BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , MACY GRAY - - report : MACY GR...

2012/01/04

MACY GRAY - メイシー・グレイ
MACY GRAY - メイシー・グレイ


公演初日リポート:MACY GRAY


2012年のブルーノート東京のニュー・イヤーは、昨年度に増して賑やかです。デビュー・アルバムが700万枚を売り上げたグラミー・ウィナー、メイシー・グレイのライヴが行なわれているのです。

ステージにはまずバンドのメンバーが先に登場し、続いてメイシーが現れます。背の高い彼女がステージに登場すると、まるで大輪の花が咲いたかのようです。正月ということもあるのでしょうか、選曲は“大サービス”のひとことに尽きます。「I TRY」、「WHEN I SEE YOU」、「SEXUAL REVOLUTION」、「SWEET BABY」等の大定番が次々と登場しては、超満員(通路にまでファンが溢れました)の観客を沸かせます。

キーボード奏者のズゥはハモンド・オルガンとフェンダー・ローズを中心に演奏し、コーラスのシェミカ・シークレストとマイヤ・サイクスは激しいアクションを交えながらメイシーの歌声を盛りたてます。メンバー紹介を兼ねてプレイされたジェームズ・ブラウンの「FUNKY GOOD TIME」も見事でした。

それにしてもメイシーの声は本当に独特です。ニーナ・シモン、ビリー・ホリデイ、ティナ・ターナー等を引き合いに出されることもあるようですが、もちろんその誰にも似ていません。現在の音楽シーンにおいて、ワン・フレーズ歌っただけで、ここまで強烈な個性を感じさせるシンガーが彼女の他に、どのくらいいるでしょうか。そしてその歌声は、当然ながらライヴでより一層生々しく響きます。

加えてメイシーは、卓越したソングライターでもあります。ブルース、R&B、ファンク、ジャズ、ヒップホップ、レゲエ等の要素を取り入れた曲作りは実に親しみやすく、どこまでも楽しめるものです。

公演は本日まで行なわれています。現代R&B界を代表するディーヴァの、飛び切りファンキーなニュー・イヤー・ライヴをお見逃しなく!
(原田 2012 1.4)


● 1.3tue.-1.4wed.
MACY GRAY


メイシー・グレイ - MACY GRAY


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , FOURPLAY - - report : FOURPLA...

2011/12/30

フォープレイ - FOURPLAY
フォープレイ - FOURPLAY


公演初日リポート:FOURPLAY

毎年、大人気のラインナップが揃うブルーノート東京のカウントダウン〜ニュー・イヤー公演。今回はスムース・ジャズ〜フュージョン界を代表する名門グループ、フォープレイが2011年と2012年を結びます。

メンバーはボブ・ジェームス(ピアノ)、ネイザン・イースト(ベース、ヴォーカル)、ハーヴィー・メイソン(ドラムス)という20年間不動のラインナップに、チャック・ローブ(ギター)を加えた4人。チャックは2010年に加入したばかりですが、ニューヨーク・エリアでは知らぬ者のない名セッションマンにして、スムース・ジャズ界屈指のプロデューサーです。彼が参加したことによって、グループのサウンドはさらにカラフル、かつ陰影に富んだものになってきたような気がします。

フォープレイの公演はいつも大入り満員ですが、ぼくが見た初日のファースト・セットは、いつもよりさらに輪をかけて熱心なファンが訪れていたようです。場内の明かりが落とされ、メンバー4人が登場するだけで、ものすごい拍手と声援が巻き起こります。あまりの反応の大きさに、メンバー全員が目を白黒させながらステージに上る姿が強く印象に残りました。

ライヴは、フォープレイの数多いレパートリーの中でも、最も伝統的なジャズ寄りといえるナンバー「GENTLE GIANT」から始まりました。それもそのはず、この曲は2010年に91歳で亡くなった伝説的ジャズ・ピアニスト、ハンク・ジョーンズ(ブルーノート東京にも数多く出演ました)に捧げられているのです。ネイザンはエレクトリック・アップライト・ベースを弾き、ハーヴィーが快適にスイングするビートを送ります。

