BlueNote TOKYO
ARCHIVE 2012/02

2012/02/09

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , ELECTRIC EMPIRE - - report : ELECTRI...

エレクトリック・エンパイア - ELECTRIC EMPIRE
エレクトリック・エンパイア - ELECTRIC EMPIRE


公演初日リポート:ELECTRIC EMPIRE
with DJs presented by "Good Music Parlor"
MURO (2.8wed.) DJ NORI (2.9thu.), Jazzy Sport Crew (2.10fri.)



オーストラリアの生んだR&B〜ソウル・ミュージック・ユニット、エレクトリック・エンパイア(2009年結成)が遂に来日しました。

ぼくは喜びいさんで初日のファースト・セットに駆けつけたのですが、予想を遙かに超えたすさまじいライヴに、改めて彼らに惚れ直してしまいました。その全力パフォーマンス、憎いほどキャラクターの立った歌唱・楽曲・演奏は「オーディエンス全員を絶対に満足させるぞ」、「次の音楽界で天下をとるのは俺たちだ」という声が聞こえてきそうなほど頼もしいものでした。ひょっとしたら、音楽リスナーの中には「オーストラリアという国とR&Bのイメージが結びつかない」という方もいらっしゃるかもしれません。そういう方にもぼくは、エレクトリック・エンパイアのステージを、声を大にしてお勧めします。大切なのはどの国で生まれたかということではなく、音楽に対する深い愛情なのだ、ということが、強く伝わってくることでしょう。

構成員はデニス・ダウラット(ギター)、アーロン・メンドーサ(キーボード)、ジェイソン・ヒーラア(ドラムス)。そこに今回はサポート・メンバーとしてサイモン・オルセン(ベース)が加わります。デニスもアーロンもジェイソンも楽器の名手であると同時に、優れたリード・ヴォーカリストでもあります。軽やかで甘美なジェイソン、粘りと張りのあるアーロン、ファルセットの達人でもあるデニスが交互に美声を聴かせることで、バンドのサウンドには一層の深みとバラエティが生まれます。

なかでもぼくはジェイソンのパフォーマンスに惹かれました。基本的にドラムスを叩きながら歌うのですが、そのうまいこと、かっこいいこと。ヴォーカルのブレス(息継ぎ)の間に、ドラムスでフィル・イン(おかず)を入れるのですが、そのフレーズがまた、なんともファンキーなのです。歌いながらドラムスを叩くということは、いいかえれば自分で同時にメロディとリズムをリードするということです。誰にでも可能なことではありません。しかしジェイソンはそれを軽々とこなし、しかも観客に投げキッスまでしてしまうのですから、本当に「降参」です。

プログラムの大半はメンバーの自作ですが、それがまた良いのです。アル・グリーン、スティーヴィー・ワンダー、ダニー・ハサウェイ等の影響が指摘されているようですが、ぼくはそこにザ・バンドやラスカルズの名前も付け加えたくなりました。いいメロディを、いかしたコード(和音)、いいリズムと共に表現する・・・エレクトリック・エンパイアのやっていることは、別に斬新でも何でもありません。しかしその正攻法が、現在では新鮮なのです。うれしい気持ちにさせてくれるのです。メンドーサが歌ったスライ&ファミリー・ストーンの「IF YOU WANT ME TO STAY」(ヴォコーダーを使用)、マイケル・ジャクソンの「OFF THE WALL」といったカヴァー曲も見事でした。そうした先人たちがいたからこそ、今の自分があるということを、エレクトリック・エンパイアのメンバーは痛いほど知っているのでしょう。

ぼくはベテランのステージも、ビッグ・アーティストのステージも大好きですが、これからどんどん躍進していこうとしているミュージシャンのライヴに接する喜びは格別です。ライジング・スター、エレクトリック・エンパイアの未来は限りなく明るい! そう断言させていただきます。

3月にはやはり注目の新星、ベン・ロンクル・ソウルが登場します。こちらも猛烈に楽しみですが、まずは10日まで行なわれるエレクトリック・エンパイアのライヴにぜひ足を運んでいただければと思います。入場料¥5800の、何倍もの興奮と感動を与えてくれるはずです。
(原田 2012 2.8)

● 2.8wed.-2.10fri.
ELECTRIC EMPIRE
with DJs presented by "Good Music Parlor"
MURO (2.8wed.) DJ NORI (2.9thu.), Jazzy Sport Crew (2.10fri.)
☆ 参考:セットリストはこちら



☆ Coming Soon!
BEN L'ONCLE SOUL
3.17sat. & 3.19mon.

エレクトリック・エンパイア - ELECTRIC EMPIRE


ELECTRIC EMPIRE - ☆ パフォーマンス...

