'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JOE SAMPLE - - report : JOE SAM...
2011/05/15
公演初日リポート:JOE SAMPLE & THE CREOLE JOE BAND
featuring RAY PARKER Jr., JUNE YAMAGISHI & C.J.CHENIER
2010年、ジョー・サンプルにインタビューいたしました。そのときに彼は、力強く語ってくれました。
“次に考えているのはルイジアナ州の音楽にちなんだプロジェクトなんだ。私は子供の頃からララ・ミュージックに親しんできたからね。ララ・ミュージック、知っているかな? 今はザディコと呼ばれているけれど、大昔にはそんな言葉はなかったんだ。それに取り組みたいんだよ。バンド名はクリオール・ジョー・バンドに決めた。レイ・パーカーJr.も協力してくれることになったし、いいメンバーが集まりそうだ。シンガーが見つかったら、すぐにでもバンドを起動したいね”。
それから約1年を経て、ついにクリオール・ジョー・バンドが正式発足、ここブルーノート東京でプレミア・ライヴを聴かせてくれました。ここ十数年のサンプルのライヴに訪れていたファンは、当日の楽器の配置に多少なりとも驚かれたことでしょう。いつもなら舞台左側にあるアコースティック・ピアノがなく、サンプルは向かって右側の小さなキーボードの前に座ります。しかも冒頭の2曲ではそれにも触れることなく、アコーディオンを演奏しました。そこには、フュージョンの大物ピアニストというスーツを脱ぎ捨て、全身でアメリカ南部の音楽に浸るひとりの男の姿がありました。
サンプルと同等、もしくはそれ以上にフィーチャーされていたのがふたりのシンガーです。アコーディオンとヴォーカルのC.J.シェニエは、“ザディコの王者”と呼ばれる故クリフトン・シェニエの息子。クリフトンの『バイウー・ブルース』というアルバムを、それこそ穴が開くほど聴いてきたぼくにとっては、それだけで感動がこみあげてきます。しかしC.J.も、もう50代。野太いシャウト、貫禄たっぷりの節回しは、彼が二代目キングの域に達していることを伝えてくれました。インストルメンタル・ナンバー「ZYDECO BUGALOO」(デトロイトのR&Bグループ、コントゥアーズが歌った「DO THE SEE SAW」の歌なしヴァージョン。C.J.はレス・マッキャンのレコードで覚えたのでしょう)も圧巻でした。
バンド内の紅一点、シャロン・マーティンは浅草ニューオリンズ・ジャズ・フェスティバルにも登場したことのあるシンガー。ゴスペル、R&B、トラディショナル・ジャズ、なんでもありのシンガーです。この日はザディコの定番「DON'T MESS WITH MY TOOT TOOT」で会場を熱狂させました。
アコーディオンと並ぶザディコの花形楽器、ラブボード(RUB-BOARD)はC.J.のいとこ、気鋭のジェラール・シェニエが演奏。彼の「こすり」は、バンドに強烈なスイング感を加えていました。
ニューオリンズに移住して久しい山岸潤史のギターも唸り、レイ・パーカーJr.はスライド・ギターを中心にプレイ。嬉しそうな表情で鍵盤に指を走らせるサンプルを見ていると、こちらもつい微笑まずにはいられません。
先日の NHK BS1出演時にサンプルは語ってました。
「今こそ、日本に来なければならない時だ。」
そんな思いを持っての来日は本当に嬉しい。
公演は19日まで続きます(16日はオフ)。
(原田 2011.5.14)
● 5.14sat.-5.19thu. (5.16mon. OFF)
JOE SAMPLE & THE CREOLE JOE BAND
featuring RAY PARKER Jr., JUNE YAMAGISHI & C.J.CHENIER
● 5.22sun. 大阪公演 イオン化粧品 シアターBRAVA!