BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JUJU - - report : JUJU

2011/10/11

JUJU
JUJU


公演初日リポート: JUJU
JUJUの日SPECIAL LIVE in BLUE NOTE TOKYO



「奇跡を望むなら...」、「明日がくるなら」等、数々のヒット・ナンバーで知られるJUJU。R&B、ヒップホップ、ソウル、ハウス等、さまざまな要素を織り込んだ音作りで人気を集める彼女ですが、そのルーツにはジャズがあります。

幼い頃からジャズに親しんでいた彼女は、18歳のときにジャズ・シンガーを目指して単身ニューヨークに渡りました。帰国後、いわゆるJ-POPの世界で成功してからも、ジャズを思いっきり歌ってみたいという思いは変わらず、来る11月30日には念願のジャズ・カヴァー・アルバムを発表することも決定しました。

尊敬する歌手のひとりにサラ・ヴォーンを挙げ、ウェイン・ショーターの同名アルバムからステージ・ネームをとったJUJU。10月10日、“ジュジュの日”(日本記念日協会に認定されています)にブルーノート東京で行われたステージは、ジャズ・シンガーJUJUの魅力に溢れたひとときでした。

冒頭の「A WOMAN NEEDS JAZZ」は、新作アルバムのための書き下ろし。ジャズが好きでたまらない、というJUJUの気持ちが歌詞、歌声、身ぶり手ぶりから伝わってきます。島健が音楽監督を務めたバック・バンドは、彼のピアノにギター、ベース、ドラムス、そして管楽器4人が加わるという編成ですが、まるでビッグ・バンドのように分厚い音を出していました。

続く「YOU’D BE SO NICE TO COME HOME TO」からは、いわゆるスタンダード・ナンバーが続きます。「NIGHT AND DAY」、「CRY ME A RIVER」からラテンの「QUIZAS, QUIZAS, QUIZAS」、映画「バグダッド・カフェ」からの「CALLING YOU」まで、キャラクターの立った名曲が次々とJUJUの歌声で紹介されてゆきます。すべて外国語で歌われましたが、曲間のMCではユーモアを交えながら歌詞の大意を説明し、リスナーがその歌に、より親しみを持てるように配慮していたのも印象的でした。また「LULLABY OF BIRDLAND」ではサラ・ヴォーンのヴァージョンを意識したアレンジを用いて、歌詞とスキャットの両方で楽しませてくれました。この曲は10月27日から始まるTVドラマ『DOCTORS 最強の名医』の主題歌に決定したそうです。

「愛してやまないジャズを、憧れのブルーノート東京で歌えて嬉しい」と語るJUJU。今後、彼女のジャズ・シンギングを聴く機会はさらに増えることでしょう。
(原田 2011 10.10)


● 10.9sun.-10.10mon.
JUJU
JUJUの日SPECIAL LIVE in BLUE NOTE TOKYO


JUJU


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , TOOTS THIELEMANS - - report : TOOTS T...

2011/10/09

トゥーツ・シールマンス - TOOTS THIELEMANS
トゥーツ・シールマンス - TOOTS THIELEMANS


公演初日リポート:TOOTS THIELEMANS @すみだトリフォニーホール

音楽界の人間国宝、トゥーツ・シールマンスが久しぶりに来日しています。
11日から13日にかけて「ブルーノート東京」、14日は「コットンクラブ」で演奏しますが、それに先立って8日には「すみだトリフォニーホール」で公演が行なわれました。あの広いホール内は3階まで超満員。登場するやいなや怒涛のような拍手と歓声が巻き起こり、あらためてトゥーツの人気を実感させられました。

ハーモニカという、誰にでも身近に感じられる楽器を吹きながら、ワン&オンリーの世界を創ってしまったのがトゥーツの素晴らしさ。チャーリー・パーカーやマイルス・デイヴィスと同じステージに立ち、若き日のジョン・レノンに影響を与え、ビリー・ジョエルやポール・サイモンのアルバムにスペシャル・ゲストとして呼ばれたことのある奏者は、絶対に彼のほかにはいません。

