'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , STAX! featuring STEVE CROPPER,DONALD"D... - - report : STAX! f...
公演初日リポート:
STAX!
featuring STEVE CROPPER,
DONALD"DUCK"DUNN & EDDIE FLOYD
@COTTON CLUB
ギターのスティーヴ・クロッパー、ベースのドナルド・ダック・ダン、そしてヴォーカルのエディ・フロイド。1960〜70年代に一時代を築き、世界中の音楽シーンに影響を与えたといっても過言ではない名門、スタックス・レコードの中心人物が今、東京にいます。プロジェクト名はずばり、「STAX!」。本当は昨年、来日する予定だったのですが、震災の影響で流れたので、ちょうど1年ぶりのリベンジ公演ということになります。
ぼくは「コットンクラブ」で行なわれた初日のファースト・セットに足を運びました。メンバーが通路を通ってステージに近寄ってくるだけで、われるような歓声が起こります。この1年間、ぼくらファンは彼らが来るのを本当に待ち焦がれていました。スティーヴもダック・ダンも、60年代当時の写真と比べるとずいぶん横幅が増しています。しかしワン&オンリーのサウンド、グルーヴ感は今もまぶしいほど光り輝いています。またダック・ダンは指をネック側ではなく、ブリッジ側においてベースを弾きます。ふつうブリッジ側に近づいてプレイすればするほど、太い音色は得られるものの細部のコントロールは難しい、といわれています。しかしダック・ダンは、素晴らしい楽器コントロールと、太くてクリアな音を併せ持った“これぞソウルフル・ベース”というべきプレイを聴かせてくれました。前半は二人が在籍したブッカーT&ジ・MGズがらみのナンバー(「TIME IS TIGHT」、「GREEN ONNIONS」、「HIP-HUG-HER」)が続きますが、アイザック・ヘイズのバンドで長く活動したレスター・スネルのオルガンは無論ブッカー・T・ジョーンズの代役という域を超えた巨大な存在感を示し、ダック・ダンに“(MGズのオリジナル・ドラマーである)アル・ジャクソンJr.の再来”と賞賛されたスティーヴ・ポッツのドラムスも的確なビートでソリストを盛りたてます。天国のジャクソンも彼の健闘に目を細めたに違いありません。
後半にはいよいよお待ちかね、エディ・フロイドが登場します。あの「KNOCK ON WOOD」を大ヒットさせた伝説のシンガーですね。髪の毛はすっかり白くなりましたが、ソウルとパッションは60年代当時のままという印象を受けました。スタックス時代の仲間であるオーティス・レディングの「DOCK OF THE BAY」、スタックス専属ではありませんでしたがMGズと親交のあったウィルソン・ピケットに提供した「634−5789」(作詞・作曲はエディとクロッパー)等を交えたステージは、さしずめ“ソウル・ミュージック永遠の名曲集”といったところ。オーティスは若くして亡くなり、ピケットも今やこの世の人ではありません。しかしエディは健在で、こうして名曲をナマで届けてくれるのです。なんとありがたいことでしょう。本編ラストは、もちろん「KNOCK ON WOOD」。このオリジナル・レコーディングに参加したフロイド、クロッパー、ダック・ダンが目の前で一緒にこの曲を演奏している・・・気が遠くなりそうな一瞬でした。
公演は本日まで「コットンクラブ」、明日から12日まで「ブルーノート東京」で行われます。皆様、ぜひこの公演に足をお運びいただき、「気が遠くなりそう」になってください!
(原田 2012 5.8)
● 5.10thu.-5.12sat. @BLUE NOTE TOKYO
STAX!
featuring STEVE CROPPER,
DONALD"DUCK"DUNN & EDDIE FLOYD
STAX! featuring STEVE CROPPER,DONALD "DUCK" DUNN & EDDIE FLOYD