BlueNote TOKYO
ARCHIVE 2011/06

2011/06/28

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , 吉田兄弟 - - report : 吉田兄...

吉田兄弟 - YOSHIDA BROTHERS
吉田兄弟 - YOSHIDA BROTHERS


公演初日リポート:吉田兄弟



吉田兄弟がクラブで聴ける!
これは大ニュースでしょう。通常、彼らの日本における公演はホールで行なわれているからです。
ステージと客席の距離の近さに兄の吉田良一郎も弟の吉田健一も驚いていたようですが、それはぼくらオーディエンスにとっても同様です。超高速で動く左手、力強い右手のバチさばき等が間近で鮮明に見ることができるだけではなく、フレーズの合間に出る掛け声などもマイクを伝わらずに生々しく聴こえてきました。兄弟がクラブに登場するのはアメリカ・ツアー以来とのことでしたが、演奏が進むうちに「クラブでセッションする楽しさ」を思い出したのでは、と勝手に想像しています。

兄弟をサポートするのは、キーボード奏者の井上鑑と、パーカッション奏者の仙波清彦。ふたりとも1970年代から第一線で活動するベテランです。アコースティック・ピアノとキーボードを鮮やかに使い分ける井上のプレイも見事でしたが、ドラム・セットに和太鼓を仕込んだ仙波の一打一打にも聴きほれました。音の腰が強くて、リズムに粘りがある。このふたりにサポートされて演奏する吉田兄弟は本当に気持ちいいだろうな、と思いました。

前半は吉田健一の作曲が並びました。2曲の兄弟共演を経て、「月光」を井上のアコースティック・ピアノとデュオで演じた後は、吉田良一郎の作曲が続きます。チョーキングやグリッサンドを用いたソロ・パフォーマンス「彩雲」で熱狂させ、エレクトリック・パーカッションを用いた「紅い鳥〜RED BIRD〜」では一転、しみじみと旋律を奏でます。

チック・コリア作「アルマンドズ・ルンバ」をデュオで聴かせた井上と仙波がステージを去った後、超大作三味線二重奏の「津軽じょんがら節」が始まります。まさしく技と技、気迫と気迫のぶつかりあい。「日本の曲って、かっこいいなあ」と、思わず声をあげたくなりました。

アンコールでは「Overland Blues」を演奏。井上の弾くブギ・ウギ風ピアノと、兄弟の三味線が絶妙に混じりあいます。この6月下旬の二日間は、「ブルーノート東京史上、初めて三味線が鳴り響いた日」として、ヒストリーに刻まれることでしょう。
(原田 2011 6.27)


● 6.27mon.-6.28tue.
-Love for Japan- YOSHIDA BROTHERS


吉田兄弟 - YOSHIDA BROTHERS


2011/06/24

AMY HANAIALI'I - ☆ P+M映像 : AMY H...

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☆ AMY HANAIALI'I(COTTON CLUB)

ハワイのグラミー賞に相当するナ・ホク・ハノハノ・アワードに輝き、
本家グラミー賞にもノミネートされたハワイを代表する人気シンガー、
エイミー・ハナイアリイが久しぶりにブルーノート東京へ登場。コ
ットンクラブでのパフォーマンス&メッセージ映像をアップしました!
公演は6.25sat.-6.26sun.。

●6.25sat.-6.26sun.
AMY HANAIALI'I



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , AMY HANAIALI'I - - report : AMY HAN...

エイミー・ハナイアリイ - AMY HANAIALI'I




AMY HANAIALI'I @COTTON CLUB


明日6月25日(土)からハワイの歌姫、エイミー・ハナイアリイの公演が始まります。それに先駆けて、ぼくは「コットンクラブ」で、彼女のステージを満喫してまいりました(「コットンクラブ」には、本日まで出演)。
ハワイの音楽というと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? ぼくは単純にファルセット、スティール・ギター、ウクレレ、腰ミノなどが頭に浮かびます。大橋節夫とハニー・アイランダーズ(戦後に大きな人気を集めた日本のハワイアン・バンド)の影響かもしれません。しかしエイミーのサウンドは、それとは一味違います。ひとことでいえば、ジャズ、ポップス、ロック等の要素を大きく導入したものなのです。だからこそ彼女は、ハワイのミュージシャンとして初めて全米ヒット・チャートに進出することができたのでしょう。