圧倒的なテクニックを持ちながらも、語り口は常に親しみやすく、演奏曲目もメロディアスなものばかり。そこもトゥーツが幅広い人々に支持されている秘訣といえましょう。この日も「THE DAYS OF WINE AND ROSES」、「SNO’PEAS」、「I DO IT FOR YOUR LOVE」(以上3曲はビル・エヴァンスとトゥーツの共演アルバム『AFFINITY』より)、「THE DOLPHIN」といった名曲を楽しませてくれました。「OVER THE RAINBOW」ではオーディエンスの歌声と共演し、トゥーツの名を不動のものとした映画挿入歌「MIDNIGHT COWBOY」も、サウンドトラックの演奏より一層ジャジーなアレンジでじっくりと聴くことができました。もちろんプログラム後半にはオリジナル曲「BLUESETTE」も登場。ギターと口笛によるヴァージョンがよく知られていますが、この日はハーモニカで、あの美しいメロディを軽やかに奏でました。

ニールス・ペデルセン、マーク・ジョンソン、ケニー・ワーナー等、数多くの逸材を自身のバンドに加えてきたトゥーツ。今回、連れてきてくれたカレル・ボエリー(ピアノ)、ハイン・ヴァン・デ・ハイン(ベース)、ハンス・ヴァン・オーステルホウト(ドラムス)も見事な呼吸で御大のハーモニカを盛りたてていました。トゥーツはとくにハンスのプレイがお気に入りのようで、ドラムスと向かい合って演奏する瞬間が何度もありました。

ラリー・アドラー、レス・トンプソンなどトゥーツ以前にもジャズ的なハーモニカ奏者はいましたし、マウリシオ・エインニョルン、ヘンドリック・マーケンス、グレゴワ・マレ、アントニオ・セラーノ等、現役ジャズ・ハーモニカ奏者の活動にも目を見張るものがあります。しかし、それでもトゥーツの王座はゆるがない。この公演を聴いて、ぼくは改めてそう思いました。

なんと終演後には、「オーディエンスに会いたい」というご本人の希望でサイン会が開催され、少なくとも200名以上の人が並びました。この開催を申し出たトゥーツの精神に感銘を受けたのは言うまでもありませんが、列に並んだ多くの方が“おひとり様1点のみでお願いします”という主催者からの呼びかけに協力する日本のオーディエンスの皆さんの素晴らしい姿に、アーティストのスタッフらも深く感動し、ルールを守ってもらえるのであれば、ブルーノート東京でもサイン会を開催しよう、とお話していたと聞きました。
人間国宝89歳の境地を、ぜひ御体験ください!
(原田 2011 10.8)


● TOOTS THIELEMANS
10.11tue.-10.13thu. @BLUE NOTE TOKYO


●10.14fri. @COTTON CLUB

トゥーツ・シールマンス - TOOTS THIELEMANS

photo:K. Miura



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , TANIA MARIA - - report : TANIA M...

2011/10/07

タニア・マリア - TANIA MARIA
タニア・マリア - TANIA MARIA


公演初日リポート:TANIA MARIA



ここ数日、すっかり涼しくなりましたが、「ブルーノート東京」の夜はホットです。エモーショナルな音作りとキャラクターで知られるタニア・マリアが、ブラジルの太陽さながらの熱いステージを繰り広げているからです。

楽器編成はタニアのヴォーカル&キーボードのほか、ベース、ドラムス、パーカッションというシンプルなもの。彼女の世界を満喫するのに最もふさわしい編成といえましょう。ブラジル音楽のリズム感、クラシックで鍛えたピアノ・テクニック、そしてジャズ・テイストあふれる即興をあわせもつのがタニアの魅力ですが、ぼくが見た初日のファースト・セットでも、この3つの面をたっぷり聴かせてくれました。1曲あたりにかかる時間も、場合によってはCDに入っている同じ曲の2倍になることがあります。どんどん即興がエキサイトしていくので、どうしても演奏が長めになってしまうのですね。しかしこれこそがライヴの醍醐味です。タニアの必殺技であるピアノとスキャットのユニゾンが勢いよく飛び出し、会場には手拍子や声援が、ごく自然に巻き起こります。

タニアはライヴのセット・リストを掲載することを好みません。ひょっとしたら何を演奏するか事前に打ち合わせておらず、そのときの直感でレパートリーを決めているのかもしれません。演奏中でも、他のミュージシャンにどんどん指示を出していきます。いったいどんな曲が飛び出すか、ぜひ楽しみにしてクラブにお越しいただければと思います。ここだけの話ですが、昨日は「BESAME MUCHO」を、あっと驚くようなアレンジでやってくれました。御存知メキシコ生まれの名曲ですが、もしこの曲がブラジルで生まれていたらこんな感じだったのだろうな、と、ぼくはタニアの編曲力に感服いたしました。