続く「Max-O-Man」からは、1991年に出たファースト・アルバムからの曲です。当時はリー・リトナーがギタリストでしたが、チャックのギターとボブのMIDIピアノの応酬がフィーチャーされた2011年ライヴ・ヴァージョンも実に鮮やかでした。「結成20周年」という言葉を、とくにMCで聞くことはありませんでしたが、この日のステージでは、ほかにも「BALI RUN」、「101 EASTBOUND」なども演奏されたので、新曲を披露するいっぽうで、“チャックを入れて初期の曲をリメイクしてみよう”というコンセプトもあったのかもしれません。

入魂の演奏で本編とアンコールを終えたメンバーは、当然のごとく握手攻めにあっていました。初日のファースト・セットでこの盛り上がりです。いったいカウントダウン&ニュー・イヤー公演はどこまで白熱するのでしょうか。ブルーノート東京史上、最高にヒートアップした年越しになるのではないかと、ぼくは今からワクワクしています。皆さんもボブ、チャック、ネイザン、ハーヴィーと共に、良い年を迎えようではありませんか!
(原田 2011 12.29)


●12.29thu.-2012 1.2mon.(1.1sun. OFF)
FOURPLAY




<2012 NEW YEAR JAPAN TOUR>
1.5thu. NAGOYA


1.6fri. OSAKA


1.7sat. HIROSHIMA

フォープレイ - FOURPLAY


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , ANNA MARIA JOPEK - - report : ANNA MA...

2011/12/25

アナ・マリア・ヨペック - ANNA MARIA JOPEK<br />
アナ・マリア・ヨペック - ANNA MARIA JOPEK<br />


公演初日リポート:ANNA MARIA JOPEK


クリスマスといえば「賑やか」、「パーティ」、「お祭り騒ぎ」といった言葉が浮かんできそうですが、欧米ではむしろ静かに過ごすのが一般的なようです。

今年はポーランドの歌姫、アナ・マリア・ヨペックがブルーノート東京のクリスマスを彩ります。才色兼備のシンガー・ソングライターであり、アコースティック・サウンドを愛してやまない彼女のステージは、しみじみと“聖夜”を味わうのにピッタリといえましょう。

親日家であるアナ・マリアは今回、日本語のMCも聞かせてくれました。それによると、プログラムはすべて「愛の歌」で構成されているのだそうです。正直に申し上げると、ぼくはポーランド語がわかりません。しかしアナ・マリアのバラエティに富んだ歌声(ささやくかのようなバラードから、豊かな声量をフルに使った歌いあげまで)は、言葉の壁を越えていました。「どうしてこんなにきれいなロング・トーンが出るのだろう」、「どうしてこんなに広い声域を出せるのだろう」と思いながら、ぼくは1曲1曲を味わいました。その歌声は、オーディエンスを優しく包むかのように、クラブ全体に響き渡ります。

プログラム後半では、有名なクリスマス・ソング「HAVE YOURSELF A MERRY LITTLE CHRISTMAS」も聴かせてくれました。最近ではクリスティーナ・アギレラも歌っていましたが、アナ・マリアはこれをポーランド語でしっとりと歌いあげます。聴きなれたメロディをポーランド語の歌詞で楽しむのは、実に新鮮な体験です。

バンド・メンバーの中では、クシシュトフ・ヘルヂンの大活躍が特に印象に残りました。ピアノでは往年のハービー・ハンコックを思わせる清新な即興演奏を聴かせ、縦笛ではひたすらリリカルに、かと思えばパーカッションでは躍動的なリズムを送り出すなど、ぼくにとって当日の“隠れMVP”は彼でした。

アンコールはアナ・マリアとギタリストのマレク・ナピュルコフスキのデュオ・・・と思っていたところ、1番が終わった後、2番からは他のメンバーもバック・コーラスでそこに加わります。そのときの全員の楽しそうな表情といったら! メンバーが皆、とても仲が良いからこそ、あれほどまとまったサウンドが生まれてくるのでしょう。

公演は明日まで行なわれます。心暖まるステージを、ぜひご体験ください。

(原田 2011 12.24)


● 12.24sat.-12.26mon.
ANNA MARIA JOPEK


アナ・マリア・ヨペック - ANNA MARIA JOPEK


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , THE CLAYTON-HAMILTON JAZZ ORCHESTRA , TRAINCHA - - report : THE CLA...

