公演初日リポート:CHICO presents "THE GYPSY PROJECT"
featuring MARIO REYES & GYPSIES
かつてジプシー・キングスの黄金時代を築き、現在はチコ&ザ・ジプシーズを率いるワールド・ミュージックの重鎮、チコ・ブースキー。彼が新ユニット“チコ&ザ・ジプシー・プロジェクト”を率いて来日、大盛り上がりのステージを繰り広げています。
チコ&ザ・ジプシーズでは、ベーシストがひとりいる以外、全員がギターを弾いていました。しかしチコ&ザ・ジプシー・プロジェクトはパーカッション、キーボード、アコーディオン、ヴァイオリン等もフィーチャーした多彩な楽器構成です。インストゥルメンタル・ナンバーの割合も増え、即興を重視したパートも数多くありました。チコを中心にミュージシャンが一丸となり、鉄壁のまとまりで魅了するのがチコ&ザ・ジプシーズだとすれば、今回のザ・ジプシー・プロジェクトは各演奏家の個人技が堪能できるオールスター・チームといっていいでしょう。
メンバーが黒のコスチュームで統一するなか、チコは白いシャツを着て登場します。決して派手なプレイをすることはありませんが、常にステージ全体に気を配り、視線を注ぎます。今回、特にスポットライトが当てられたのはパッチャイ、マリオ・レイエス、ジョセフ・ゴーティエの3人。いずれもこの世界のビッグ・ネームといっていいでしょう。
パッチャイはチコの横で渾身のギターとヴォーカルを披露しました。細身で小柄な彼ですが、その歌声は野太くワイルドです。いっぽう、ギターが小さく見えるほどの巨体を誇るマリオ・レイエスは繊細な歌声の持ち主で、とくにスロー・ナンバーに魅力を発揮していました。ギター・プレイは超絶技巧そのもの。右利き用の楽器を180度反対に持って(弦は逆に張り替えて)、すさまじい指弾きソロを聴かせてくれました。ジョセフもマリオ同様、左利きですが、彼は左利き用のギターを使用。ステージ中央に大柄なレフティがふたりいるユニットは、チコ&ザ・ジプシー・プロジェクト以外に存在しないのではないでしょうか。
「悲しき天使」、「THOSE WERE THE DAYS」等の別名でも知られる「LE TEMPS DES FLEURS」ではピー・ウィーのヴァイオリンがむせび泣き、チック・コリア作「SPAIN」ではキーボード奏者ホアンのアドリブが会場を沸かせました。ステージ後半ではもちろん「BAMBOLEO」、「DJOBI DJOBA」、「VOLARE」といった定番を披露。前回のジプシーズ公演では、これらの曲はメドレーで演奏されましたが、今回はすべてフル・コーラスです。
パッチャイ、マリオ、ジョセフのリード・ヴォーカルで、黄金のヒット曲を聴く快感。ジプシーズのファンはもちろん、まだチコを生で見たことがないという方も、大喜びすること間違いなしのライヴです。
(原田 2011 10.25)
●10.25tue.-10.26wed.,10.29sat.-10.30sun.
CHICO presents "THE GYPSY PROJECT"
featuring MARIO REYES & GYPSIES
●10.27thu. は恵比寿act squareにて公演
☆ CHICO presents "THE GYPSY PROJECT"
「バンボレオ」、「ジョビ・ジョバ」「ヴォラーレ」等、
数多くのビッグ・ヒットを放ったジプシー・キングス。
その黄金時代を築いたひとりであるチコ・ブースキーが
日本のファンのためにスペシャル・ユニット“ザ・ジプシー・プロジェクト”を新結成、
記念すべきプレミアム・ライヴの模様をアップしました。
公演は10.25tue.-10.26wed.,10.29sat.-10.30sun.。
●10.25tue.-10.26wed.,10.29sat.-10.30sun.
CHICO presents "THE GYPSY PROJECT"
featuring MARIO REYES & GYPSIES
Spain Wine Festa !
10.25tue.-11.12sat.
