BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , HARVEY MASON - - report : HARVEY ...

2010/07/08

ハーヴィー・メイソン - HARVEY MASON
ハーヴィー・メイソン - HARVEY MASON


公演初日リポート:HARVEY MASON “CHAMELEON BAND”
featuring PATRICE RUSHEN, JIMMY HASLIP, AZAR LAWRENCE & BILL SUMMERS


ハービー・ハンコックの歴史的名盤『ヘッド・ハンターズ』に参加、そのアルバムから派生したユニット“ザ・ヘッドハンターズ”の実質的なリーダーも務め、その後も“サマーズ・ヒート”、“ロス・オンブレス・カリエンテス”等のグループでファンを喜ばせ続けるパーカッション奏者=ビル・サマーズ。

70年代のジャズ・シーンに天才少女ピアニストとして彗星のごとく登場、シンガーとしても「Forget Me Nots」の大ヒットを持つキーボード奏者=パトリース・ラッシェン。

マッコイ・タイナーのグループやエレクトリック期のマイルス・デイヴィス・バンドでも活躍、名門プレスティッジ・レーベルに残したソロ・アルバムがクラブ・ミュージックの観点からも再評価が進んでいるサックス奏者=エイゾー・ローレンス。

人気バンド、イエロージャケッツのメンバーにして、来月はロベン・フォード、マイケル・ランドウ、ゲイリー・ノヴァクとの “レネゲイド・クリエイション”でも登場が決定している売れっ子6弦エレクトリック・ベース奏者=ジミー・ハスリップ。

なんという豪華メンバーでしょう。
リーダー格のドラマー=ハーヴィー・メイソンは巧みに彼らをまとめあげ、煽りたて、いくつものクライマックスを作ります。 “フォープレイ”における渋い、絹のような肌触りのドラミングとは一味もふた味も違う、ファンキー・ドラマーぶりが見事です。

考えてみればメイソンは前述の『ヘッド・ハンターズ』、クインシー・ジョーンズの『メロウ・マッドネス』、マリーナ・ショウの『フー・イズ・ジス・ビッチ・エニウェイ?』などで重責を担ってきた奏者です。最近では4ビート・ジャズのプロジェクトでも渋いところを聴かせているメイソンですが、ぼくはこの“カメレオン・バンド”のライヴに接して、彼のファンク魂が今も燃え盛っていることを改めて知りました。

レパートリーはメイソンとサマーズ両人が在籍した‘70年代ハービー・ハンコック・バンドのナンバーが中心。レコーディングにこそ参加はしていたが、ライブで演奏するのは初めてという『ヘッド・ハンターズ』のA面に収められていた「WATERMELON MAN」、「CHAMELEON」はもちろんのこと、意外なところではチャールズ・ロイド作の「FORREST FLOWER」、ジョン・コルトレーン作の「NAIMA」なども演奏されました。もちろん最小限のアレンジはほどこされていますが、あくまでもメインとなるのは各人の技の数々。これほどぜいたくなジャム・セッションは、今どきなかなか聴けないと思います。ぜひ足をお運びください!
(原田 2010/7/7)




● 7.7wed.-7.10sat.
HARVEY MASON “CHAMELEON BAND”
featuring PATRICE RUSHEN, JIMMY HASLIP, AZAR LAWRENCE & BILL SUMMERS



ハーヴィー・メイソン - HARVEY MASON


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , MAXI PRIEST - - report : MAXI PR...

