BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JOHN TROPEA - - report : JOHN TR...

2010/01/14

ジョン・トロペイ-JOHN TROPEA
ジョン・トロペイ-JOHN TROPEA


公演初日リポート:JOHN TROPEA BAND
featuring ANTHONY JACKSON, LOU MARINI, CHRIS PALMARO & CLINT DE GANON


名手、ジョン・トロペイがニューヨークの仲間たちを連れてブルーノート東京に戻ってきました。
彼は'60年代から第一線で活躍するギタリスト。デオダート、ジェームス・ブラウン、ポール・サイモン、ロバータ・フラック等、数多くのミュージシャンのレコーディングやセッションに参加しています。'70年代から'80年代にかけては、いわゆるフュージョン・ブームを牽引するプレイヤーのひとりにも数えられていました。

今回の演奏は、フュージョン時代の緻密なアレンジを踏襲しつつ、よりジャム・セッション的なくつろいだ味わいを強調したもの、といえばいいでしょうか。ファンク、R&B、サンバ、4ビート・ジャズなどの要素が曲によって散りばめられていきます。カヴァー曲のアレンジにもトロペイならではのセンスが光りました。マーヴィン・ゲイの「LET'S GET IT ON」では、原曲のエロチックな雰囲気を保ちつつも、メロディを絶妙にフェイク。変拍子を効果的に用いた「FREEDOM JAZZ DANCE」もステージの大きなハイライトとなりました。
共演メンバーの中では、サックスのルー・マリーニがトロペイに迫る活躍ぶりでした。そうです、あの映画『ブルース・ブラザーズ』に登場していた長身のサックス奏者、“ブルー”ルー・マリーニです。このステージでは、テナー・サックスのほかにカーヴド・ソプラノ(アルト・サックスを小さくしたような形状)も吹き、「Take Me Back to the Ol' School」ではトロペイと共にソウルフルなヴォーカルも披露してくれました。

5人のトップ・セッションマンが、お気に入りの曲を次々と演奏する。そこには、気取りや気負いはちっともありません。力の抜けた日常のサウンド、それがクラブで味わえるのは本当に素敵なことです。
(原田 2010/1/13)


● 1.13wed.-1.15fri.
JOHN TROPEA BAND
featuring ANTHONY JACKSON, LOU MARINI, CHRIS PALMARO & CLINT DE GANON


ジョン・トロペイ-JOHN TROPEA


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , BOB JAMES , EARL KLUGH - - report : BOB JAM...

2010/01/07

ボブ・ジェームス-BOB JAMES
ボブ・ジェームス-BOB JAMES


公演初日リポート:BOB JAMES & EARL KLUGH



スーパー・グループ“フォープレイ”、本田雅人とのコラボレーション、アジア系ミュージシャンとの“エンジェルズ・オブ・シャンハイ”、ヒップ・ホップDJロブ・スウィフトを擁するユニットなど、さまざまなフォーマットで「ブルーノート東京」を沸かせてきたボブ・ジェームス。今回の公演はまさに待望、アコースティック・ギターの名匠アール・クルーとのセッションです。ボブとアールは、グラミー賞に輝いた名盤『One On One』を筆頭に、『Two Of A Kind』、『Cool』といった共演作品を残しています。しかし一緒にステージに立つことは思いのほか少なく、日本公演も’98年以来12年ぶり。掛け値なしに貴重なセッションです。

ベースのアル・ターナー、ドラムスのロン・オーティスは、アールの'99年公演、ボブの2007年公演でもコンビを組んでいた精鋭。2大フュージョン・マスターのバックには最適のチームといえましょう。オープニングの「KARI」は、『One On One』の1曲目に収められていたアールの自作です。あのレコードをすりきれるまで聴いた、というファンはぼくだけではないと思いますが、サウンドのみずみずしさは往年と少しも変わっていません。やわらかなボブのピアノと、粒立ちの良いアールのナイロン弦ギターが絶妙に融合しながら、さわやかな世界を描きます。2曲目は、ボブ作の「FUGITIVE LIFE」。リズムを強調したファンキーなナンバーを、4人の腕達者はさらりと仕上げます。以降、アールとボブの曲がほぼ交互に演奏され、MCもふたりが仲良く分け合いました。一緒にプレイできることの嬉しさをわかちあうように、ボブとアールは会心のパフォーマンスを繰り広げました。

ところでボブは、「私はブルーノート・ガイなんだよ」と豪語するほど、ブルーノート東京と縁の深いアーティストです。後進の育成にも積極的な彼は、ダイナースクラブのジャズ・コンテスト「Jazz Session on YouTube」で審査員兼パフォーマンス・アーティストを務め、2月21日に当店で行なわれるファイナルイベントにも登場します。詳しくはダイナースクラブのホームページ(http://www.youtube.com/user/YTJazzJP)をご覧ください。応募期間は1月11日(月)まで。最終選考に残った方は、ひょっとしたらボブと共演できるかもしれませんよ。
(原田 2010/1/7)


● 2010 1.6wed.-1.10sun.
BOB JAMES & EARL KLUGH

ボブ・ジェームス-BOB JAMES


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , INCOGNITO - - report : INCOGNI...

