BlueNote TOKYO
ARCHIVE 2011/10

2011/10/15

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , MARCOS VALLE - - report : MARCS V...

マルコス・ヴァーリ - MARCOS VALLE<br />
マルコス・ヴァーリ - MARCOS VALLE<br />


公演初日リポート:MARCOS VALLE @ COTTON CLUB



天性のメロディ・メイカーにして、ブラジルを代表するグルーヴ・マスター。マルコス・ヴァーリが、今年もパワフルなステージを繰り広げています。

この来日が決定したのは、実は9月に入ってからのことです。告知期間は決して十分ではなかったと思われますが、「コットンクラブ」は超満員。客層は幅広く、男女比はほぼ半々でしょうか。マルコスの音楽がいかに多くの人に支持されているか、改めてよくわかります。昨年は約6年ぶりのニュー・アルバム『Esphera』をリリースし(追って、少し内容の違う『Estatica』も発売されました)、夏には往年の名盤+未発表曲で構成された11枚組CD『Tudo - Discografia De 1963 A 1974』も日本に入荷しました。そんなところに来日公演が決定したのですから、マルコス・ファンにとって今年下半期は最高に嬉しいシーズンとして記憶されることでしょう。

ステージに登場するや否や、「日本のオーディエンスはいつもファンタスティックだ。日本での演奏は、私に大きな喜びを与えてくれる」と客席に語りかけたマルコス。前半は「VAMOS SAMBAR」、「ARRANCA TÔCO」等、主に新作からのナンバーが演奏されました。いつも思うのですが、よくもまあ、こんなみずみずしいメロディと躍動的なリズムを持った曲を半世紀近くも書き続けることができるものです。マルコスの場合、音楽だけではなくMCも、曲に入るときのカウント(ポルトガル語で行なわれます)もリズミカルなのです。御存知の方も多いと思いますが、彼は大のサッカー・ファンです。ゲームに興じたり観戦していたりするときに、ふと曲のモチーフが浮かんでくることもあるのでしょうね。

‘60年代に、当時の夫人アナ・マリアと組んでいた頃から、マルコスのサウンドには女性シンガーの彩りが不可欠でした。ここしばらくは現在の夫人、パトリシアがこのパートを担当しています。彼女の歌い方は非常に淡々としたものですが、マルコスの声と合わさると魅力が一気に増し、豊穣なアンサンブルが生まれます。2009年の公演以来の参加となるトランペット奏者、ジェシ・サドキも得意のハイノート(超高音)を使ったプレイで大活躍、新ドラマーのアダル・フォンセカも、まるでカーニバルの打楽器チームをひとりで表現するかのような超絶テクニックで客席を沸かせました。

「コットンクラブ」公演は16日(日曜)まで。18日と19日は「ブルーノート東京」に場所を移して日本のシンガー・ソングライター、birdとの共演が行なわれます。さらに充実したマルコスの世界を、ぜひみなさんの目と耳でお確かめください!
(原田 2011 10.15)




● MARCOS VALLE
10.15sat.-10.16sun. @ COTTON CLUB


● 10.18tue.-10.19wed. with special guest bird @ BLUE NOTE TOKYO



2011/10/14

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , SOPHIE MILMAN - - report : SOPHIE ...

ソフィー・ミルマン - SOPHIE MILMAN
ソフィー・ミルマン - SOPHIE MILMAN


公演初日リポート:SOPHIE MILMAN



今、ソフィー・ミルマンの初日公演のファースト・セットを見て、家に戻ってきたところです。オーディエンスの熱狂的な歓声と拍手、スタンディング・オベイションの光景がずっと目と耳にこびりついています。

常に活況を呈しているといっても過言ではない女性ジャズ・ヴォーカル・シーンですが、今世紀に入ってからの新人登場のペースには驚くばかりです。ソフィーは2004年に国内盤デビューを果たし、いきなりiTunesジャズ・アルバム・ダウンロード・チャートで首位を獲得しました。ブロンドの髪の毛、青にも灰色にも見える神秘的な瞳、恵まれた容姿も高く支持される要因となっているのは間違いのないところでしょう。しかしルックスだけで人気を維持してゆくことは、少なくともジャズの世界では不可能です。彼女は今回が通算9度目の来日になりますが、ライヴを行なうごとに客席の“満員率”は高まっています。ソフィーの歌を生で味わいたい、というファンが雪だるま式に増えているのです。