2010/07/05

MAXI PRIEST マキシ プリースト



report : MAXI PRIEST @ COTTON CLUB



「このアーティストにはこの曲を絶対に歌ってほしい」
「あの大ヒット曲を生で聴くのを楽しみにして今日はここに来た」。

こうしたファンの勝手な期待に必ず応えてくれるアーティストがマキシ・プリーストです。だから会場ではオーディエンスの大合唱が巻き起こり、ものすごい声援が飛び交い、誰もがスタンディング・オヴェイションをおくります。もちろんマキシも熱唱につぐ熱唱、すきあらば観客の中に入って握手をしたり、「ハロー、トーキョー!」等のシャウトを挟んで客席を煽りまくります。まさにエンターテイナー、最大級のもてなしで夜を盛り上げてくれるのがマキシなのです。

そんな彼が本日から遂にブルーノート東京に登場します。ぼくは7月1日から3日にかけて行なわれていたコットンクラブ公演の二日目、ファースト・セットに潜入してまいりました。

パフォーマンスが始まる前から、客席にはスターの登場を待つ熱気が渦巻いています。マキシのライヴは女性ファンが多いのが特徴ですが、今回もそれは変わらず。さすが“貴公子”です。スマートな音作り、キャッチーなメロディ、恋の切なさ満載の歌詞。それらを、程よく円熟したヴォーカルが見事に表現していきます。

もちろん、あの大ヒット・バラードも、あの人気俳優とコラボレートした曲も歌ってくれました。自分の知っている曲を、そのオリジナル・アーティストである本人が目の前で歌う・・・・これは考えれば考えるほどすごいことです。
中盤では息子のマーヴィン・プリーストも登場。あのマキシに、こんな大きな子供がいたのかと驚かれたファンも多いのではないでしょうか。キャリア的にはすっかりベテランの域に達したマキシですが、これからも彼は、男の色気をまきちらしながらエンターテイナー性に磨きをかけてゆくことでしょう。
(原田 2010/7/3)

● 7.5 mon.-7.6 tue. BLUE NOTE TOKYO公演
MAXI PRIEST



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , MANHATTAN JAZZ ORCHESTRA , MANHATTAN JAZZ QUINTET - - report : MANHATT...

2010/06/22

マンハッタン・ジャズ・クインテット-MANHATTAN JAZZ QUINTET
マンハッタン・ジャズ・クインテット-MANHATTAN JAZZ QUINTET


公演初日リポート:MANHATTAN JAZZ QUINTET



日曜日に行なわれた「ブルーノート東京ジャズ・セミナー」で、たっぷりトーク(しかも日本語)を楽しませてくれたデヴィッド・マシューズ。いよいよ昨日からマンハッタン・ジャズ・クインテットによるステージが始まりました。

同グループは今年で発足26年を迎えます。初代メンバーはマシューズ(ピアノ)、ルー・ソロフ(トランペット)、ジョージ・ヤング(テナー・サックス)、チャーネット・モフェット(ベース)、スティーヴ・ガッド(ドラムス)。「あの頃はルーちゃんの髪の毛もフサフサだったし、ぼくのヒゲも真っ黒だった」と、マシューズは語っていました。

ここしばらくマシューズ、ソロフ、モフェット、アンディ・スニッツァー(テナー・サックス)、ヴィクター・ルイス(ドラムス)というラインナップで活動を続けていたクインテットですが、今回の公演ではモフェットに替わる新メンバーとしてフランソワ・ムタンが紹介されました。パリ出身の彼は、これまでマルシアル・ソラル(ピアノ)、エリック・ル・ラン(トランペット)、ランディ・ブレッカー(トランペット)、リシャール・ガリアーノ(アコーディオン)等と共演、1997年からニューヨークを拠点にしています。ぼくは彼とルイス・ムタン(ドラムス)が組んだ兄弟バンド“ムタン・リユニオン・カルテット”のCDを聴いてから、すっかりファンです。今回、ようやく生でフランソワのプレイを味わうことができたわけですが、こんなに速弾きソロをするベーシストだったとは驚きました。ムタンのプレイは、マンハッタン・ジャズ・クインテットの新たな呼び物になることでしょう。