2009/12/29

インコグニート-INCOGNITO
インコグニート-INCOGNITO


公演初日リポート:INCOGNITO


世界最強のパーティ・バンド(と、あえていわせていただきましょう)、インコグニートが2009年から2010年にかけてのブルーノート東京を彩ります。

6デイズ公演というだけでも圧巻なのに、大晦日には恒例のカウントダウンを行い、1月3日には結成30周年を記念したスペシャル・プログラム(公演時間は120分を予定。この日のみ1ショウ)を敢行。ブルーノート東京公演を終えた翌日には、モーション・ブルー・ヨコハマにも登場するのですから、まったく彼らの人気とスタミナには驚くしかありません。

ぼくがインコグニートを知ったのは'90年代初頭のことです。トーキング・ラウドというUKのレーベルが、次々と生きのいいシンガーやグループを送り出してくれたのです。ガリアーノ、ヤング・ディサイプルズ、オマー、K−クリエイティヴ、4ヒーローなどなど、名前を書いているだけでも往年の名曲が頭の中にこだましてきますが、現在もなおアクティヴに活動し、定期的に来日してファンを沸かせてくれるのはインコグニートだけ、といっていいでしょう。初めて彼らのアルバムを聴いたとき、ぼくは「新人離れしたサウンドだなあ。実は相当、経験を積んだ猛者なんじゃないかな」と思ったものですが、それもそのはず、この時点でインコグニートは結成10年を超える中堅どころだったわけです。そして今、この名門グループは結成30周年を目の前にして、さらなる発展を積み重ねながらサウンドに磨きをかけています。リーダー、音楽監督、ギタリスト、MC(これが面白い)を兼ねるブルーイの辞書に“停滞”という言葉はないのでしょう。
ブルーイのギターは、決して前面に出ません。ソロもとりません。あくまでも引き立て役です。が、耳をすまして彼らの音楽に浸れば、いかにこのギターが全体のサウンドの中にワサビを付け加えているかが実感できるはずです。ワウ(エフェクターの一種)を使ったカッティングは、ときにキーボードに寄り添い、ときに打楽器のように響きます。ノリのいい、ひたすらファンキーなインコグニート・ミュージックの根底にあるのは、間違いなくブルーイ御大の渋いギター・プレイなのです。

ブルーイはMCでこう語りました。「どんなミュージシャンから影響を受けたのか、と訊かれることが多い。アース、ウィンド&ファイアー、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダー、あげていけばきりがない。ブラジリアン・ミュージックをどう思う?と訊ねられることもよくあるね。私はどちらかというとボサ・ノヴァよりサンバ・ファンクに夢中だった。バンダ・ブラック・リオが大好きなんだ。つまり私はファンキー・マンなんだよ」。

スティーヴィーの「AS」、バンダ・ブラック・リオの「EXPRESSO MADUREIRA」等のカヴァー、そして「STILL A FRIEND OF MINE」等の新らたに披露された曲と定番の曲で構成されたステージは、まるでカーニバルのようでした。皆さんもぜひ、心弾むイヤー・エンド&ニュー・イヤーをどうぞ!
(原田 2009/12/29)


● 2009 12.28mon. - 12.31thu.
2010 1.2sat. - 1.5tue.

A special party for the Grand Year-End of 2009 & welcoming in a Happy New Year 2010 with
INCOGNITO

インコグニート-INCOGNITO


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , 上原ひろみ - - report : HIROMI ...

2009/12/26

上原ひろみ-HIROMI UEHARA
上原ひろみ-HIROMI UEHARA


公演初日リポート:HIROMI UEHARA Solo Piano -PLACE TO BE-



飛翔を続ける“時の人”、上原ひろみのソロ・ピアノ公演がブルーノート東京で開催されています。チケットはわずか数時間で完売。激しい争奪戦を見事、くぐりぬけたファンが、クラブ中を埋め尽くしました。
彼女は11月中旬から1ヶ月以上に及ぶ国内ツアーを敢行中です。12月24日には、すみだトリフォニーホールで新日本フィルハーモニー交響楽団との共演コンサートをおこないました。その翌々日にあたる昨日26日と今日27日、彼女はブルーノート東京のステージに立っています。今年最後の演奏場所として、東京でのホームグラウンドを選んだのです。

