らのプログラムは本当に多彩です。「NICE WORK IF YOU CAN GET IT」、「JUST IN TIME」のようなスタンダード・ナンバーはいうまでもなく、プリンスの「KISS」をジャジーに聴かせ、「AUTUMN LEAVES」ではソロ・ピアノで唸らせ、キング・コールの当たり曲「SWEET LORRAINE」はなんと、ベースとヴォーカルのデュオで披露。もちろん自作の曲も聴かせてくれましたが、ヴァースから歌われる「A LITTLE BIT CLOSER」ときたら、まるで40年代のミュージカル映画のラヴ・シーンに出てきそうなメロディアスなバラードで、あらためてトニーがいかにアメリカン・エンタテインメントの歴史に愛情を持って接しているかが伝わってくるようでした。最後にはチャック・ベリーのロックンロール「JOHNNY B. GOODE」を、まるでドクター・ジョンか?と思えるようなニューオリンズR&Bスタイルで楽しませてくれました。

すでに3枚のアルバムを米国のジャズ・チャートに送り込んでいるトニーですが、今後、彼はさらに、数え切れないほどの名誉と賞賛を手にすることでしょう。公演は本日までです。ワン・ショウでたっぷり楽しめます。ぜひどうぞ!
(原田 2010/8/7)



  
●8.5thu.-8.7sat.
TONY DESARE

トニー・デセール - TONY DESARE