BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , CANDY DULFER , MACEO PARKER - - report : MACEO P...

2010/02/12

メイシオ・パーカー-MACEO PARKER


- 本日は、渡辺さんへライブ・レポートをご依頼させて頂きました! (原田)-

公演初日リポート:MACEO PARKER with very special guest CANDY DULFER
"My Funky Valentine"

report - by 渡辺由美子


冷たい雨降る日没の街から一転、熱気の渦中へ。
開場時間までまだしばらくあるというのに、
すでにブルーノート東京のフロントフロアは「今や遅し」と
興奮を抑えきれない人たちであふれていた。
長年のメイシオファンであろう年配の方から、
キャンディのことを話している若い女性グループまで、客層が幅広い。
思っていたよりも若い世代が多く見られ、また彼らの中には
「順番に呼ばれるんだよね? 席取り焦らなくてもいいんだよね?」
と入場方法を確認しあっている人もいたので、ブルーノート初体験も少なくないようだ。
キャンディが世界的に有名になった頃をリアルタイムではおそらく
知らない世代であるのにこの人気ぶり、すごいなあ。
幾度ものブルーノート経験のある私としては、
ここはひとつ、大人の女としてゆとりある態度を見せたい。
が、思わずつられて手元のナンバーを何度も確認し、
席空いてんだろうねえ?とソワソワしてしまった。
メイシオ・パーカーとキャンディ・ダルファー、
こんな贅沢な共演、まあ、誰しも興奮するのは当然、ですよね。 

聞きしに勝るファンキーでエネルギッシュなライヴ。
メイシオは公演期間中の2月14日バレンタインが誕生日で、67歳を迎えるとのこと。
吹いて歌って踊って、と年齢をまったく感じさせないパワーに驚愕。
美しく力強いキャンディの音色、2人の文字通り息の合ったパフォーマンスもさることながら、
トロンボーンのデニス・ロリンズ、トランペットのロン・トゥーリーなど、
脇をかためるというにはあまりに凄すぎるメンバーたちのプレイにも
参りました、というより他ない。

アンコールのピック・アップ・ザ・ピーセスでお客さんは総立ちに。
私は興奮を静めるべく、バレンタイン特製のデザートでシメました。
手鞠のような美しいチョコレートのボールの中に、甘酸っぱいマンゴーと
パッションフルーツのムース。シャンパンのフワフワのサバイヨンソースと
こっくりとしたホワイトチョコレートのアイスクリーム。

耳に音の余韻を、舌に甘い余韻をまとわせ、まだ雨のやまぬ街へ。
寒さを感じないうちに帰途に着いたのでした。

渡辺由美子  料理専門誌「シェフ」編集長


● 2.11thu.-2.16tue.
MACEO PARKER with very special guest CANDY DULFER
"My Funky Valentine"


MACEO PARKER with very special guest CANDY DULFER


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , BOOKER T. - - report : BOOKER ...

2010/02/08

BOOKER T.-ブッカー・T.
BOOKER T.-ブッカー・T.


公演初日リポート:BOOKER T.


2008年にMG’sを率いて登場し(忌野清志郎の飛び入りもありました)、満場を沸かせたブッカー・T・ジョーンズが、今度は自己の最新ユニットと共に戻ってきました。セット・リストは、大きく次の3つに分かれています。
最新作『ポテト・ホール』からのナンバー。
「GREEN ONIONS」や「TIME IS TIGHT」等、60年代から70年代にかけて放ったMG’s黄金のレパートリー。
オーティス・レディングが歌った「THE DOCK OF THE BAY」や、アルバート・キングで有名になった「BORN UNDER A BAD SIGN」等、かつて曲作りに携わったナンバーの自作自演(主にギターを弾きながら歌う)。
そして極めつけは、あの紅茶のTV CM で起用されたことで有名な "Jamaica Song"。
日本のファンのためだけに、特別に練習してきてくれたそうです。

とにかく盛りだくさんのプログラムで、身体中に沁みわたるような満足感を味わわせてくれました。どの曲も気持ちよかったことはいうまでもありませんが、ぼくが最も興奮したのは『ポテト・ホール』からのナンバーでした。とにかく曲がいいのです。フレーズが新鮮なのです。「WARPED SISTER」あたり、MG’sのナンバーと並べても少しもひけをとらないばかりか、むしろそれ以上では?と言い切りたくなるほど魅力的なメロディです。50年近いキャリアを持ちながら、いまもなおこんなにファンキーで親しみやすい旋律が書けて、次から次へと魅力的なフレーズを指先から生み出せるブッカー・Tは、まさしく掛け値なしの“ハモンド・オルガンの錬金術師”といえましょう。