もちろんオリジナル・メンバーのひとりであるルー・ソロフも目いっぱい気を吐いていました。いまでは使われることが珍しくなったプランジャー・ミュート(かつてデューク・エリントン・オーケストラが多用した)を用いて演奏したり、通常のトランペットよりさらに高い音を出すピッコロ・トランペットで突き刺すようなハイノートを出してファンを沸かせたり、客席を練り歩いて豊かな生音を響かせたり、ショウマンシップにさらに磨きがかかったような気がします。
また、つい先日までジェーソン・マイルスのプロジェクトにて同じブルーノート東京のステージに出演し、グローヴァー・ワシントン Jr. の魂を継承したかのようなアツいパフォーマンスで魅了してくれていたアンディ・スニッツアーが、今度はアコースティック・ジャズ・コンボでの"ドジャズ魂" をもって、まったくの "別の顔"を見せてくれてます。

プログラムは「Moanin’」、「I Got Rhythm」、「My Funny Valentine」等の超有名曲ばかり。すべてに周到なアレンジが施されていたことはいうまでもありません。日曜日にマシューズが語った「アレンジャーは作曲家なんだ」という言葉を強く実感させてくれるステージでした。



● 6.21mon.-6.24thu.
MANHATTAN JAZZ QUINTET

マンハッタン・ジャズ・クインテット-MANHATTAN JAZZ QUINTET


'11 BNT : What's Happenin' ! , '12 Bloggin' BNT by 原田和典 , MANHATTAN JAZZ ORCHESTRA , MANHATTAN JAZZ QUINTET - - report : DAVID M...

2010/06/21

マンハッタン・ジャズ・クインテット-MANHATTAN JAZZ QUINTET
マンハッタン・ジャズ・クインテット-MANHATTAN JAZZ QUINTET


- report : DAVID MATTHEWS ジャズ・セミナー



この20日、ブルーノート東京横のフレンチ・レストラン「adding:blue」で、デヴィッド・マシューズによる公開セミナー「ブルーノート東京 ジャズ・セミナー “What is Standard?”」が行なわれました。USTREAMによる同時中継も行なわれ、視聴者からの意見はTwitterで反映されました。
梅雨時ということで天気が心配されていましたが、フタをあければ見事な快晴。日曜の午後、気持ちのいいひとときを過ごすことができました。

デヴィッド・マシューズはおなじみのキャプテン・ハットをかぶって登場。進行役の平賀マリカが彼のプロフィールを説明します。フランク・シナトラ、ジェームズ・ブラウン、サイモン&ガーファンクル、ポール・マッカートニー等、マシューズが関わってきた超大物ミュージシャンの名前が出るごとに場内は沸きます。

「フランク・シナトラはセキュリティ(ボディガード)がすごかった」

「シナトラのレコーディングにはニューヨークの当時の超一流が集まっていた。若手ではブレッカー・ブラザーズ、長老ではライオネル・ハンプトン。リズム・セクションはロン・カーターとスティーヴ・ガッドで、指揮はクインシー・ジョーンズだった」

「ジェームズ・ブラウンは音楽の天才だったが、ビジネスマンでもあった。7つのラジオ局、3つのホテル、自家用飛行機を持っていた」

「ジェームズは新しいファンクのスタイルを作った。彼がいなければ、マイケル・ジャクソンのパフォーマンスも生まれなかったのではないか」
といったことを、マシューズは日本語で話してくれました。

そして中盤から、いよいよマンハッタン・ジャズ・クインテットの話やこの日のメイン・テーマである「“What is Standard?”」へと移ります。

「スタンダード・ナンバーとは、1930年代から50年代に生まれたグレイト・アメリカン・ソングブックのこと。それ以降のナンバーを私は、スタンダード・スタイルと呼んでいる」

「アレンジャーは、作曲家にならなければならない。イントロ、ハーモニー、カウンター・ラインを作曲するんだ」
「ジャズ・ミュージシャンも、みんな作曲家なんだ。アドリブのとき、即興的にメロディを生み出すんだからね」