2011/12/22

クレイトン-ハミルトン・ジャズ・オーケストラ - THE CLAYTON-HAMILTON JAZZ ORCHESTRA
クレイトン-ハミルトン・ジャズ・オーケストラ - THE CLAYTON-HAMILTON JAZZ ORCHESTRA


公演初日リポート:
THE CLAYTON-HAMILTON JAZZ ORCHESTRA
with special guest TRAINCHA

ジョン・クレイトン(ベース、指揮)、ジェフ・クレイトン(サックス)、ジェフ・ハミルトン(ドラムス)が共同で率いるクレイトン=ハミルトン・ジャズ・オーケストラ(CHJO)がブルーノート東京に初登場しています。大型ジャズ・フェスティバルの看板アーティストとして何度も来日している彼らですが、メンバーの身振り手振り、生音の迫力が伝わるのは、やはりクラブ公演に尽きるでしょう。とくにトランペット・セクション(通常のビッグ・バンドは4人ですが、CHJOは5人)の鳴りは「すごい!」というしかありません。

ジョン・クレイトンは1977年から79年にかけてカウント・ベイシー・オーケストラに参加していました。オープニングの「BLUES FOR STEPHANIE」は、その当時、彼がベイシーのために提供したナンバーです。「ミスター・ベイシーのおかげで、今のCHJOがある」という声が聞こえてきそうな、スインギーこのうえない演奏で当日のセカンド・セットは始まりました。

続く「ENTERNAL TRIANGLE」もCHJOの得意曲のひとつです。ここではサックス・セクション全員のソロがフィーチャーされましたが、リッキー・ウダード(ホレス・シルヴァーのバンドでも活躍していました)とチャールズ・オウエンズ(元バディ・リッチ・オーケストラ)のテナー・サックスは重量感満載、実に渋い音を出していました。ジョン・クレイトンの指揮姿はさらに白熱し、最小限のドラム・セットで最大限のスイングを生み出すジェフ・ハミルトンのプレイも圧巻です。

バラード「FOR ALL WE KNOW」では、ジョン・クレイトンの弓弾きによるベース・プレイがフィーチャーされます。いわゆるジャーマン・ボウによるパフォーマンスですが、アンプやピックアップを使わない美しい生音、揺らぎのない音程、どこをとってもパーフェクトといいたくなるものでした。

「OH WHAT A BEAUTIFUL MORNING」からはスペシャル・ゲストのトレインチャが登場します。彼女は先日、CHJOを迎えたアルバム『ニューヨークの休日』を発表したばかりです。“この素晴らしいオーケストラと一緒に、あのキャピトル・スタジオでレコーディングできて、しかもツアーに出れるなんて。夢が叶った気分だわ”と語るトレインチャは嬉しさを隠せないようです。今回はクリスマス・シーズンということで、アルバム収録曲以外にクリスマス・ソング「LET IT SNOW」も披露。“東京に来る飛行機の中でジョンがアレンジしてくれたの。できたてホヤホヤよ”といいながら、トレインチャは華麗にメロディを歌いこなしました。

あと個人的に嬉しかったのは、リトル・ウィリー・ジョンの「CRYING OVER YOU」、サム・クックの「ANOTHER SATURDAY NIGHT」といったR&B系のナンバーが聴けたことですね。とくにリトル・ウィリー・ジョンはあまりにも過小評価されすぎているので、トレインチャが “素晴らしい歌手でソングライターなど多くの後進に影響を与えた”と紹介して「CRYING〜」を歌い始めたときには鳥肌が立ちました。
(原田 2011 12.21)


●12.21wed.-12.23fri.
THE CLAYTON-HAMILTON JAZZ ORCHESTRA with special guest TRAINCHA


クレイトン-ハミルトン・ジャズ・オーケストラ - THE CLAYTON-HAMILTON JAZZ ORCHESTRA


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , NICOLA CONTE JAZZ COMBO - - report : NICOLA ...

