BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , RONNY JORDAN - - report : THE RON...

2012/04/22

RONNY JORDAN - ロニー・ジョーダン
RONNY JORDAN - ロニー・ジョーダン


公演リポート:
THE RONNY JORDAN TRIO & GROUP
 1st: Ronny Jordan Organ Trio
 2nd: Ronny Jordan Group featuring DJ Krush


‘90年代初頭、彗星のように音楽シーンに飛び出したギタリストがロニー・ジョーダンです。彼の演奏する「SO WHAT」(マイルス・デイヴィスのカヴァー)は当時、一日に何度もFMで流れたものです。卓越したギター・テクニックだけではなく、まるで黒豹のような精悍なルックスも魅力的でした。それから約20年が経った現在、彼のギター・プレイにはさらに豊かさと光沢が増しています。「コットンクラブ」には出演したことがありますが、「ブルーノート東京」へは今回が初登場。ファースト・セットはオルガンをフィーチャーしたソウル・ジャズ仕様のパフォーマンス、そしてセカンド・セットはDJ KRUSHとのコラボレーションを含むアシッド・ジャズ/ヒップホップ的なアプローチで迫ります。両セット見れば、ロニーの過去・現在、そして未来までもがわかるのです。

ファースト・セットにあらわれたのはフル・アコースティック・タイプのエレクトリック・ギターを大事に抱えたロニー、そしてオルガンのメル(メルヴィン)・デイヴィス、ドラムスのブランドン・テイラーです。3人とも椅子に座って演奏するので視覚的には地味になるのかなと思っていたのですが、全然そんなことはありません。ロニーとメルはほとんど向かい合って演奏し、お互いのプレイに大喜びしながら演奏を続けました。そしてブランドンもニッコリしながら、粘りのあるサポートでソリストのアドリブを盛りたてます。1曲目の「BLUES FOR G.B.」(ジョージ・ベンソンに捧げたナンバー)から、3人のボルテージは最高潮のようです。ロニーのプレイは、まさしく‘60年代、ジャック・マクダフやジミー・スミスと一緒に演奏していた頃のベンソンに通じるもの。彼のことを“アシッド・ジャズの人気者”としてしか知らないひとにもぜひ聴かせたい、真正面を行くオーソドックスなプレイが聴けました。

続いて登場したのは、サックス奏者スタンリー・タレンティン作の「SUGAR」。スタンリーが他界した現在、ほとんど演奏されることがなくなってしまったような気がしますが、ギターとオルガンのユニゾンで聴くこの曲もまた、趣があります。その後は近作『The Rough and The Smooth』から、オリジナル・ナンバーの数々が演奏されます。なかでも、ロニーの日本での売り出しに大きく貢献したディレクター、故・柳田一彦さんに捧げた「REMEMBER WHEN」のメロディの美しさは絶品でした。柳田さんが亡くなってもう13年になりますが、ロニーがいかにその思い出を大切にしているかが伝わってくるような、とてもあたたかなパフォーマンスでした。

セカンド・セットは、この3人にベーシスト、キーボード奏者、ヴォーカリスト、そしてDJ KRUSHを加えた面々がステージに立ちます。レパートリーは一切、ファースト・セットとダブりなし。初期の代表曲も、近年の会心作もタップリ聴かせてくれます。ぜひ2セットとも見ていただき、ロニーの魅力を“コンプリート”してください!
(原田 2012 4.22)


● 4.22sun.-4.25wed.
THE RONNY JORDAN TRIO & GROUP
 1st: Ronny Jordan Organ Trio
 2nd: Ronny Jordan Group featuring DJ Krush


☆ 参考:セットリストはこちら


RONNY JORDAN - ロニー・ジョーダン