「私はジャズを聴いて育ったようなものです」と、MCでエイミーは言っていました。親戚にはジャズ・ミュージシャンもいるそうです。そしてナット・キング・コールで有名な「ROUTE 66」、レオン・ラッセルやジョージ・ベンソンが歌った「THIS MASQUERADE」、アントニオ・カルロス・ジョビンの「ONE NOTE SAMBA」等を歌い、ジョージ・ガーシュインの名曲「THEY CAN'T TAKE THAT AWAY FROM ME」では客席に入り込み、オーディエンスとコミュニケーションをとりながら、会場を盛り上げました。

もちろん伝統的なハワイアン・ナンバーや、自身のオリジナル曲もたっぷり聴かせてくれました。ハワイのヒロにいるとき、バンの中で雨宿りをしていて思いついたという「IN HILO TOWN」は、リズムもメロディも実にキャッチーで、エイミーの歌にあわせて一緒に歌いたくなるほどでした。

エイミーはただ音楽を聴かせるだけではなく、積極的にファンに語りかけ、一緒にステージを作っていくタイプのシンガーです。「いきなり英語で語りかけられたら、どうしよう」という方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。バンドのベーシスト、スティーヴ・ジョンソンは日本語ペラペラなので、すべて通訳してくれます。
どうぞ皆さん、つかの間のハワイ旅行へ!
(原田 2011.6.23thu)



● 6.25sat.-6.26sun. @BLUE NOTE TOKYO
AMY HANAIALI'I


エイミー・ハナイアリイ - AMY HANAIALI'I



2011/06/23

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , RUFUS - - report : RUFUS ...

ルーファス - RUFUS
ルーファス - RUFUS


公演初日リポート:RUFUS
featuring AMANDA MAIDEN, INDIRA MILINI KHAN & PHUNNE ROBINSON STONE
"The Daughters of Funk"

ナイル・ロジャース&シックの公演が大盛況のうちに終わり、あの強烈な「ファンク台風」もひとまず過ぎ去ったかな、と思っていたら、さっそく次の大型台風が登場です。今年初の真夏日に突入した東京を、さらに熱く燃え上がらせたのはルーファスの皆さん。

今回の公演には、これまでにない大きな特徴があります。ヴォーカルを「ドーターズ・オブ・ファンク」が務めているのです。日本語にすると「ファンク娘」といったところでしょうが、とにかくそのメンバーが豪華です。ステージ向かって右からトニー・メイデンの娘、アマンダ。殆どの曲でリード・ヴォーカルをつとめます。そして中央にいるのがチャカ・カーンの娘、ミリニ・カーン(実際はマリーニという発音に近いようです)。小柄ですが、信じられないような声量の持ち主です。そして左には、ファン・ロビンソン・ストーンがいます。そうです、あのカリスマ、スライ・ストーンの娘です。もちろんステージでは「THANK YOU」など父親の曲を歌って盛り上げました。

最初はいささか硬さも感じられた娘たちですが、ステージ運びの巧みなトニー・メイデンに導かれるように、徐々にヒートアップしていきます。アスク・ルーファス(ルーファスの前身グループです)時代からのレパートリーであるという「ANY LOVE」あたりからエンジン全開になり、「HOLD ON TO A FRIEND」、「STAY」、「EARTH SONG」と続いたアコースティック・コーナー(トニーはアコースティック・ギターを弾きました)では、実力派シンガーぶりをたっぷり味わわせてくれました。

かつて若きチャカ・カーンがリード・ヴォーカルを取っていた「TELL ME SOMETHING GOOD」を、ミリニの歌声で聴くのもオツなものです。本編ラストでは「AIN'T NOBODY」も披露。ブルーノート東京では毎年のようにピーボ・ブライソンが歌っているナンバーですが、もともとはルーファスのヒット曲ですね。

