BlueNote TOKYO

KIP HANRAHAN - - report : NARUYOS...

2011/12/08

キップ・ハンラハン - KIP HANRAHAN
キップ・ハンラハン - KIP HANRAHAN


公演初日リポート:
NARUYOSHI KIKUCHI presents
"SYNDICATE NKKH -DCPRG & AMERICAN CLAVE-"
KIP HANRAHAN "BEAUTIFUL SCARS"
with special guest NARUYOSHI KIKUCHI
& MAÏA BAROUH



今週の「ブルーノート東京」は菊地成孔ウィークといっていいでしょう。「NARUYOSHI KIKUCHI presents “SYNDICATE NKKH –DCPRG & AMERIAN CLAVE-”」と題し、6日にデートコースペンタゴンロイヤルガーデン、7日から9日までキップ・ハンラハンのプロジェクト“ビューティフル・スカーズ”(with special guest 菊地成孔)が開催されているからです。

ぼくはまず、デートコースペンタゴンロイヤルガーデン(DCPRG)のファースト・セットを見ました。彼らのライヴを体験するのはこれが3,4回目ですが、前回はいずれもオールスタンディングの場所での公演でした。そして3時間を優に超える長さでした。しかしDCPRGは見事に「ブルーノート東京」という空間を使い切ったようです。90分の中に、スリルとエッセンスを凝縮したのです。

これまで以上に菊地成孔の指揮を間近に見ることができたのも収穫でした。彼の指先、腕の振りひとつでサウンドがどんどん変化し、リズムのグラデーションが強まります。坪口昌恭や丈青が実にかっこよくジャズ的なフレーズを弾いているところに、キーボードで容赦なく不協和音を叩きつけるあたりにも興奮させられました。微動だにしないアリガスのベースは、聴く者を未知の世界に連れて行ってくれるようです。中盤からはヨスバニ・テリーがアルト・サックスとパーカッションで参加し、さらに興奮を付け加えました。

そして翌日はビューティフル・スカーズのライヴです。舞台にはフェルナンド・ソーンダース、ブランドン・ロス、ヨスバニ・テリーなどなど、キップ・ハンラハン一家というべきメンバーが並びます。キップはステージ中央に立ち、メンバーに指示を出します。MCをするわけでもなく、ヌッと現れスッと去ってしまうので、ひょっとしたら誰がキップ・ハンラハンなのかわからないままになっているお客様がいるかもしれません。あの謎めいた男性が、あの名プロデューサーのキップ・ハンラハンその人なのです。

日本からは菊地成孔(テナー・サックス)、マイア・バルーが参加。菊地が無伴奏で吹くパートもありましたし、マイアはパンソリ(韓国の伝統的な演唱芸)風のアプローチも聴かせてくれました。もちろんフェルナンドやブランドンが歌うナンバーもありました。楽曲は休息をおかずメドレー形式で披露されましたが、それもまた、ひとつの大きな物語に立ち会っているような気分を味わわせてくれました。
(原田 2011 12.7)


● 12.7wed.-12.9fri.
NARUYOSHI KIKUCHI presents
"SYNDICATE NKKH -DCPRG & AMERICAN CLAVE-"
KIP HANRAHAN "BEAUTIFUL SCARS"
with special guest NARUYOSHI KIKUCHI
& MAÏA BAROUH



ジョー・サンプル-JOE SAMPLE