‘80年代、タニアは『ワイルド』という題名のライヴ・アルバムを発表しました。しかし現在の彼女は往時の迫力そのままに、さらに端麗なサウンドをつくりあげています。ワイルド&エレガント。それが今日のタニア・マリアなのです。
(原田 2011 10.6)


● 10.6thu.-10.8sat.
TANIA MARIA

●10.10mon. はコットンクラブにて公演

タニア・マリア - TANIA MARIA


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , -Love for Japan- , TOWER OF POWER - - TOWER OF POWER ...

2011/10/05

タワー・オブ・パワー - TOWER OF POWER


TOWER OF POWER -Love for Japan-



3.11.2011、タワー・オブ・パワーは当店での公演期間中でした。
以来、彼らは日本へエールを送り続け、そして7ヶ月後の10月に再来日を果たしてくれました。
ライヴは "盛り上がりました"、を超越しすぎまして、表現が見つかりません。
お客様皆様、出演者皆様、本当に素晴らしい時間をありがとうございました。



● 10.4tue.-10.5wed.
TOWER OF POWER -Love for Japan-


タワー・オブ・パワー - TOWER OF POWER


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , NATALIE COLE - - report : NATALIE...

2011/09/26

ナタリー・コール - NATALIE COLE
ナタリー・コール - NATALIE COLE


公演初日リポート:NATALIE COLE



ビッグ・スター、ナタリー・コールの世界的にも希少なクラブ公演が昨日から始まりました。期日は10月3日までの1週間(9月29日はオフ)。今回もセットごとに、たくさんのファンに感動のひとときを届けてくれることでしょう。今回も音楽監督兼キーボード奏者のゲイル・デドリック、息子でパーカッション奏者のロバート・ヤンシー等、気心の知れた仲間に囲まれてのステージです。

バンド・メンバーのインストゥルメンタル・ナンバーが終わった後、お待ちかねのナタリーが登場します。衣装だけではなく、マイクもキラキラした素材でコーティングされているあたり、さすがスターです。

歌いだしたのは「IT‘S SAND MAN」。1940年代初頭のカウント・ベイシー・オーケストラのレパートリーに歌詞をつけたものですが、こんな渋い曲、どこから見つけてきたのでしょう。まるでスイング全盛期にタイムスリップしたかのように、ナタリーは歌ってくれました。そして“大好きなシンガーに捧げます”と前置きして、フランク・シナトラの「NICE ‘N’ EASY」、エラ・フィッツジェラルドの「MR.PAGANINI」、ペギー・リー(オリジナルはリトル・ウィリー・ジョン)の「FEVER」等を、ナタリー流の解釈で披露。大会場でのパフォーマンスも得意とするナタリーですが、こうしたジャズ・テイストたっぷりのナンバーは、クラブで聴いてこそ最高の味わいを発揮します。

中盤はバラード・コーナーといったところでしょうか。シャンソンが原曲の「I WISH YOU LOVE」、チャーリー・チャップリンが書いた「SMILE」等を淡々と歌い、もちろん父親ナット・キング・コールとのヴァーチャル・デュエット「UNFORGETTABLE」も聴かせてくれました。奇しくも今年は父ナットが初来日公演を行なってからちょうど50年。若くして亡くなったこともあり、いまや伝説の存在以外のなにものでもないナット・キング・コールですが、その血はナタリーに受け継がれています。

その後もランディ・ニューマン作曲の「I THINK IT’S GONNA RAIN TODAY」(個人的にはニーナ・シモンのヴァージョンが印象に残っています)をしっとりと聴かせ、ラストでは意外にもザ・バンドの「THE WEIGHT」をカヴァー。ナタリーはこの夏、オールマン・ブラザーズ・バンドとの共演ライヴでこの曲を歌い、すっかり気に入ってしまったとか。そのまま現在の演目にも取り入れているのだそうです。

スインギーなものから、しっとりしたバラード、そして土の臭いがするようなロック・ナンバーまで。ナタリーの多彩な魅力を堪能できた90分でした。
(原田 2011 9.26)


● 9.26mon.-10.3mon. (9.29thu.OFF)
NATALIE COLE


ナタリー・コール - NATALIE COLE


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