☆ パフォーマンス映像 : ELECTRIC EMPIRE

'70年代、ソウル・ミュージックの黄金時代を現代に蘇らせ
話題沸騰のバンド、エレクトリック・エンパイア。
ファンキーでメロウ、グルーヴ感あふれるサウンド満載の
パフォーマンス映像をアップしました。
2.10fri.はライヴ前のDJとしてJazzy Sport Crewが登場します!

●2.8wed.-2.10fri.
ELECTRIC EMPIRE
with DJs presented by "Good Music Parlor"
MURO (2.8wed.) DJ NORI (2.9thu.), Jazzy Sport Crew (2.10fri.)



2012/02/03

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , NARADA MICHAEL WALDEN - - report : NARADA ...

ナラダ・マイケル・ウォルデン - NARADA MICHAEL WALDEN
ナラダ・マイケル・ウォルデン - NARADA MICHAEL WALDEN


公演初日リポート:
NARADA MICHAEL WALDEN BAND
with special guest MASAYOSHI TAKANAKA



ホイットニー・ヒューストン、アレサ・フランクリン、セリーヌ・ディオン等を手がけた凄腕プロデューサーにして、最高峰の超絶ドラマー。それがナラダ・マイケル・ウォルデンです。日本武道館でもコンサートをしたことのある彼ですが、ブルーノート東京への登場は今回が初めて。盛りだくさんなプログラムで客席を大いに沸かせてくれました。

店内に入ると、巨大なドラム・セットが目に飛び込んできます。シンバルやタムの周りには花が飾られ、ツーバス(バス・ドラムが2個あるシステム)の片方には彼のイニシャル“NMW”、もう片方には近日発売予定のニュー・アルバムのタイトル“THUNDER”という文字が刻まれています。

オープニングからナラダのプレイはエンジン全開です。大きな体の持ち主ということも関係があるのでしょうか、ひとつひとつの音に並外れた重量感があります。スピード感たっぷりに叩きまくっても、決して軽薄な感じがせず、サウンドに腰があるのです。ウェザー・リポートやマハヴィシュヌ・オーケストラに在籍し、ジェフ・ベックからも愛されたドラムの腕前は今なお輝くばかりです。

そしてナラダは、素晴らしいシンガーでもあります。あれほど激しくドラムを叩きながら歌っているのに、息切れをまったくしていないのですから超人的です。そして曲と曲の間にはMCでファンを煽ります。選曲も“ベスト・オブ・ナラダ”というべきもので、1976年に発表されたファースト・アルバムのタイトル曲「GARDEN OF LOVE LIGHT」があるかと思えば、アレサ・フランクリンとのコラボレーションで爆発的にヒットした「FREEWAY OF LOVE」をニキータ・ジャーメインのヴォーカル(ものすごい声量の持ち主です。ナラダとは30年以上にわたる盟友とのこと)をフィーチャーして聴かせてくれたり、“エンジェル・ファンク”ことアンジェリーン・サリのベースが光るディスコ〜ファンク・メドレーあり、と、とにかく多彩なプログラムで楽しませてくれました。

後半はお待ちかね、高中正義の登場です。つまり’81年の大ヒット・アルバム『SAUDADE』、及び伝説の横浜スタジアム公演で繰り広げられた高中&ナラダの黄金コンビネーションが遂に、今ここで復活したわけです。「SAUDADE」、「READY TO FLY」、「MANIFESTATION」・・・たとえタイトルを知らなかったとしても、誰もが一度は聴いたことがあるであろう名曲の数々が、その当事者たちによって、目の前でプレイされていくのは快感のひとことに尽きます。奔放に弾きまくる高中、そのギター・フレーズに鋭く反応しながらドラムを叩くナラダ。顔を見合わせながら演奏するふたりの笑顔には、“音楽する喜び”が溢れていました。

「BLACK SHIP」で本編を終えた後、再びステージに登場したナラダ・バンドと高中は、さらに3曲を演奏。ラストはエミー賞を獲得した「ONE MOMENT IN TIME」(ホイットニー・ヒューストンのNO.1ヒット)で締めくくられました。「移動中のバスの中で、また一緒にアルバムを作りたいねと話し合った」というナラダと高中。これだけウマが合えば、次のコラボ作品も傑作まちがいなしでしょう!
(原田 2012 2.2)


☆ 参考:セットリストはこちら
● 2.2thu.-2.5sun.
NARADA MICHAEL WALDEN BAND
with special guest MASAYOSHI TAKANAKA



ナラダ・マイケル・ウォルデン - NARADA MICHAEL WALDEN


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