BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , -Love for Japan- BLUE NOTE TOKYO ALL-S... - - report : -Love f...

2011/03/29

ブルーノート東京 オールスター・ビッグ・バンド - Blue Note Tokyo ALL STAR BIG BAND
ブルーノート東京 オールスター・ビッグ・バンド - Blue Note Tokyo ALL STAR BIG BAND


公演初日リポート:-Love for Japan-
BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR BIG BAND



“今、自分たちにできることは何だろうか”。トランペット奏者、エリック宮城の呼びかけによる特別公演が「ブルーノート東京」で行われています。題して「-Love for Japan- ブルーノート東京 オールスター・ビッグ・バンド」。

エリック宮城がブルーノート東京に交渉し、各ミュージシャンと連絡を取ったのは3月24日のことだったそうです。その四日後、クラブには次のようなミュージシャンが集まりました。エリック率いる、“怪物バンド”との呼び声も高いEM BANDの面々。そして日野皓正、小曽根真、伊藤君子、海老沢一博、本田雅人、中川英二郎、寺井尚子といった文字通りのオールスター・ミュージシャンたち。彼らのスケジュールが調整できたのは文字通りの奇跡といえましょう。

超多忙なアーティストばかりですから、おそらくリハーサルの時間も満足にとれなかったことでしょう。しかしそこはマスター・クラスの面々です。各人が文字通り、“入魂”のパフォーマンスを聴かせてくれました。特定のパートを取り出して、誰のどの曲がよかった、と書くのは、今回は避けたいと思います。演奏終了後、レジのところでぼくの後ろに並んでいたお客さんは、“こんなすごい演奏は、もう聴けないかもしれないなあ!”と言っていました。この発言が、ライヴの内容を物語っています。

曲間に挟まれた、エリックやフィーチャリング・メンバーひとりひとりのコメントも胸を打つものでした。それを文字にすることもできるのでしょうが、口調や表情までは到底、書き表すことはできません。ぜひ実際にステージに足を運び、ミュージシャンたちの“熱い気持ち”に触れてもらえたら、と思います。本日29日は、山下洋輔や塩谷哲も登場します。いったいどんな音が飛び出すのか、さらに期待がつのります。

(原田 2011 3.28)


●3.28mon.-3.29tue.
-Love for Japan-
BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR BIG BAND


ブルーノート東京 オールスター・ビッグ・バンド - Blue Note Tokyo ALL STAR BIG BAND



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , PHIL WOODS QUINTET - - report : PHIL WO...

2011/03/27

フィル・ウッズ - PHIL WOODS
フィル・ウッズ - PHIL WOODS


公演初日リポート:PHIL WOODS QUINTET
featuring BRIAN LYNCH, BILL MAYS, STEVE GILMORE & BILL GOODWIN



アルト・サックスの人間国宝、“Mr.ダイジョブ”ことフィル・ウッズが元気な姿をみせてくれました。日本の人を励ますため、周囲の反対を押し切っての "強行来日" を果たしてくれた、と聞きました。その彼が「ブルーノート東京」に登場するのは約20年ぶり。久々の帰還を歓迎するように、場内には溢れんばかりのオーディエンスがつめかけました。

1曲目は「BOHEMIA AFTER DARK」。伝説のベース奏者、オスカー・ペティフォードが書いた曲ですね。50年代にはキャノンボール・アダレイやズート・シムズも演奏していましたが、最近はあまり取り上げられていないのが不思議です。こうした“隠れ名曲”を発掘するのは、ファンにはおなじみのウッズの得意技。数々のメロディを引用しながら、まさしく“ウッズ節”というべきアドリブで酔わせてくれました。もちろん20代、30代の頃の爆走感はうかがえませんが、79歳にして、ここまで往年の輝きを保っていることは驚きに値します。

ウッズの近作はあまり日本ではリリースされていませんが、イタリアのPhilologyというレーベル(熱心なウッズ・ファンが設立した)からは数多くの新譜が発表されています。そうした作品では、よりバラード・プレイに重点がおかれていることが多いのですが、この日も「ANOTHER TIME, ANOTHER PLACE」、「SOUVENIR」などで絶品のバラードを聴かせてくれました。作曲は、ウッズの大先輩であるベニー・カーターです。カーターはウッズの才能を早くから認め、共演アルバムも残しています(80年代の終わりには一緒に来日しました)。カーターは90代まで現役活動を続けましたが、ウッズもまだまだ第一線を走り続けてくれることでしょう。