ひとつのプログラムの中で、いろんなタイプの曲を楽しませてくれるのが彼女のライヴの特徴ですが、この日もラテン・リズムを用いた「SPEAK LOW」から始まり、日本のシンガーは殆ど取りあげることのないジョー・ブシュキン作「OH,LOOK AT ME NOW」、いかにもコール・ポーター作曲らしい洒脱なメロディを持ちながら、いざ歌うとなると半音が連続して相当難しいはずの「I CONCENTRATE ON YOU」等をサラリと聴かせてくれました。

シャンソン・ナンバー「CES PETITS RIENS」はフランス語で歌い、「NO MORE BLUES」、「AGUA DE BEBER」とアントニオ・カルロス・ジョビンのナンバーも端麗にこなします。子供の頃から大好きでよく口ずさんでいたという「TILL THERE WAS YOU」(もともとは「ザ・ミュージック・マン」というミュージカルのために書かれたもの。ビートルズやソニー・ロリンズのカヴァーも有名)は、ドラムス抜きでしっとりと堪能させてくれました。

ピアノのポール・シュローフェル、ギターのペリー・スミスは「SO LONG YOU FOOL」で鮮やかなロング・ソロを披露。こうした凄腕ミュージシャンを伴奏者に迎えるのは、歌手冥利に尽きるのではないでしょうか。

「音楽の力でオーディエンスの皆さんがハッピーになって、すてきなひと時を過ごしてもらえたら」と語るソフィー。クラブじゅうにハッピーな空気が充満した、すてきなライヴでした。
(原田 2011 10.14)


● 10.14fri.-10.16sun.
SOPHIE MILMAN


● 10.18tue. はコットンクラブにて公演


ソフィー・ミルマン - SOPHIE MILMAN


2011/10/12

TOOTS THIELEMANS - - TOOTS THIELEMANS

トゥーツ・シールマンス - TOOTS THIELEMANS


TOOTS THIELEMANS


感動的なハーモニカの音色、
御年 89歳、ジャズ界のレジェンド、トゥーツ・シールマンスが登場。
90min のステージの後には、「オーディエンスに会いたい」と、サイン会を開催。
来年は90歳、当店でもお祝いをする日を楽しみにしたいと思います。



● 10.11tue.-10.13thu.
TOOTS THIELEMANS


●10.14fri. はコットンクラブにて公演

トゥーツ・シールマンス - TOOTS THIELEMANS


2011/10/11

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JUJU - - report : JUJU

JUJU
JUJU


公演初日リポート: JUJU
JUJUの日SPECIAL LIVE in BLUE NOTE TOKYO



「奇跡を望むなら...」、「明日がくるなら」等、数々のヒット・ナンバーで知られるJUJU。R&B、ヒップホップ、ソウル、ハウス等、さまざまな要素を織り込んだ音作りで人気を集める彼女ですが、そのルーツにはジャズがあります。

幼い頃からジャズに親しんでいた彼女は、18歳のときにジャズ・シンガーを目指して単身ニューヨークに渡りました。帰国後、いわゆるJ-POPの世界で成功してからも、ジャズを思いっきり歌ってみたいという思いは変わらず、来る11月30日には念願のジャズ・カヴァー・アルバムを発表することも決定しました。

尊敬する歌手のひとりにサラ・ヴォーンを挙げ、ウェイン・ショーターの同名アルバムからステージ・ネームをとったJUJU。10月10日、“ジュジュの日”(日本記念日協会に認定されています)にブルーノート東京で行われたステージは、ジャズ・シンガーJUJUの魅力に溢れたひとときでした。

冒頭の「A WOMAN NEEDS JAZZ」は、新作アルバムのための書き下ろし。ジャズが好きでたまらない、というJUJUの気持ちが歌詞、歌声、身ぶり手ぶりから伝わってきます。島健が音楽監督を務めたバック・バンドは、彼のピアノにギター、ベース、ドラムス、そして管楽器4人が加わるという編成ですが、まるでビッグ・バンドのように分厚い音を出していました。

