MINGUS BIG BAND - - report : MINGUS ...
公演初日リポート:
MINGUS BIG BAND
-Charles Mingus 90th Birthday Celebration-
この2012年は、偉大なベーシスト/作曲家であるチャールズ・ミンガスの生誕90周年にあたります。それを記念して、彼の楽曲を継承するミンガス・ビッグ・バンドの公演が昨日から行なわれています。この精鋭集団が前回、ブルーノート東京に登場したのは2005年のこと。その模様はCD『ライヴ・イン・トーキョー』にばっちり捉えられていますが、7年ぶりの来日となる今回のステージではメンバーが大幅に入れ替わり、さらにパワフルでコクのあるサウンドが生まれているように感じました。
とにかく、メンバーがすごいのです。トランペットのアヴィシャイ・コーエン(ベーシストとは別人)、ジェレミー・ペルト、トロンボーンのロビン・ユーバンクス、サックスのジェイソン・マーシャル、ウェイン・エスコフェリー、エイブラハム・バートン(今回はテナーではなくアルトに専念)、ドラムスのドナルド・エドワーズといったニューヨークきっての凄腕たち、すでに何枚もリーダー・アルバムを出している一線級のミュージシャンがずらりと集まって、ファンキーでドラマチックなミンガス・ナンバーを演奏するのですから、これが興奮せずにいられましょうか。「ああ、彼らが日本にいる間、ニューヨークのジャズ・シーンはずいぶん淋しいことになっているだろうなあ」と、ぼくは余計な心配をしてしまいました。
オープニング・ナンバーは「 HYPERLINK "http://www.metrolyrics.com/es-flat-ahs-flat-too-live-lyrics-charles-mingus.html" E'S FLAT, AH'S FLAT TOO」です。ミンガス自身は『ブルース&ルーツ』というアルバムで初演し、その後「 HYPERLINK "http://www.metrolyrics.com/hora-decubitus-lyrics-elvis-costello.html" HORA DECUBITUS」と改題して『ミンガス、ミンガス、ミンガス、ミンガス、ミンガス』というアルバムで再演しています。
しかしミンガス・ビッグ・バンドは、作者の残したレコードに入っている音を再現するわけではありません。新たにアレンジをほどこし、気鋭たちのソロを存分にフィーチャーしながら、21世紀のミンガス・サウンドを演出するのです。この曲ではジェイソン・マーシャルのバリトン・サックスが火を噴き(オリジナル・ヴァージョンのペッパー・アダムスに似せようとしていないところにも好感が持てます)、それをアレックス・シピアギンのトランペットが受け継ぎ、ヘレン・サンのピアノがクライマックスを演出し、その後ボリス・コズロフのベースとドナルド・エドワーズのドラムスが激しいチェイスを演じる、という実にホットなものでした。その後も「FABLES OF FAUBUS」、「GOODBYE PORKPIE HAT」等が次々と登場し、場内を沸かせました。
意外に思われるかもしれませんが、生前のチャールズ・ミンガスはレギュラーのビッグ・バンドを持ちませんでした(レコーディングされた大編成作品は、すべてそのために組織されたものです)。しかしミンガス・ビッグ・バンドはもう20年以上もの歴史を持っています。天国の御大は、どんな表情で彼らのサウンドに耳を傾けていることでしょう。
(原田 2012 8.30)
● 8.30thu.-9.2sun.
MINGUS BIG BAND
-Charles Mingus 90th Birthday Celebration-
☆ 参考:セットリストはこちら