ふたりのギタリスト(トロイ・ゴンウィー、ヴァーノン・ブラック)が、またいい味を出していました。ぼくの聴いた限り、リード・ギター、サイド・ギターという役割分担は特にないようで、互いに絡みあいながら演奏を盛り上げている印象を受けました。あえて類例を見つけ出すならば、ローリング・ストーンズのギタリストたちでしょうか(特にキース・リチャーズとロン・ウッドのコンビネーション)。彼らに通じる図太いウネリが、ブッカー・Tの骨太なオルガンをさらに際立たせているのです。今のブッカー・T・バンドの音は、MG’sのそれよりもハード・エッジでロック色が強いのが特徴ですが、こうしたサウンドこそ現在のブッカー・Tの目指すところなのでしょう。もちろんぼくは両手をあげて、これを歓迎します。

『ポテト・ホール』は、先日のグラミー賞でベスト・ポップ・インストゥルメンタル賞に輝きました。だからというわけではないですがブッカー・Tは今、真の絶頂期を迎えているのではないでしょうか。とにかく現在の彼は、いつもよりさらにノリにノっています。これを見逃さない手はありません!!
(原田 2010/2/7)




● 2.7sun.-2.10wed.
BOOKER T.

ブッカー・T.-BOOKER T.


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , FRANK SINATRA Jr. - - report : FRANK S...

2010/02/03

フランク・シナトラJr.-FRANK SINATRA Jr.
フランク・シナトラJr.-FRANK SINATRA Jr.


公演初日リポート:FRANK SINATRA Jr. "Sinatra sings Sinatra"


シナトラ・シングス・シナトラ。フランク・シナトラJr.のブルーノート東京初登場に、これ以上ふさわしいプログラムはないでしょう。

開催の情報を知ってからというもの、ぼくはこの日が来るのを待ち望んでいました。生前のシナトラのライヴに間に合わなかった者として、彼のDNAを受け継ぐ息子のショウを見るのはシナトラ・ファンの責務であると感じたからです。ぼくはシナトラのCDを3〜40枚は持っていますが、そこに収められているのは、まさしく名唱の大群です。それをどうシナトラ・ジュニアが表現するのか。

「MY WAY」、「THEME FROM NEW YORK,NEW YORK」、「STRANGERS IN THE NIGHT」は、必ず歌うだろう。
だけど「ONE FOR MY BABY」、「I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN」、「WITCHCRAFT」、「ALL THE WAY」あたりもぜひ歌ってほしい。できれば「I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN」は、父親が残した決定版(ネルソン・リドルのアレンジ。アルバム『SONGS FOR SWINGIN’ LOVERS!』収録)を踏襲してほしい。
彼が登場するまで、ぼくは「あれも聴きたい、この曲も歌ってほしい」と思いながらステージを見つめていました。

バンド演奏が終わると、シナトラ・ジュニアが静かに現れました。貫禄があります。声の質感もフレーズもヴィブラートのかけかたも、決して父親と同じではありません。あくまでも自分自身の歌い方を元に、父親ゆかりの曲に取り組んでいる。そこに好感が持てました。父親同様の丁寧なディクション(単語の語尾のsやedの発音が美しい)は、とくにバラードで効果をあげていました。
おまちかねの「I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN」は、ステージの中盤で登場しました。嬉しいことにというか、こちらが勝手に望んだとおりというか、ネルソン・リドルの編曲を生かしながらも、見事シナトラ・ジュニアの解釈で歌いあげてくれました。父親のヴァージョンではミルト・バーンハートが一世一代のトロンボーン・ソロを聴かせてくれましたが、この日はコンラッド・ハーウィグが名手ぶりを発揮。シナトラもリドルも天国で喜んでいるに違いありません。

もうひとつ、‘ああ、さすがだなあ!’と思ったのは、バラードの「GUESS I'LL HANG MY TEARS OUT TO DRY」です。シナトラは『SINGS FOR ONLY THE LONELY』で絶唱を残しています。大変な難曲ですが、シナトラ・ジュニアは彼自身の解釈で見事、歌いこなします。ものすごいエモーションです。英語の意味など大してわからないのに、単語のひとつひとつが心に迫り、涙にぬれる孤独な男の姿が浮かんできます。ストーリーテラーだけが持つ世界を、ぼくは確かに味わいました。

父親が偉大すぎると、いろいろ大変なこともあるでしょう。が、フランク・シナトラ・ジュニアはひとりの、とても優れた歌い手である。そう誰もが断言できるはずです。
(原田 2/2/2010)


● 2.2tue.-2.6sat.
FRANK SINATRA Jr. "Sinatra sings Sinatra"


フランク・シナトラJr.-FRANK SINATRA Jr.


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , ROBERTO FONSECA - - report : ROBERTO...

