'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , 菊地成孔 - - report : NARUYOS...
2011/04/07
公演初日リポート:NARUYOSHI KIKUCHI y PEPE TORMENTO AZUCARAR with MASAKO HAYASHI
-Memorial Concert for Elizabeth Taylor-
3月23日、女優のエリザベス・テイラーが亡くなりました。それを受けて、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールが昨日、2時間を超える“弔い”を繰り広げました。
このユニットは、菊地のソロ・アルバム『南米のエリザベス・テイラー』をライヴで演奏する際に誕生したものです。そして昨年の結成5周年ツアーは、「1000年後の南米のエリザベス・テイラー」というタイトルで行なわれました。晩年のテイラーは体調を崩し、あまり人前に姿を見せることはありませんでしたから、ここ5〜6年の間に“エリザベス・テイラー”を認識するようになったファンの殆どは映画よりも菊地成孔の活動を通じて彼女の名前に親しんでいるのではないでしょうか。
クラブに入ると、カウンター横にテイラーの大きな肖像がかけられていました(ペインティングはヴィヴィアン佐藤)。さらに「今日のライヴは特別なのだ」という感が深まります。DJの中村ムネユキがテイラー関連曲をプレイした後、ペペ・トルメント・アスカラールの面々がステージに登場します。ピアノ、バンドネオン、ハープ、コントラバス、パーカッション(2人)、ヴァイオリン(2人)、チェロという組み合わせはユニークそのもの。この楽器編成を見て、実際に演奏される音楽を想像できる者はいないでしょう。盛大な拍手の中をあらわれた菊地成孔はまず、エリザベス・テイラーについて語り、そしてメンバーを紹介しました。
「これからはMCなしで2時間演奏します」との後、怒涛のプレイが続きます。ホールで演奏することも少なくないペペ・トルメント・アスカラールですが、サックスのキーが触れ合う音やフィンガースナッピン(指パッチン)、カウントを出す声などオフ・マイクの音までしっかり聴こえてくるのは、至近距離で演奏が味わえるクラブならではの醍醐味。サックスやヴォーカルはいうまでもなく、指一本の動きすらおろそかにしないコンダクター=菊地成孔の姿も満喫できました。
雅楽を思わせる「導引」から、組曲のように演奏が続きます。ものすごい緊張感がステージに走っているのが伝わります。中盤ではソプラノ・ヴォイスの林正子も登場し、アリアを歌いました。なんて無国籍なバンドなんだ、とぼくは改めて思いました。
前半が“テンション”だとしたら、短めのチューニングの後に繰り広げられた後半部分は“リリース”でしょうか。ツイン・パーカッションが菊地のサックスを煽り、ストリングスがおそろしくキャッチーなリフを繰り返します。「大天使のように」、「KILLING TIME」、もう勢いは止まりません。エリザベス・テイラーは大女優だけに、世界各地でさまざまなメモリアル・イヴェントが行なわれている(行なわれる)はずです。しかしペペ・トルメント・アスカラールの当公演以上にユニークで、情熱的な“弔い”に、おそらく出会うことはないでしょう。
菊地成孔は5月5日にダブ・セクステット、6日に再びペペ・トルメント・アスカラールを率いてブルーノート東京に登場します。5/6はカヒミ・カリィさんの参加も決定したそうです。MCによるとブルーノート東京と「年間契約」したとのことです。ファンならずとも、“定点観測”したくなるのではないでしょうか。
(原田 2011 4.6)
*** 本公演はライヴ・レコーディングが行われました。
後日、インターネット配信にて販売予定、その収益の一部を義援金として寄付されます。
- 発売開始時期:4月下旬
- 配信元:OTOTOY
http://ototoy.jp/music/
● 4.6wed.
NARUYOSHI KIKUCHI y PEPE TORMENTO AZUCARAR with MASAKO HAYASHI
-Memorial Concert for Elizabeth Taylor-
● 5.5thu. NARUYOSHI KIKUCHI DUB SEXTET
● 5.6fri. NARUYOSHI KIKUCHI y PEPE TORMENTO AZUCARAR with MASAKO HAYASHI & KAHIMI KARIE