“私はオールド・マンだからね、薬を飲む時間をもらうよ”というユーモア交じりのMCの後は、サイドメンをフィーチャーしたナンバーが続きます。ここでファンは、今回の公演がなぜ単なるフィル・ウッズ・クインテットではなく“フィル・ウッズ・クインテット・フィーチャリング・ブライアン・リンチ、ビル・メイズ、スティーヴ・ギルモア&ビル・グッドウィン”なのかに気づくわけです。見方を変えればメンバー全員が主役なのですね。熱演する彼らをステージ袖から見守るウッズの表情は、「どうだい、私のバンドのメンバーは最高だろう?」といいたげな自信に溢れたものでした。

その後、御大は再びアルト・サックスを手に、歌心いっぱいのプレイで楽しませてくれました。客席からは自然に手拍子が巻き起こります。ミュージシャンも、オーディエンスも、みんな笑顔です。

音楽の力ってすごいなあ。そう心から感じさせてくれるステージでした。
(原田 2011 3.26)


● 3.26sat.-3.27sun.
PHIL WOODS QUINTET
featuring BRIAN LYNCH, BILL MAYS, STEVE GILMORE & BILL GOODWIN


フィル・ウッズ - PHIL WOODS


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , TOWER OF POWER - - report : TOWER O...

2011/03/11

タワー・オブ・パワー - TOWER OF POWER
タワー・オブ・パワー - TOWER OF POWER


公演初日リポート:TOWER OF POWER


大きなアニバーサリーを迎えると、大抵の人間はそこで一区切りをつけてしまうものです。ひとまず落ち着いてしまうものです。
しかしタワー・オブ・パワー(TOP)は違います。先年、結成40周年を迎え、力作『グレイト・アメリカン・ソウルブック』と、盛大なアニバーサリー・ツアーを行なった彼らですが、その意欲、ファンキー度はこの2011年、さらに高まるばかりです。きっと彼らは結成45周年、いや50年に向けて、さらに全力疾走を続けてくれることでしょう。

リーダーのエミリオ・カスティーヨ(テナー・サックス)、“ファンキー・ドクター”ことスティーヴン・ドク・クプカ(バリトン・サックス)、フランシス・“ロッコ”・プレスティーア(ベース)、デイヴィッド・ガリバルディ(ドラムス)、みんなありあまるほどのエネルギーを発揮しています。バンドの礎を築いたといっていいであろう彼らと、その音楽を敬愛する精鋭ミュージシャンが一丸となって、現在進行形の生々しいTOPを目前で繰り広げてくれるのです。

TOPのホーン・セクションは、2本のトランペット、2本のテナー・サックス、1本のバリトン・サックスで構成されています。アルト・サックスが入ればもっと高音が強調されるのかもしれませんし、トロンボーンを加えれば、より柔らかな響きが生まれるかもしれません。しかしこのスピード感に満ちた、とことんまで引き締まったサウンドは、TOP独自の楽器の組み合わせによるところが大きいと思います。今回、トランペットはおなじみのアドルフォ・アコスタとエリック宮城が担当しましたが、エリックはソロでもアンサンブルでも眩しいほどのプレイを展開し、単なる助っ人以上の貢献をしていました。

ホーン・セクション、リズム・セクション、ヴォーカルがすべて強力なバンドは、ありそうでなかなか見つからないものです。乗ってもよし、聴きこんでもよし、踊ってもよし、一緒に歌ってもよし。どんな方法でも楽しめるのが、タワー・オブ・パワーの大きな魅力です。しかも彼らは、各セット、どんどん演目を入れ替えていきます(それほど自信作が多いのです)。1セットとはいわず、2セット、3セットと通いつめても、決して期待を裏切られることはないはずです。
永遠のファンキー野郎のライヴを、ぜひ間近でどうぞ!
(原田 2011 3.10)


● 3.10thu.-3.13sun.
TOWER OF POWER


タワー・オブ・パワー - TOWER OF POWER


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , HOLLY COLE - - report : HOLLY C...

2011/03/05

ホリー・コール - HOLLY COLE
ホリー・コール - HOLLY COLE


公演初日リポート:HOLLY COLE


この3月2日にコンピレーション・アルバム『私の時間 ザ・ベスト・オブ・ホリー・コール』をリリースしたばかりのホリー・コール。3月2日と3日の公演を「名古屋ブルーノート」で終えた彼女が、ブルーノート東京に戻ってきてくれました。当店公演は3月9日まで続き(7日はオフ)、その後11日にはコットンクラブに、13日にはモーション・ブルー・ヨコハマに登場します。10日間以上も日本にとどまって、ほぼ毎日2ステージのショウを繰り広げるわけです。彼女がどれほど、我が国の音楽ファンから愛されているかが伝わってきます。

