'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , SOPHIE MILMAN - - report : SOPHIE ...
2011/10/14
公演初日リポート:SOPHIE MILMAN
今、ソフィー・ミルマンの初日公演のファースト・セットを見て、家に戻ってきたところです。オーディエンスの熱狂的な歓声と拍手、スタンディング・オベイションの光景がずっと目と耳にこびりついています。
常に活況を呈しているといっても過言ではない女性ジャズ・ヴォーカル・シーンですが、今世紀に入ってからの新人登場のペースには驚くばかりです。ソフィーは2004年に国内盤デビューを果たし、いきなりiTunesジャズ・アルバム・ダウンロード・チャートで首位を獲得しました。ブロンドの髪の毛、青にも灰色にも見える神秘的な瞳、恵まれた容姿も高く支持される要因となっているのは間違いのないところでしょう。しかしルックスだけで人気を維持してゆくことは、少なくともジャズの世界では不可能です。彼女は今回が通算9度目の来日になりますが、ライヴを行なうごとに客席の“満員率”は高まっています。ソフィーの歌を生で味わいたい、というファンが雪だるま式に増えているのです。
ひとつのプログラムの中で、いろんなタイプの曲を楽しませてくれるのが彼女のライヴの特徴ですが、この日もラテン・リズムを用いた「SPEAK LOW」から始まり、日本のシンガーは殆ど取りあげることのないジョー・ブシュキン作「OH,LOOK AT ME NOW」、いかにもコール・ポーター作曲らしい洒脱なメロディを持ちながら、いざ歌うとなると半音が連続して相当難しいはずの「I CONCENTRATE ON YOU」等をサラリと聴かせてくれました。
シャンソン・ナンバー「CES PETITS RIENS」はフランス語で歌い、「NO MORE BLUES」、「AGUA DE BEBER」とアントニオ・カルロス・ジョビンのナンバーも端麗にこなします。子供の頃から大好きでよく口ずさんでいたという「TILL THERE WAS YOU」(もともとは「ザ・ミュージック・マン」というミュージカルのために書かれたもの。ビートルズやソニー・ロリンズのカヴァーも有名)は、ドラムス抜きでしっとりと堪能させてくれました。
ピアノのポール・シュローフェル、ギターのペリー・スミスは「SO LONG YOU FOOL」で鮮やかなロング・ソロを披露。こうした凄腕ミュージシャンを伴奏者に迎えるのは、歌手冥利に尽きるのではないでしょうか。
「音楽の力でオーディエンスの皆さんがハッピーになって、すてきなひと時を過ごしてもらえたら」と語るソフィー。クラブじゅうにハッピーな空気が充満した、すてきなライヴでした。
(原田 2011 10.14)
● 10.14fri.-10.16sun.
SOPHIE MILMAN
● 10.18tue. はコットンクラブにて公演