'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , ELECTRIC EMPIRE - - report : ELECTRI...
公演初日リポート:ELECTRIC EMPIRE
with DJs presented by "Good Music Parlor"
MURO (2.8wed.) DJ NORI (2.9thu.), Jazzy Sport Crew (2.10fri.)
オーストラリアの生んだR&B〜ソウル・ミュージック・ユニット、エレクトリック・エンパイア(2009年結成)が遂に来日しました。
ぼくは喜びいさんで初日のファースト・セットに駆けつけたのですが、予想を遙かに超えたすさまじいライヴに、改めて彼らに惚れ直してしまいました。その全力パフォーマンス、憎いほどキャラクターの立った歌唱・楽曲・演奏は「オーディエンス全員を絶対に満足させるぞ」、「次の音楽界で天下をとるのは俺たちだ」という声が聞こえてきそうなほど頼もしいものでした。ひょっとしたら、音楽リスナーの中には「オーストラリアという国とR&Bのイメージが結びつかない」という方もいらっしゃるかもしれません。そういう方にもぼくは、エレクトリック・エンパイアのステージを、声を大にしてお勧めします。大切なのはどの国で生まれたかということではなく、音楽に対する深い愛情なのだ、ということが、強く伝わってくることでしょう。
構成員はデニス・ダウラット(ギター)、アーロン・メンドーサ(キーボード)、ジェイソン・ヒーラア(ドラムス)。そこに今回はサポート・メンバーとしてサイモン・オルセン(ベース)が加わります。デニスもアーロンもジェイソンも楽器の名手であると同時に、優れたリード・ヴォーカリストでもあります。軽やかで甘美なジェイソン、粘りと張りのあるアーロン、ファルセットの達人でもあるデニスが交互に美声を聴かせることで、バンドのサウンドには一層の深みとバラエティが生まれます。
なかでもぼくはジェイソンのパフォーマンスに惹かれました。基本的にドラムスを叩きながら歌うのですが、そのうまいこと、かっこいいこと。ヴォーカルのブレス(息継ぎ)の間に、ドラムスでフィル・イン(おかず)を入れるのですが、そのフレーズがまた、なんともファンキーなのです。歌いながらドラムスを叩くということは、いいかえれば自分で同時にメロディとリズムをリードするということです。誰にでも可能なことではありません。しかしジェイソンはそれを軽々とこなし、しかも観客に投げキッスまでしてしまうのですから、本当に「降参」です。
プログラムの大半はメンバーの自作ですが、それがまた良いのです。アル・グリーン、スティーヴィー・ワンダー、ダニー・ハサウェイ等の影響が指摘されているようですが、ぼくはそこにザ・バンドやラスカルズの名前も付け加えたくなりました。いいメロディを、いかしたコード(和音)、いいリズムと共に表現する・・・エレクトリック・エンパイアのやっていることは、別に斬新でも何でもありません。しかしその正攻法が、現在では新鮮なのです。うれしい気持ちにさせてくれるのです。メンドーサが歌ったスライ&ファミリー・ストーンの「IF YOU WANT ME TO STAY」(ヴォコーダーを使用)、マイケル・ジャクソンの「OFF THE WALL」といったカヴァー曲も見事でした。そうした先人たちがいたからこそ、今の自分があるということを、エレクトリック・エンパイアのメンバーは痛いほど知っているのでしょう。
ぼくはベテランのステージも、ビッグ・アーティストのステージも大好きですが、これからどんどん躍進していこうとしているミュージシャンのライヴに接する喜びは格別です。ライジング・スター、エレクトリック・エンパイアの未来は限りなく明るい! そう断言させていただきます。
3月にはやはり注目の新星、ベン・ロンクル・ソウルが登場します。こちらも猛烈に楽しみですが、まずは10日まで行なわれるエレクトリック・エンパイアのライヴにぜひ足を運んでいただければと思います。入場料¥5800の、何倍もの興奮と感動を与えてくれるはずです。
(原田 2012 2.8)
● 2.8wed.-2.10fri.
ELECTRIC EMPIRE
with DJs presented by "Good Music Parlor"
MURO (2.8wed.) DJ NORI (2.9thu.), Jazzy Sport Crew (2.10fri.)
☆ 参考:セットリストはこちら
☆ Coming Soon!
BEN L'ONCLE SOUL
3.17sat. & 3.19mon.