'12 Bloggin' BNT by 原田和典 - - report : BILLY C...
2012/03/15
公演初日リポート:
BILLY CHILDS QUARTET
featuring STEVE WILSON, SCOTT COLLEY & BRIAN BLADE
アコースティック・ピアノもエレクトリック・キーボードも自由自在。作曲やアレンジにも才能を発揮し、ヴォーカリストのサポートも得意。ジャズ、フュージョン、ポップス等を幅広くこなし、クラシック音楽の素養もたっぷり。
それが今夜の主人公、ビリー・チャイルズです。これまで共演してきたミュージシャンにはクリス・ボッティ、ダイアン・リーヴス、フレディ・ハバードなど錚々たる名前が並びます。何度も来日し、グラミー賞も3度受賞していますが、リーダーとしての日本公演は今回が初めてとのことです。
他のメンバーにも凄腕が並びます。サックスのスティーヴ・ウィルソンは80年代後半、アウト・オブ・ザ・ブルーというバンドにケニー・ギャレットの後任として抜擢され、一躍注目を浴びました。その後もチック・コリアのオリジン、ミンガス・ビッグ・バンド等で活躍したり、クリスチャン・マクブライドやマルグリュー・ミラーと演奏しています。
ベースのスコット・コリーはジム・ホールのバンドで頭角を現し、近年はCAM JAZZというレーベルから面白いリーダー・アルバムを次々と発表しています。ドラムスのブライアン・ブレイドについて、もう説明は不要でしょう。チャイルズのバンドでは、ブライアン自身のプロジェクト(アメリカーナ的なフェロウシップ、シンガー・ソングライターとしての一面にスポットを当てたママ・ローザ)ではなかなか聴くことのできない、4ビートのジャズ・ドラミングをたっぷりと味わうことができます。
チャイルズはすべてアコースティック・ピアノで演奏しました。
ぼくが見た初日のセカンド・セットは、ほとんどがチャイルズの自作で占められていました。「けっこう難しい曲なんだよ」と本人もMCで語っていましたが、たしかにどれも、超絶的なハイ・テクニックを要するナンバーです。チャイルズの頭の中には、こんなに複雑なリズムやメロディが渦巻いているのだろうか、と、ぼくは演奏を聴きながら驚きました。しかし各プレイヤーは余裕綽々でそれをこなし、ブレイドは掛け声をあげながらドラムスを叩きます。気持ちいいではないですか。
チャイルズはまた、スタンダード・ナンバーの「IT NEVER ENTERED MY MIND」をトリオで、アンコールでは「MY FUNNY VALANTINE」をソロで聴かせてくれましたが、これも凝りに凝ったものでした。弾いていくうちに楽想がどんどん飛躍していくのでしょう、まるで壮大なピアノ・ソナタを思わせるプレイになっていくのです。
公演は16日まで行なわれます。チャイルズの演奏は、ジャズ・ファンだけではなく、クラシック・ファンにも楽しんでいただけるのではないでしょうか。
(原田 2012 3.14)
● 3.14wed.-3.16fri.
BILLY CHILDS QUARTET
featuring STEVE WILSON, SCOTT COLLEY & BRIAN BLADE