'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , 吉田兄弟 - - report : 吉田兄...
公演初日リポート:吉田兄弟
吉田兄弟がクラブで聴ける!
これは大ニュースでしょう。通常、彼らの日本における公演はホールで行なわれているからです。
ステージと客席の距離の近さに兄の吉田良一郎も弟の吉田健一も驚いていたようですが、それはぼくらオーディエンスにとっても同様です。超高速で動く左手、力強い右手のバチさばき等が間近で鮮明に見ることができるだけではなく、フレーズの合間に出る掛け声などもマイクを伝わらずに生々しく聴こえてきました。兄弟がクラブに登場するのはアメリカ・ツアー以来とのことでしたが、演奏が進むうちに「クラブでセッションする楽しさ」を思い出したのでは、と勝手に想像しています。
兄弟をサポートするのは、キーボード奏者の井上鑑と、パーカッション奏者の仙波清彦。ふたりとも1970年代から第一線で活動するベテランです。アコースティック・ピアノとキーボードを鮮やかに使い分ける井上のプレイも見事でしたが、ドラム・セットに和太鼓を仕込んだ仙波の一打一打にも聴きほれました。音の腰が強くて、リズムに粘りがある。このふたりにサポートされて演奏する吉田兄弟は本当に気持ちいいだろうな、と思いました。
前半は吉田健一の作曲が並びました。2曲の兄弟共演を経て、「月光」を井上のアコースティック・ピアノとデュオで演じた後は、吉田良一郎の作曲が続きます。チョーキングやグリッサンドを用いたソロ・パフォーマンス「彩雲」で熱狂させ、エレクトリック・パーカッションを用いた「紅い鳥〜RED BIRD〜」では一転、しみじみと旋律を奏でます。
チック・コリア作「アルマンドズ・ルンバ」をデュオで聴かせた井上と仙波がステージを去った後、超大作三味線二重奏の「津軽じょんがら節」が始まります。まさしく技と技、気迫と気迫のぶつかりあい。「日本の曲って、かっこいいなあ」と、思わず声をあげたくなりました。
アンコールでは「Overland Blues」を演奏。井上の弾くブギ・ウギ風ピアノと、兄弟の三味線が絶妙に混じりあいます。この6月下旬の二日間は、「ブルーノート東京史上、初めて三味線が鳴り響いた日」として、ヒストリーに刻まれることでしょう。
(原田 2011 6.27)
● 6.27mon.-6.28tue.
-Love for Japan- YOSHIDA BROTHERS