続く「YOU’D BE SO NICE TO COME HOME TO」からは、いわゆるスタンダード・ナンバーが続きます。「NIGHT AND DAY」、「CRY ME A RIVER」からラテンの「QUIZAS, QUIZAS, QUIZAS」、映画「バグダッド・カフェ」からの「CALLING YOU」まで、キャラクターの立った名曲が次々とJUJUの歌声で紹介されてゆきます。すべて外国語で歌われましたが、曲間のMCではユーモアを交えながら歌詞の大意を説明し、リスナーがその歌に、より親しみを持てるように配慮していたのも印象的でした。また「LULLABY OF BIRDLAND」ではサラ・ヴォーンのヴァージョンを意識したアレンジを用いて、歌詞とスキャットの両方で楽しませてくれました。この曲は10月27日から始まるTVドラマ『DOCTORS 最強の名医』の主題歌に決定したそうです。

「愛してやまないジャズを、憧れのブルーノート東京で歌えて嬉しい」と語るJUJU。今後、彼女のジャズ・シンギングを聴く機会はさらに増えることでしょう。
(原田 2011 10.10)


● 10.9sun.-10.10mon.
JUJU
JUJUの日SPECIAL LIVE in BLUE NOTE TOKYO


JUJU


2011/10/09

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , TOOTS THIELEMANS - - report : TOOTS T...

トゥーツ・シールマンス - TOOTS THIELEMANS
トゥーツ・シールマンス - TOOTS THIELEMANS


公演初日リポート:TOOTS THIELEMANS @すみだトリフォニーホール

音楽界の人間国宝、トゥーツ・シールマンスが久しぶりに来日しています。
11日から13日にかけて「ブルーノート東京」、14日は「コットンクラブ」で演奏しますが、それに先立って8日には「すみだトリフォニーホール」で公演が行なわれました。あの広いホール内は3階まで超満員。登場するやいなや怒涛のような拍手と歓声が巻き起こり、あらためてトゥーツの人気を実感させられました。

ハーモニカという、誰にでも身近に感じられる楽器を吹きながら、ワン&オンリーの世界を創ってしまったのがトゥーツの素晴らしさ。チャーリー・パーカーやマイルス・デイヴィスと同じステージに立ち、若き日のジョン・レノンに影響を与え、ビリー・ジョエルやポール・サイモンのアルバムにスペシャル・ゲストとして呼ばれたことのある奏者は、絶対に彼のほかにはいません。

圧倒的なテクニックを持ちながらも、語り口は常に親しみやすく、演奏曲目もメロディアスなものばかり。そこもトゥーツが幅広い人々に支持されている秘訣といえましょう。この日も「THE DAYS OF WINE AND ROSES」、「SNO’PEAS」、「I DO IT FOR YOUR LOVE」(以上3曲はビル・エヴァンスとトゥーツの共演アルバム『AFFINITY』より)、「THE DOLPHIN」といった名曲を楽しませてくれました。「OVER THE RAINBOW」ではオーディエンスの歌声と共演し、トゥーツの名を不動のものとした映画挿入歌「MIDNIGHT COWBOY」も、サウンドトラックの演奏より一層ジャジーなアレンジでじっくりと聴くことができました。もちろんプログラム後半にはオリジナル曲「BLUESETTE」も登場。ギターと口笛によるヴァージョンがよく知られていますが、この日はハーモニカで、あの美しいメロディを軽やかに奏でました。

ニールス・ペデルセン、マーク・ジョンソン、ケニー・ワーナー等、数多くの逸材を自身のバンドに加えてきたトゥーツ。今回、連れてきてくれたカレル・ボエリー(ピアノ)、ハイン・ヴァン・デ・ハイン(ベース)、ハンス・ヴァン・オーステルホウト(ドラムス)も見事な呼吸で御大のハーモニカを盛りたてていました。トゥーツはとくにハンスのプレイがお気に入りのようで、ドラムスと向かい合って演奏する瞬間が何度もありました。

ラリー・アドラー、レス・トンプソンなどトゥーツ以前にもジャズ的なハーモニカ奏者はいましたし、マウリシオ・エインニョルン、ヘンドリック・マーケンス、グレゴワ・マレ、アントニオ・セラーノ等、現役ジャズ・ハーモニカ奏者の活動にも目を見張るものがあります。しかし、それでもトゥーツの王座はゆるがない。この公演を聴いて、ぼくは改めてそう思いました。