パッションあふれるライヴにぴったりな、“情熱的な”お勧めのワインをご用意しました。
※数に限りがございます。無くなり次第“情熱的に”別の銘柄に変更いたします。
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<Cava カヴァ>
Proyect Cu4tro Cava
プロジェクト クワトロ カヴァ
淡く緑色を帯びた輝き
爽やかで透明感のある色合いのスパークリングワイン。
品種:マカベオ、チャレッロ、パレリャーダ、シャルドネ
Bottle ¥5,000
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<Blanco 白ワイン>
N' estruc Idoia Blanc
カ ネストラック イドイア ブランク
白い花や南国フルーツのようなアロマ
スペイン、カタルーニャ
品種:チャレッロ、ガルナッチャブランカ他
Glass ¥1,150
Decanta ¥2,500
Bottle ¥4,300
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<Tinto 赤ワイン>
Val de Los Frailes
ヴァル デ ロス フライレス
ブラックベリーやシガー、リコリスなどの複雑な香り
アメリカンオークで12ヶ月以上熟成
スペイン、シガレス
品種:ティンタ デル パイス
Glass ¥1,150
Decanta ¥2,500
Bottle ¥4,300
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※価格は全て消費税込。別途サービス料を頂戴いたします。
●10.25tue.-10.26wed., 10.29sat.-10.30sun.
CHICO presents "THE GYPSY PROJECT"
featuring MARIO REYES & GYPSIES
●10.27thu.
HAJIME MIZOGUCHI
●10.28fri.
MATTHEW GARRISON
featuring SCOTT KINSEY & GENE LAKE
with very special guest KAZUMI WATANABE
●11.1tue.-11.4fri.
TOSHIKO AKIYOSHI QUINTET
featuring Lew Tabackin with Monday Michiru
●11.5sat.-11.7mon.
JAMAICA JAZZ
featuring ERNEST RANGLIN, MONTY ALEXANDER and SLY & ROBBIE
●11.8tue.-11.12sat.
MICHEL CAMILO & TOMATITO
公演初日リポート:JOHNNY A.
骨太のブルース・ロックが、昨日からブルーノート東京の店内に鳴り響いています。ピーター・ウルフ(元J.ガイルズ・バンド)のグループを経て独立、いまやソロ・アーティストとして目覚しい躍進を続けるジョニー・Aが出演しているのです。
ジョニーは「まるでギターを弾くために生まれてきた男」と形容されるほどの凄腕です。しかしそのテクニックは殆ど独学によって培われたものだとか。影響を受けたアーティストにはジミ・ヘンドリックス、ビートルズ、チェット・アトキンス、ジェフ・ベック、B.B.キング、J.J.ケイル等の名が並びます。MCで「ロックもブルースもジャズもカントリーも皆、大好きだよ」と語っていたジョニーですが、ブルースに寄せる思い入れは特に強いようです。
オープニングはジミ・ヘンドリックスの名演で有名なブルース「RED HOUSE」。スライド・バーを用いたイントロが飛び出すだけで、どこかアメリカ南部のジューク・ジョイント(安酒場)でライヴを聴いているような気持ちになってきます。こういう音を聴きながら呑むウィスキーは、いつもよりさらに旨いことでしょう。ジョニーは1968年にジミのコンサートに接して、大きなショックを受けたそうです。しかし彼のプレイは決してジミのコピーではありません。そこにぼくは、ジョニーの音楽家としての良心を感じます。
セカンド・アルバムのタイトル曲「GET INSIDE」、近作『ONE NOVEMBER NIGHT』からの「THE NIGHT BEFORE」(ビートルズのカヴァー)等、十八番が次々とプレイされていきます。B.B.キングの「ROCK ME BABY」も取り上げられましたが、前置きで「B.B.は大好きだけど、彼とは違う、俺自身のスタイルでやるよ」と言ったとおり、ジョニーの個性に彩られたヴァージョンになっていました。それにしても彼のギターはニュアンスに富んでいます。これまで4度来日し、フジ・ロック・フェスティバルに出演したこともあるジョニーですが、指使いがたっぷり拝めるのはクラブ公演ならではの嬉しさです。
ジョニーは椅子に座って黙々とギターを弾きます。派手なアクションは一切ありません。しかし指先は常に動き回り、目をつぶっていると何人ものギタリストが同時に弾いているかのようです。オーディエンスの反応もツボを得たもので、当日のブルーノート東京にはギターを心から愛するファンだけが集まっていたような気がします。彼のプレイは、ロック・バンドでギターを弾いているアマチュアの方にはヨダレの出そうなフレーズの宝庫でしょうし、ジョニー・ウィンターやスティーヴィー・レイ・ヴォーンのファンにも強く響くことでしょう。
ジョニー・A、要注目です。まだ彼の音を聴いたことのないひとも、名前を知ったばかりのひとも、ぜひこのライヴを!
(原田 2011 10.20)
●10.20thu.-10.22sat.
JOHNNY A.