2世代が同じステージに立っている風景は、今では決して珍しいものではありません。しかしチャカの娘が、かつてチャカのいたバンドで、いま彼女のかわりに歌っている、という情景は実に感動的です。ぼくは何度も「ファンクは、こうやって伝承されていくのだなあ」と、しみじみしてしまいました。
(原田 2011 6.22)



● 6.22wed.-6.24fri.
RUFUS
featuring AMANDA MAIDEN, INDIRA MILINI KHAN & PHUNNE ROBINSON STONE
"The Daughters of Funk"


ルーファス - RUFUS


2011/06/17

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , RON CARTER - - report : RON CAR...

ロン・カーター - RON CARTER
ロン・カーター - RON CARTER


公演初日リポート:RON CARTER
-Golden Striker Trio-
featuring Russell Malone & Mulgrew Miller



ロン・カーター率いるザ・ゴールデン・ストライカー・トリオの来日ステージが昨日から始まっています。

前回の公演ではジャッキー・テラソンがピアノを弾いていましたが、今回はマルグリュー・ミラー(ピアノ)、ラッセル・マローン(ギター)、そしてロンというオリジナル・ラインナップによる公演です。このトリオが最初のアルバム『ザ・ゴールデン・ストライカー』を発表したのは2003年のことですが、2011年の彼らは老舗ユニットの風格すら感じさせます。

改めていうまでもないとは思いますが、ザ・ゴールデン・ストライカー・トリオの特徴はドラムスが入っていないということです。その昔、ギター〜ピアノ〜ベースという楽器の組み合わせは大変ポピュラーなものでした。1940年代にはアート・テイタムやナット・キング・コールが、50年代にはオスカー・ピーターソンやタル・ファーロウが、この編成で数々の名演を残しています。しかし、それ以降の“トリオ編成によるジャズ”はドラムスがピアノやギターに替わることが多くなりました。その背景には、ジャズ界の流れが、よりハードなものに移り変わったということもあるのでしょう。

「もう、ギター〜ピアノ〜ベースという編成は歴史上のものになってしまったのだろうか」。少なくないジャズ・ファンがそう思っていたところに、ザ・ゴールデン・ストライカー・トリオは颯爽と登場しました。ドラムスの不在を補って余りあるスイング感(なにしろロンのリズム感は卓抜です)と、ドラムスがないからこそ際立つであろう室内楽的でエレガントな音作りは、現代ジャズ界における清涼剤のひとつといえましょう。

各楽器のアンプやマイクによる増幅を最小限にしているのも、このトリオの魅力です。3つの楽器が、決して大声を出すことなく、気のおけない会話を繰り広げている・・・といえばいいでしょうか。「イエーイ、のってるかい!」というタイプの音楽ではないですが、じっくり耳を傾ければ傾けるほど、心にじんわりと入り込んでくる“アート”が、ザ・ゴールデン・ストライカー・トリオの世界なのです。

発足当時、このトリオをみたときは、ともすればロンよりも若い世代のマルグリューやラッセルが御大の貫禄に圧倒されているようにも思えました。しかし現在の彼らにその心配はありません。グループの司令塔であるロン、そして一段とスケールを増したマルグリューとラッセル。彼らの技の応酬が、今夜も「ブルーノート東京」を静かに熱狂させることでしょう。
(原田 2011 6.16)


● 6.16thu.-6.19sun.
RON CARTER
-Golden Striker Trio-
featuring Russell Malone & Mulgrew Miller

● Father's Day Special Plan


●6.20mon. はコットンクラブにて公演

ロン・カーター - RON CARTER


2011/06/15

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , AZYMUTH - - report : AZYMUTH

アジムス - AZYMUTH
アジムス - AZYMUTH


公演リポート:AZYMUTH



ホセ・ロベルト・ベルトラミ(ジョゼ・ホベルト・ベルトラーミ:キーボード)、アレックス・マリェイロス(ベース)、そしてイヴァン・コンチ(ドラムス)。
名前を見ただけで「音が聴こえてくるようだ」というファンも多くいらっしゃるのではないでしょうか。ブラジルが誇るフュージョン・グループ、アジムスのステージです。