ステージにはヤマハのピアノが一台。
アコースティック・サウンドが、クラブを満たします。最新作『プレイス・トゥ・ビー』の世界をライヴで味わうには最高の条件といえましょう。とはいってもそこは上原ひろみというべきでしょうか、CD収録曲を弾いても同じ展開とは限りません。1曲あたりの演奏時間は伸び、アルバムを聴いていただけでは予想もつかないパッセージが、驚くほどのテクニックに裏付けされながら次から次へと登場します。

ピアノを弾く喜び、音楽に浸る喜びを全身で発散させながら、上原ひろみは約90分を疾走しました。ただ単に鍵盤に指を走らせるのではなく、内部奏法(ピアノに張られている弦をはじく)を取り入れたり、中腰で弾いたり。足踏みや掛け声が生々しく響くのもクラブ・ギグならではです。彼女はアーティストであると同時に、アスリートでもあるのでしょう。観客の声援、拍手も曲が進むごとに高まってゆきます。“元気が出るピアノ”の真骨頂、ここにありといった感じです。

彼女は以前、ぼくの取材にこう答えてくれました。「自分のピアノが元気を与えているのならこんなに嬉しいことはない。でも、私もお客様からすごく大きな元気をもらっているのです」、と。
良いファン、良いスタッフに恵まれて、上原ひろみの才能はさらに研ぎ澄まされ、その音世界は一層スケールを増すことでしょう。2010年も彼女の動きから目が離せません。
(原田 2009/12/26)


12/26sat.-12/27sun.
HIROMI UEHARA Solo Piano -PLACE TO BE-



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , ERIC BENET - - report : ERIC BE...

2009/12/22

エリック・ベネイ-ERIC BENET
エリック・ベネイ-ERIC BENET


公演初日リポート:ERIC BENET


にぎやかで、あわただしい年末。そんなときだからこそ、じっくりと暖かな歌声に耳を傾けたいものです。
ブルーノート東京の今年のクリスマス・シーズンは、“ミスター・ロマンス”ことエリック・ベネイの歌声で彩られています。ロマンティックな夜を、飛び切りスウィートなヴォーカルを味わいながら過ごす。からだじゅうが満たされる瞬間です。

CDではソフトでスウィートな面が強調されている感がなくもないエリックですが、ライヴの彼は、とにかく熱い! 全身全霊で繰り広げられるパフォーマンスは文句なしにエキサイティングで、興奮につぐ興奮を与えてくれます。幅広い声域、豊かな声量、グイグイと聴き手を引っ張っていくようなリズム感もさることながら、後部座席のひとりひとりまで視線を送りながら歌う姿に、ぼくは彼のエンターテイナーとしての凄さを感じました。あの瞳で見つめられ、ラヴ・ソングを歌われたら女性ファンはみんな彼のとりこになってしまうことでしょう(男のぼくも、エリックはセクシーだなあと思いながら聴いていました)。リピーターが多いというのもうなずけます。

バック・バンドの編成はキーボード、ベース、ドラムスというシンプルなものでしたが、各人が大変な凄腕のため、音の薄さはまったく感じられませんでした。とくに20歳を迎えたばかりというドラマー、スティックスの切れ味には脱帽です。ベースのグレゴリー・コリアーはまた、歌もうまい! もともと歌を歌うつもりがなかったけれど、エリックのアドバイスを受けて歌うようになったそうです。つまりシンガーとしては新人なのですが、まさしくプロ・シンガーはだしの歌声で楽しませてくれました。

演目は、これぞオープニングといった感じの「LOVE DON'T LOVE ME」、ラテン・テイスト満載の「SPANISH FLY」、本人曰く“エラ・フィッツジェラルドやナット・キング・コールが歌いそうな古典的な曲”「THE LAST TIME」など、盛りだくさん。もちろんR&Bチャートでトップに輝いた「SPEND MY LIFE WITH YOU」も聴かせてくれましたし、シーズンにちなんだ「THE CHRISTMAS SONG」も嬉しい贈り物でした。“ほとんどリハーサルしてないんだよね。間違わなきゃいいんだけど”というようなことを言いながらクリスマス・ソングを歌いだしたエリックですが、それは彼のテレでしょう。もちろん結果は大成功、エリックはオーディエンスの心に火をともしながら、さっそうとステージを去ってゆきました。

公演は25日まで続きます。スペシャル・カクテル「WHITE ROMANCE」(エリックが命名した)やクリスマス・スペシャル・ディナー・コース(23日、24日)と共に、至高の歌声に酔いしれてください。
(原田 2009/12/21)


● 12/21mon.-12/25fri.
Special Christmas Evening with ERIC BENET

エリック・ベネイ-ERIC BENET


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