2011/12/20

ニコラ・コンテ - NICOLA CONTE
ニコラ・コンテ - NICOLA CONTE


公演初日リポート:NICOLA CONTE JAZZ COMBO -Love & Revolution-
featuring BRIDGETTE AMOFAH, TIMO LASSY, NICOLAS FOLMER,
PIETRO LUSSU, PAOLO BENEDETTINI & TEPPO MAKYNEN
DJ:TATSUO SUNAGA



プロデューサー、DJ、リミキサー、ギタリストとして幅広い活動を続けるニコラ・コンテが、自身のバンドと共に来日しています。

いつもハイレベルなメンバーを連れてきてくれるニコラですが、今回もニコラス・フォルメール(トランペット)、ティモ・ラッシー(サックス)、ピエトロ・ルッス(ピアノ)、パオロ・バネディッティーニ(ベース)、テッポ・マキネン(ドラムス)といった精鋭がズラリと揃っています。彼らのプレイを楽しみにクラブに駆けつける方も多いのではないでしょうか。「卓越したミュージシャンであり、僕の人生になくてはならない親友でもある」と、ニコラはMCで語っていました。

そして紅一点のヴォーカリストがブリジット・アモファーです。ロンドンを拠点とする彼女は、伝説のR&Bシンガーであるキャンディ・ステイトンと同じステージに立ったこともあるとのこと。「まさしく彼女の登場は、ディスカヴァリーという言葉にふさわしい」と、ニコラも賞賛しています。

オープニングの「ALL PRAISES TO ALLAH」がインストゥルメンタルでプレイされた後、ブリジットが登場します。CDではナイラ・ポーターとホセ・ジェイムズが歌っていた「LOVE FROM THE SUN」、メラニー・チャールズが歌っていた「SHIVA」等を次々と歌いこなしていくのですが、なるほど確かにニコラは大変な歌い手を“発見”したものです。まるで何年も前からニコラのバンドでシンガーを務めていたのではないか、と思えるほど、彼女の歌声は全体のサウンドに溶け込んでいました。

近年、あまり他のミュージシャンがとりあげない50〜60年代のジャズの隠れ名曲をプレイしてくれるのも、ニコラ・バンドの特徴です。DJとしてあらゆるレコードを聴いていくうちに、ニコラの中で「これをバンドで演奏すれば面白いんじゃないか」というアイデアが沸いて来るのでしょう。

インストゥルメンタルで演奏されたジャッキー・マクリーン作「APPOINTMENT IN GHANA」、ブリジットが歌ったマックス・ローチ作「FREEDOM DAY」などは、ぼくも何十回とオリジナル・ヴァージョンで聴いてきたナンバーです。そこには過剰なほどエモーションが溢れていましたが、それをクールかつスタイリッシュに処理するのがニコラ流カヴァー・ヴァージョンといっていいでしょう。そこが今のファンをつかんで離さない秘訣なのでしょうか。「BLACK SPIRITS」には、ランディ・ウェストンの名曲「AFRICAN COOKBOOK」のメロディが使われておりました。

公演は本日も行なわれています。ニコラが愛するシチリアのワインや料理に舌つづみを打ちながら、彼らのライヴをどうぞ!
(原田 2011 12.19)


● 12.19mon.-12.20t
NICOLA CONTE JAZZ COMBO -Love & Revolution-
featuring BRIDGETTE AMOFAH, TIMO LASSY, NICOLAS FOLMER,
PIETRO LUSSU, PAOLO BENEDETTINI & TEPPO MAKYNEN
DJ:TATSUO SUNAGA


ニコラ・コンテ - NICOLA CONTE


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