とはいっても、彼らは「フュージョン・ミュージック」という言葉が定着する遙か前、1970年代中期に本格的な活動を開始しました。長寿グループにはありがちなことですが、その間にはメンバー・チェンジも経験しました。ベルトラミが脱退していた時期もあります。しかし現在は黄金期のメンバーによる活動に戻っています。「やっぱり、この3人が揃ってこそのアジムスなんだ」という気持ちは、ぼくら聴き手だけではなく、メンバー自身にも強く存在しているのでしょう。

横並びで演奏する彼らは、とくにアイ・コンタクトをとるわけでもなく、ごくごく淡々と楽器をプレイします。しかし各楽器の呼吸は見事に一致し、それぞれのメンバーが他のメンバーのフレーズに対して絶えず反応していることがわかります。長年のキャリアを積んだバンドならではの技のやりとりが、客席の熱気を徐々に高めていきます。「IN MY TREEHOUSE」など、最新作『オーロラ』からのナンバーも聴かせてくれましたし、ジョアン・ジルベルトの数少ない自作のひとつである「HOBALALA」では全員の(タンバ・トリオを思わせる)コーラスを、アントニオ・カルロス・ジョビンの「AGUAS DE MARCO」ではベルトラミのアコースティック・ピアノを楽しむことができました。

もちろん他の曲では、ベルトラミ特製のフェンダー・ローズ・プレイも満喫することができました。このふくよかで、柔らかく、浮遊感のある響きは、今後デジタル・シンセがいくら進化しようとも絶対に表現できないのではないかと思います。ベルトラミがフェンダー・ローズを弾くと、それだけで場内に涼やかな風が舞い込んでくるようです。

アンコールでは、彼らの日本における人気を決定付けたといっても過言ではない「VOO SOBRE O HORIZONTE(Fly Over The Horizon)」が演奏されました。現在、30代半ば以上の洋楽少年少女なら誰でも一度は聴いたことがあるであろう伝説のFM番組「クロスオーバー・イレブン」のオープニング・テーマ・ソングですね。ぼくも1980年代初頭、この曲で初めてアジムスの名を知り、サウンドの気持ちよさにすっかり魅了されてしまったひとりです。まさか「クロスオーバー・イレブン」のテーマが生で聴けるなんて、と思いながら、ぼくは頭の中でメロディを必死に追いかけました。

アジムスの「ブルーノート東京」公演は昨日で終了しましたが、本日からは「コットンクラブ」に登場します。梅雨時を吹き飛ばすブラジリアン・グルーヴを、どうぞお楽しみください!
(原田 2011.6.15)




● 6.14tue.-6.15wed.
AZYMUTH

●6.16thu.-6.17fri. はコットンクラブにて公演

AZYMUTH - アジムス


2011/06/09

'11 BNT : What's Happenin' ! , MIKE STERN - - MIKE STERN BAND ...

マイク・スターン - MIKE STERN


MIKE STERN BAND
featuring RANDY BRECKER, TOM KENNEDY & DENNIS CHAMBERS



マイク・スターン、絶好調!
ランディ・ブレッカーのエフェクターを通した不思議なトランペット、
トム・ケネディの技巧派ベース、
デニス・チェンバースの芯の通ったドラム・ソロ、
毎年、メンバーを違えて来店公演を行ってくれるマイク・スターン・バンドですが、このようなスーパー・ミュージシャンたちが集まって公演を行ってくれることに、あらためて感謝。
しかも、マイク・スターンという超人の秘密に迫る機会、
6/11sat. は、マイクのクリニック開催!これは見逃せません。




● 6.8wed.-6.11sat.
MIKE STERN BAND
featuring RANDY BRECKER, TOM KENNEDY & DENNIS CHAMBERS


● 6.11sat. MIKE STERN GUITAR CLINIC



マイク・スターン - MIKE STERN


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