BlueNote TOKYO

NICOLA CONTE JAZZ COMBO - - report : NICOLA ...

2010/11/23

ニコラ・コンテ - NICOLA CONTE
ニコラ・コンテ - NICOLA CONTE


公演初日リポート:NICOLA CONTE JAZZ COMBO
featuring Nailah Porter, Flavio Boltro, Gaetano Partipilo, Pietro Lussu, Paolo Benedettini & Andrea Nunzi

プロデューサー、リミキサー、DJ等、多方面で活躍を続けるニコラ・コンテ。彼がいちミュージシャンとして、ステージで演奏する貴重な姿を拝めるのが、今おこなわれているブルーノート東京公演です。

リーダーを除く男性メンバー全員、スーツにネクタイという恰好。しかしニコラだけがノーネクタイで、ネッカチーフを巻いています。さすが伊達男、ファッション面でも期待を裏切りません。ステージのやや左で、ストゥールに腰掛けながらギターをつまびく彼の姿には、“リアルタイムで仲間と共に、音楽を創造する喜び”が満ち溢れているかのようです。

ニコラはいつも凄腕メンバーを連れてきてくれますが、今回もトランペット奏者のフラヴィオ・ボルトロを始めとする第一級の面々が揃っています。ぼくが初めてボルトロの演奏をCDで聴いたのは1990年代の初めでしょうか。その頃から音色、フレーズともに傑出していましたが、近年の彼はそこにほどよい円熟味が加わり、“脂の乗った”という言葉がぴったりの境地に達しています。彼の次の世代にあたるファブリッツィオ・ボッソの躍進も、ボルトロにいい刺激を与えているのかもしれません。

そのボルトロが会心のソロを聴かせるオープニング曲「MOORS」で、ライヴの幕は開きました。マイルス・デイヴィスの「SO WHAT」やジョン・コルトレーンで有名な「IMPRESSIONS」に通じる、モード・ジャズ草創期のサウンドをしのばせるナンバーです。

2曲目の「MAIDEN VOYAGE」からは、ヴォーカリストのナイラ・ポーターが大きくフィーチャーされます。どこかカサンドラ・ウィルソンに通じる、低く丸みのある声の持ち主です。彼女はこの後、1曲としてステージを離れることなく、マックス・ローチ&アビー・リンカーンの「FREEDOM DAY」、カル・マッセイ(キャル・マシー)の「QUIET DAWN」など、他のミュージシャンが殆どカヴァーしない曲を交えながら、アンコールの「CARAVAN」まで、歌いきりました。

ナイラの存在が注目され始めたのは2009年ぐらいからなので、まだまだ新人と言っていいと思います。この夜、ブルーノート東京にいらしたお客さんのなかにも彼女の歌を初めて生で聴いた方は多かったことでしょう(ぼくもそうです)。しかし、ライヴが終わるころには、どのファンの心にもナイラの存在感が深く刻まれたはずです。

ライブ前のDJセットで盛り上げてくれるのは、日本が世界に誇るレコード番長・須永辰緒。昨日は、ストレート・アヘッドなジャズ中心の選曲で会場をあたためてくれました。残り2日の登場ではどのような選曲で楽しませてくれるか、注目です。本日のみ、がらりと変わって沖野修也の登場(この2人のどちらかが DJ で、とニコラからの指名だったらしいです)というのも、また目が離せません。
(原田 2010 11.22)

● 11.22mon.-11.25thu.
NICOLA CONTE JAZZ COMBO
featuring Nailah Porter, Flavio Boltro, Gaetano Partipilo, Pietro Lussu, Paolo Benedettini & Andrea Nunzi

NICOLA CONTE - ニコラ・コンテ