BlueNote TOKYO
ARCHIVE 2012/05

2012/05/09

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , STAX! featuring STEVE CROPPER,DONALD"D... - - report : STAX! f...

STAX! featuring STEVE CROPPER,DONALD
STAX! スティーヴ・クロッパー、ドナルド“ダック”ダン&エディ・フロイド - STAX! STEVE CROPPER,DONALD


公演初日リポート:
STAX!
featuring STEVE CROPPER,
DONALD"DUCK"DUNN & EDDIE FLOYD
@COTTON CLUB


ギターのスティーヴ・クロッパー、ベースのドナルド・ダック・ダン、そしてヴォーカルのエディ・フロイド。1960〜70年代に一時代を築き、世界中の音楽シーンに影響を与えたといっても過言ではない名門、スタックス・レコードの中心人物が今、東京にいます。プロジェクト名はずばり、「STAX!」。本当は昨年、来日する予定だったのですが、震災の影響で流れたので、ちょうど1年ぶりのリベンジ公演ということになります。

ぼくは「コットンクラブ」で行なわれた初日のファースト・セットに足を運びました。メンバーが通路を通ってステージに近寄ってくるだけで、われるような歓声が起こります。この1年間、ぼくらファンは彼らが来るのを本当に待ち焦がれていました。スティーヴもダック・ダンも、60年代当時の写真と比べるとずいぶん横幅が増しています。しかしワン&オンリーのサウンド、グルーヴ感は今もまぶしいほど光り輝いています。またダック・ダンは指をネック側ではなく、ブリッジ側においてベースを弾きます。ふつうブリッジ側に近づいてプレイすればするほど、太い音色は得られるものの細部のコントロールは難しい、といわれています。しかしダック・ダンは、素晴らしい楽器コントロールと、太くてクリアな音を併せ持った“これぞソウルフル・ベース”というべきプレイを聴かせてくれました。前半は二人が在籍したブッカーT&ジ・MGズがらみのナンバー(「TIME IS TIGHT」、「GREEN ONNIONS」、「HIP-HUG-HER」)が続きますが、アイザック・ヘイズのバンドで長く活動したレスター・スネルのオルガンは無論ブッカー・T・ジョーンズの代役という域を超えた巨大な存在感を示し、ダック・ダンに“(MGズのオリジナル・ドラマーである)アル・ジャクソンJr.の再来”と賞賛されたスティーヴ・ポッツのドラムスも的確なビートでソリストを盛りたてます。天国のジャクソンも彼の健闘に目を細めたに違いありません。

後半にはいよいよお待ちかね、エディ・フロイドが登場します。あの「KNOCK ON WOOD」を大ヒットさせた伝説のシンガーですね。髪の毛はすっかり白くなりましたが、ソウルとパッションは60年代当時のままという印象を受けました。スタックス時代の仲間であるオーティス・レディングの「DOCK OF THE BAY」、スタックス専属ではありませんでしたがMGズと親交のあったウィルソン・ピケットに提供した「634−5789」(作詞・作曲はエディとクロッパー)等を交えたステージは、さしずめ“ソウル・ミュージック永遠の名曲集”といったところ。オーティスは若くして亡くなり、ピケットも今やこの世の人ではありません。しかしエディは健在で、こうして名曲をナマで届けてくれるのです。なんとありがたいことでしょう。本編ラストは、もちろん「KNOCK ON WOOD」。このオリジナル・レコーディングに参加したフロイド、クロッパー、ダック・ダンが目の前で一緒にこの曲を演奏している・・・気が遠くなりそうな一瞬でした。

公演は本日まで「コットンクラブ」、明日から12日まで「ブルーノート東京」で行われます。皆様、ぜひこの公演に足をお運びいただき、「気が遠くなりそう」になってください!
(原田 2012 5.8)


● 5.10thu.-5.12sat. @BLUE NOTE TOKYO
STAX!
featuring STEVE CROPPER,
DONALD"DUCK"DUNN & EDDIE FLOYD
STAX! featuring STEVE CROPPER,DONALD "DUCK" DUNN & EDDIE FLOYD




2012/05/02

CHUCHO VALDES , OMARA PORTUONDO - ☆ パフォーマンス...

☆ パフォーマンス映像 : OMARA PORTUONDO & CHUCHO VALDÉS

人々に愛を届け続ける“永遠のディーヴァ”、オマーラ・ポルトゥオンドと
天才ピアニスト、チューチョ・ヴァルデス。キューバの至宝2人による
夢のステージ、初日のパフォーマンス映像をアップしました。
公演は5.5sat.まで。お見逃しなく!

●4.30mon.-5.5sat. (5.2wed.OFF)
OMARA PORTUONDO & CHUCHO VALDÉS



2012/05/01

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , CHUCHO VALDES , OMARA PORTUONDO - - report : OMARA P...

オマーラ・ポルトゥオンド - OMARA PORTUONDO
オマーラ・ポルトゥオンド - OMARA PORTUONDO


公演初日リポート:
OMARA PORTUONDO & CHUCHO VALDÉS



まさかこのふたりのコンビネーションを日本で聴けるとは思いませんでした。永遠の歌姫オマーラ・ポルトゥオンドと、“ザ・ピアノ・マスター”チューチョ・ヴァルデスの共演です。ふたりは、先ごろ『オマーラ & チューチョ』というアルバムを発表したばかり。この日のステージでも、「Babalu Aye」など、同作からの曲を中心に、限りなく芳醇なひとときを味わわせてくれました。

プログラムはまず、チューチョのインストゥルメンタル・ナンバーから始まりました。相変らずの大きなからだ、大きく分厚い手で奏でられるピアノ・サウンドは、とてつもなく煌びやかで、しかも深みがあります。本当に楽しそうに、軽やかにピアノを弾くチューチョですが、そのフレーズは長年のキャリア、そして超人的なテクニックに培われた、とても常人には真似のできない“ウルトラC”級のものです。

オマーラは2曲目の「LLANTO DE LUNA」から登場しました。大きな蝶がデザインされた黒い衣装に身を包んだ姿は、女王の貫禄に溢れていると同時に、どこか母親のような親しみやすさを感じさせます。1930年生まれとのことですから今年で82歳になるのですが、艶やかでよく伸びる歌声はもちろん健在。「遠路はるばる、よくぞ東京まで来てくれました」と、ぼくは心の中で最敬礼しながらオマーラ節に酔いしれました。スケール感豊かな歌唱に接していると、横でピアノを弾いているチューチョすら子供のように感じられるのですから不思議です。
もちろんチューチョ・バンドの面々も繊細きわまりないサポートを聴かせてくれました。

とくにキューバの国旗を楽器の前においてプレイしていたアンドレス・コアヨのキメ細かな演奏ぶりには脱帽です。パーカッションを叩きまくってバンドを盛り上げる奏者はいくらでもいますが、アンドレスは間を効果的に使って、アクセントのように音をおいていきます。そのセンスもまた、この日のライヴの大きな聴きものでした。
公演は5日まで続きます(2日はオフ)。皆様、ぜひいらしてください!
(原田 2012 4.30)


● 4.30mon.-5.5sat. (5.2wed.OFF)
OMARA PORTUONDO & CHUCHO VALDÉS
☆ 参考:セットリストはこちら


オマーラ・ポルトゥオンド - OMARA PORTUONDO


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