2010/01/25

ROBERTO FONSECA-ロベルト・フォンセカ
ROBERTO FONSECA-ロベルト・フォンセカ


公演初日リポート:ROBERTO FONSECA


ひとつの雄大な物語に立ち会っているような気分になりました。
最初はごくおごそかに始まり、徐々に加速し、最後は飛びきりのファンキー・ナンバーでクラブ中を興奮の渦に巻き込む。そのコントラストがたまりません。ちょっと品のない表現になってしまいますが、この日のロベルト・フォンセカ・グループは間違いなく、オーディエンスを手玉にとっていました。

ぼくがロベルトの演奏を初めて聴いたのは確か第1回目の「東京JAZZ」でした。大ベテラン・シンガー、オマーラ・ポルトゥオンドとの共演は蒸し暑い野外スタジアムを涼しくしてくれました。音楽のために設営された会場ではないので音響はいまいちでしたが、それでもロベルトのピアノは美しく、際立ったサウンドを発していました。「このピアノ・タッチをぜひ音のいいライヴで味わいたい」と思ってから数年、待ったかいがありました。今、目の前でロベルトがピアノを弾いています。プレイもルックスも、以前よりずっと貫禄がつきました。“注目のニュー・スター”から真のスターへ、彼は見事な脱皮を果たしたのです。

大ベテランのハビエル・サルバがメンバーの一員だったことに驚いた方も多いでしょう。元イラケレの看板ミュージシャンです。ロベルトは彼のグループで本格的にデビューを果たしました。そして今、ハビエルはロベルトのグループにいます。この“師弟共演”が日本にいながらにして聴けるとは、キューバ音楽ファンならずとも興奮せずにはいられません。アルト・サックス、ソプラノ・サックス、クラリネット、フルートを持ち替えながら熱演するハビエルと、微笑みを顔いっぱいにうかべてサポートするロベルト。ふたりの表情を見比べているだけでも、なんだか暖かな気分になってきます。

ぼくの見たファースト・セットでは8曲が演奏されましたが、どれも大きな声援を受けていました。お客様に「なにが一番よかったですか?」と訊ねたら、たぶんキレイに票が8等分されるはずです。そのなかであえて1曲あげさせていただくなら、ぼくは「EL RITMO DE TUS HOMBROS」を選びます。魅力的なメロディとリズムがロベルト・フォンセカ・グループは、「イキのいい音を思いっきり聴きたい」というすべてのファンを喜ばせることでしょう。
(原田 2010/1/24)


● 1.24sun.-1.26tue.
ROBERTO FONSECA


ロベルト・フォンセカ-ROBERTO FONSECA


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , RUFUS , SLY STONE - - report : RUFUS f...

2010/01/17

ルーファス-RUFUS
ルーファス-RUFUS


公演初日リポート:RUFUS featuring SLY STONE


ルーファス、そしてスライ・ストーン。ファンクの2大伝説が、ここ東京でステージを共にしています。考えれば考えるほど、信じられないことです。

プログラムはまず、ルーファス単独のパフォーマンスから始まります。いまなおチャカ・カーン在籍時代の人気が圧倒的に高いルーファスですが、現在のヴォーカル陣の充実ぶりこそ、はっきりいって史上最高といっていいのではないでしょうか。4人の女性シンガーいずれもリード・ヴォーカルOK、コーラスばっちりという超実力派揃いなのです。とくに、前回の登場でも客席を沸きに沸かせたマダム・ディーの絶好調ぶりには耳が吸い寄せられました。マダムの熱唱を聴くと、まず誰もが並外れた声量に圧倒されることと思いますが、もちろん彼女はただの大声シンガーではありません。抜群のリズム感、ピアノ〜フォルテの絶妙なコントロールを伴った上での、岩をも崩すようなシャウトなのです。グループの中心人物であるトニー・メイデンとケヴィン・マーフィーは、本当に得がたい歌い手を見つけたものです。

「TELL ME SOMETHING GOOD」、「SWEET THING」、各シンガーをフィーチャーしたシットリ系のメドレーなどなど、もう何もいうことはありません。
やがてバンドが「DANCE TO THE MUSIC」のイントロを演奏します。いよいよお待ちかね、スライ・ストーンの登場です。2008年に彼がスライ&ザ・ファミリー・ストーンを率いて来日したとき、誰もが自分の目を疑ったはずです(日本に来ることはもちろん、カムバック不能であるとすら思われていたのですから)。ぼくもその公演を目撃しましたが、実際のところ“動くスライ”を観て興奮しているうちに時間が経ってしまった、というのが正直なところです。したがって今回は、つとめて落ち着いて楽しもうと心がけたのですが、やっぱりどうしても冷静にはなれません。みんな彼の再来日を待っていたのでしょう、オーディエンスの盛り上がりも爆発的です。スライは確実に前回より調子を取り戻しているように思いました。ルーファスのサポートも、スライに対する敬意が感じられるものでした。

ルーファス&スライ。前代未聞の両者のコラボレーションは、日を追うに従って、さらにファンキーでタイトになってゆくことでしょう。
(原田 2010/1/16)



● 1.16sat.-1.23sat.(1.18mon.OFF)
RUFUS featuring SLY STONE


ルーファス-RUFUS


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