「アレンジのインスピレーションは、突然おりてくる」

「マンハッタン・ジャズ・クインテットの新メンバーのフランソワ・ムタンは、イケメンだよ」
などなど、リラックスした雰囲気の中で会は進みました。

そしてラストは、場内におかれたキーボードで「ステラ・バイ・スターライト」を演奏。
親日家という言葉を使うのも失礼なほど、日本を愛し、日本になじんでいるデヴィッド・マシューズ。けっこう街中をぶらぶらしたり、飲み屋にいることも多いそうです。見かけたら、ぜひ声をかけてみてください。

大成功に終わった本ジャズ・セミナー、第2弾、第3弾が早くも楽しみです!
(原田 2010/6/20)


● 6.21mon.-6.24thu.
MANHATTAN JAZZ QUINTET

マンハッタン・ジャズ・クインテット-MANHATTAN JAZZ QUINTET


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , RYAN SHAW - - report : THE NEW...

2010/06/18

NYFSC feat. ライアン・ショウ - NYFSC feat. RYAN SHAW
NYFSC feat. ライアン・ショウ - NYFSC feat. RYAN SHAW

公演初日リポート:THE NEW YORK FUNKY SOUL COLLECTIVE
with special guest RYAN SHAW


先週、行なわれて大好評だった「トゥ・グローヴァー・ウィズ・ラヴ」からのメンバー5人と、気鋭のR&Bシンガーであるライアン・ショウの豪華共演。本国アメリカでもなかなか聴くことのできない組み合わせです。

「トゥ・グローヴァー〜」については前々回の当コーナーで触れましたので、今回はライアンに的を絞って書きましょう。ぼくが彼のライヴに接したのは、これが3度目です。最初は渋谷オーチャードホールで行なわれた「JVCジャズ・フェスティバル・イン・ジャパン」、次はブルックリンの野外フェスティバル(ベテラン・シンガー、オーティス・クレイとのダブルビルでした)、そして今回の「ブルーノート東京」公演、というわけです。

ホール、野外フェス、クラブと、それぞれ別のシチュエーションで聴いてきたのですが、絵になる男といえばいいのでしょうか、本当にどのセッティングでもサマになります。JVCのときは、いかにも新進という言葉がふさわしい初々しさがありました。しかし、いまでは勢いはそのままに、貫禄すら感じさせる存在になりました。ライアンは“伸びている”シンガーなのだなあ、と今回のステージに接して強く思いました。
昨日、彼が歌ったのはカーティス・メイフィールドの「PEOPLE GET READY」、マーヴィン・ゲイの「INNER CITY BLUES」等。「INNER〜」はインストゥルメンタル・ヴァージョンが「トゥ・グローヴァー〜」のステージで演奏されましたが(この曲は、グローヴァー・ワシントンJr.の得意曲でもあるのです)、ライアンのスムースなヴォーカルで味わう喜びは格別です。

まさかの「JUST THE TWO OF US」も聴くことができました。実はこの曲、「トゥ・グローヴァー〜」では取り上げられていなかったのです。音楽監督&キーボード奏者のジェイソン・マイルスがMCで言っていました。“「トゥ・グローヴァー〜」のライヴで、どうして「JUST 〜」をやらないの?ってたくさん訊かれたよ。だけどこの曲はヴォーカリストがいないとね・・・。今日はライアンがいるから、彼に歌ってもらおう!”。

オリジナル・ヴァージョンを歌ったビル・ウィザーズとはまた別の、高く艶やかな歌声、軽快なフィーリング(ライト感覚と言い換えてもいいでしょう)でライアンはこの曲をよみがえらせました。そしてアンコールでは代表曲「DO THE 45」を熱唱。ジュニア・ウォーカーの「SHOTGUN」を髣髴とさせるダンス・ナンバーで、クラブを総立ちにさせたのでした。
(原田 2010/6/17)


● 6.17thu.-6.18fri.
THE NEW YORK FUNKY SOUL COLLECTIVE
with special guest RYAN SHAW

NYFSC feat. ライアン・ショウ - NYFSC feat. RYAN SHAW


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