なんと終演後には、「オーディエンスに会いたい」というご本人の希望でサイン会が開催され、少なくとも200名以上の人が並びました。この開催を申し出たトゥーツの精神に感銘を受けたのは言うまでもありませんが、列に並んだ多くの方が“おひとり様1点のみでお願いします”という主催者からの呼びかけに協力する日本のオーディエンスの皆さんの素晴らしい姿に、アーティストのスタッフらも深く感動し、ルールを守ってもらえるのであれば、ブルーノート東京でもサイン会を開催しよう、とお話していたと聞きました。
人間国宝89歳の境地を、ぜひ御体験ください!
(原田 2011 10.8)


● TOOTS THIELEMANS
10.11tue.-10.13thu. @BLUE NOTE TOKYO


●10.14fri. @COTTON CLUB

トゥーツ・シールマンス - TOOTS THIELEMANS

photo:K. Miura



2011/10/07

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , TANIA MARIA - - report : TANIA M...

タニア・マリア - TANIA MARIA
タニア・マリア - TANIA MARIA


公演初日リポート:TANIA MARIA



ここ数日、すっかり涼しくなりましたが、「ブルーノート東京」の夜はホットです。エモーショナルな音作りとキャラクターで知られるタニア・マリアが、ブラジルの太陽さながらの熱いステージを繰り広げているからです。

楽器編成はタニアのヴォーカル&キーボードのほか、ベース、ドラムス、パーカッションというシンプルなもの。彼女の世界を満喫するのに最もふさわしい編成といえましょう。ブラジル音楽のリズム感、クラシックで鍛えたピアノ・テクニック、そしてジャズ・テイストあふれる即興をあわせもつのがタニアの魅力ですが、ぼくが見た初日のファースト・セットでも、この3つの面をたっぷり聴かせてくれました。1曲あたりにかかる時間も、場合によってはCDに入っている同じ曲の2倍になることがあります。どんどん即興がエキサイトしていくので、どうしても演奏が長めになってしまうのですね。しかしこれこそがライヴの醍醐味です。タニアの必殺技であるピアノとスキャットのユニゾンが勢いよく飛び出し、会場には手拍子や声援が、ごく自然に巻き起こります。

タニアはライヴのセット・リストを掲載することを好みません。ひょっとしたら何を演奏するか事前に打ち合わせておらず、そのときの直感でレパートリーを決めているのかもしれません。演奏中でも、他のミュージシャンにどんどん指示を出していきます。いったいどんな曲が飛び出すか、ぜひ楽しみにしてクラブにお越しいただければと思います。ここだけの話ですが、昨日は「BESAME MUCHO」を、あっと驚くようなアレンジでやってくれました。御存知メキシコ生まれの名曲ですが、もしこの曲がブラジルで生まれていたらこんな感じだったのだろうな、と、ぼくはタニアの編曲力に感服いたしました。

‘80年代、タニアは『ワイルド』という題名のライヴ・アルバムを発表しました。しかし現在の彼女は往時の迫力そのままに、さらに端麗なサウンドをつくりあげています。ワイルド&エレガント。それが今日のタニア・マリアなのです。
(原田 2011 10.6)


● 10.6thu.-10.8sat.
TANIA MARIA

●10.10mon. はコットンクラブにて公演

タニア・マリア - TANIA MARIA


2011/10/05

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , -Love for Japan- , TOWER OF POWER - - TOWER OF POWER ...

タワー・オブ・パワー - TOWER OF POWER


TOWER OF POWER -Love for Japan-



3.11.2011、タワー・オブ・パワーは当店での公演期間中でした。
以来、彼らは日本へエールを送り続け、そして7ヶ月後の10月に再来日を果たしてくれました。
ライヴは "盛り上がりました"、を超越しすぎまして、表現が見つかりません。
お客様皆様、出演者皆様、本当に素晴らしい時間をありがとうございました。



● 10.4tue.-10.5wed.
TOWER OF POWER -Love for Japan-


タワー・オブ・パワー - TOWER OF POWER


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