ぼくは東京公演の初日を拝見しましたが、ホリーの来日公演には必ず足を運んでいるのであろうベテラン・ファンや、さいきん彼女を知ったと思われる若いリスナーがバランスよく客席を埋めていて、なんともいえない和やかな感じが生まれています。ホリーはスーツ姿にネクタイといういでたちで登場。オープニングの「INVITATION TO THE BLUES」(トム・ウェイツのヴァージョンで有名ですね)から、堂々たるパフォーマンスを繰り広げます。最初の1、2曲をバンド演奏(インストゥルメンタル)にして、その後に登場して歌い始めるというシンガーも少なくありませんが、ホリーはオープニングから熱唱し、観客をぐいぐいとひきつけていきます。アップ・テンポの「CHARADE」が終わるころには皆、ホリーの世界に浸っていたのではないでしょうか。

中盤では『私の時間』のボーナス・トラックであった「さくら(独唱)」も英語の歌詞で聴かせてくれました。中川ヨウさんが書いたCDライナーノーツには、“日本のリスナーとより強く結ばれたいので、J-POPからなにか歌いたいと思った。選曲を進めるうちに、森山直太朗さんの「さくら」に魅了された”というようなことが書かれています。ホリーはこの曲を見事な“ホリー節”で歌い上げました。単なるファン・サービスを超えた、シンセリティ(誠意)を感じさせるバラードを味わわせてくれました。

バンド・メンバーでは1986年以来のつきあいとなるアーロン・デイヴィスが今回も美しいピアノ・プレイでホリーの歌を引き立てていました。新加入の女流プレイヤー、コリーン・アレンはテナー・サックス、ソプラノ・サックス、クラリネットを持ち換えて大活躍。ホリーとの息もピッタリです。また「さくら」ではピンク色、ブルース調の曲では青色、スロー・バラードではシルエットを引き立たせるなど、見事な照明効果も印象に残りました。
(原田 2011 3.4)



● 3.4fri.-3.9wed.(3.7mon.OFF)
HOLLY COLE

●3.11fri.はコットンクラブにて公演
●3.13sun.はモーション・ブルー・ヨコハマにて公演

ホリー・コール - HOLLY COLE


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , KIRK WHALUM - - report : KIRK WH...

2011/03/01

カーク・ウェイラム - KIRK WHALUM
カーク・ウェイラム - KIRK WHALUM


公演初日リポート:KIRK WHALUM -The Gospel According to Jazz- @COTTON CLUB



グラミー賞を受賞したばかりのエスペランサ・スポールディングが「ブルーノート東京」に出演したのも記憶に新しいところですが、昨日からはやはり今年のグラミー・ウィナーとなったカーク・ウェイラムが来日公演をおこなっています。本日まで「コットンクラブ」に出演し、2日からは「ブルーノート東京」に場所を移します。

カークはこれまで11回、グラミー賞にノミネートされてきました。しかし賞を獲得することは叶いませんでした。今回の受賞が彼にとって、どれほど念願のものであったかは、想像するまでもありません。すでにスムース・ジャズ〜フュージョンのトップ・サックス奏者として不動の人気を誇っているカークですが、今回のグラミー受賞でさらにファン層を広げることでしょう。

ぼくは「コットンクラブ」の初日公演を見たのですが、内容は大きく、「ゴスペル曲」、「尊敬する先輩プレイヤーゆかりの曲」、「ホイットニー・ヒューストンやベイビーフェイス等、友人のミュージシャンにちなんだレパートリー」、「ヴォーカル・ナンバー」の4つに分かれていた、といっていいでしょう。つまりカークは、お気に入りのメンバーを揃えたバンドと共に、彼の持つ多彩な魅力を一夜のステージに注ぎ込んでくれたのです。

“愛というのは、2者の間だけのものではない。クリエイター(創造主)と我々の間にも愛は成立するんだ”と語りながらゴスペル・ナンバーを歌い、サックスを吹く姿。ホイットニーの大ヒット「I WILL ALWAYS LOVE YOU」をエモーショナルにプレイする姿(ホイットニーが歌ったこの曲のCDで間奏を吹いているのはカークです)。グローヴァー・ワシントンJr.に捧げた自作曲で白熱のソロを聴かせる姿。キーボード奏者ジョン・ストッダートの弾き語りにハーモニーをつける姿。カークの一挙一動には、“音楽する喜び”が溢れていました。
(原田 2011 2.28)


● 3.2wed.-3.3thu. @BLUE NOTE TOKYO
KIRK WHALUM -The Gospel According to Jazz-



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