BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , BILLY WOOTEN , SPEEDOMETER - - report : SPEEDOM...

2011/02/24

スピードメーター - SPEEDOMETER
スピードメーター - SPEEDOMETER


公演初日リポート:SPEEDOMETER featuring BILLY WOOTEN @Nagoya Blue Note



2月24日、「名古屋ブルーノート」に行ってきました。スピードメーター・フィーチャリング・ビリー・ウッテンの公演を聴くためです。

彼らは昨日(26日)「モーション・ブルー・ヨコハマ」に出演し、明日は「ブルーノート東京」のステージに立ちます。が、ウッテンやスピードメーターのCDの解説を書かせていただき、友人や知人に彼らの音楽を勧めてきた自分としては、なんとしてでも“来日第一声”の場に立ち会いたかったのです。
   
「名古屋ブルーノート」に着くと、ステージいっぱいにさまざまな楽器がセッティングされているのが目に付きました。上手(客席から向かって右)にはヴィブラフォンが貫禄たっぷりに場所を占めています。「ああ、この楽器をこの少し後に、ビリー・ウッテンが弾くのだ」と思うと、なんだかドキドキするではありませんか。なにしろウッテンは50年に及ぶキャリアの中で、この日が文字通り初めての日本公演なのです。彼は70年代初頭、ロイ・エアーズとともに人気投票の上位を争った実力者です。しかしここ20数年のロイは、少なくともライヴの場ではヴィブラフォンではなくマレット・シンセサイザーを演奏します。しかしウッテンは昔ながらのヴィブラフォンを使いながら、今を生きるファンたちを熱狂させ、踊らせます。
   
ステージにはまず、スピードメーターが登場します。リーダーでギタリストのレイ・グレイシーは2メートルはあろうかという長身、いっぽうベースのリチャード・ヒンデスは小柄です。ふたりがステージの前面に出て、お揃いのステップを踏みながら演奏すると観客はいっそう、沸きに沸きます。舞台の向かって左側ではホーン・セクションが渾身のブロウを繰り広げます。とくにバリトン・サックスでドスの利いた低音をひねりだすかと思えば、フルートでキャッチーなフレーズを連発したマット・マッケイはMVP級の大活躍でした。
   
ライア・カーリーやマイルス・サンコの歌声をたっぷりフィーチャーしたナンバーが続いた後、いよいよ御大ビリー・ウッテンの登場です。スピードメーターとは『ライヴ・アット・ジャズ・カフェ』という共演アルバムを残しています。マレットを持ち、走るようにしてステージにかけあがった彼が演奏したのは、定番「MONKEY HIPS AND RICE」など4曲。「MONKEY〜」は名盤『ライヴ/ザ・ウドゥン・グラスfeat.ビリー・ウッテン』に入っていたナンバーですね。4本のマレットでハーモニーをつけ、2本のマレットでソロをとるウッテンは、“これぞファンキー・ヴィブラフォン”というべきプレイを聴かせてくれました。ウッテンは自分のソロ・パートがないときも、一瞬だって動きを止めません。ひとりで踊ったり、客席の若い女性とステップを踏んだり、盛り上がるオーディエンスを撮影しながら、全身で音楽の場にいる喜びを発散していました。
   
終演後、バックステージを訪ねると、ウッテンは「日本が大好きになった。もっと早く来ればよかった。もっとたくさんの曲をやりたくてウズウズしているよ」と語ってくれました。横浜、東京公演ではさらに彼の演奏がフィーチャーされるに違いありません。あの名ギタリスト、グラント・グリーンを唸らせたヴィブラフォン・プレイが日本で聴ける喜びを、とことんまで味わいつくしたいものです。
(原田 2011/2/26)


SPEEDOMETER featuring BILLY WOOTEN
DJ:MURO
2.27sun. @BLUE NOTE TOKYO

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