BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JOE SAMPLE - - review : JOE SAM...

2009/10/27

チコ&ザ・ジプシーズ-CHICO & THE GYPSIES
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公演レビュー : JOE SAMPLE TRIO

ジョー・サンプルが「ブルーノート東京」に帰ってきます。
今回は、クルセイダーズではありません。自己のトリオで、アコースティック・ピアノをタップリ聴かせてくれます。

ピアノ、ベース、ドラムスの、いわゆるピアノ・トリオという編成は、日本のジャズ・ファンに最も人気のあるバンド形態だといわれています。が、サンプルのピアノ・トリオ作品は、その豊富なキャリアに対して少なすぎるほどです。

1969年、ヨーロッパ・ツアーの途中で吹き込まれた『ファンシー・ダンス』が、彼の最初のピアノ・トリオ作品でした。クルセイダーズ(当時はジャズ・クルセイダーズと名乗っていました)とは一味もふた味も違う、激しいアコースティック・ピアノの演奏を味わうことができます。同時期のサンプルは、ボビー・ハッチャーソン(この8月、当店に登場したヴィブラフォン奏者です)のバンドでも活動していました。硬派なサウンドを追及していたハッチャーソンからの影響もあるのでしょう、非常に力強いタッチで、前のめり気味なまでにバリバリと弾きまくるサンプルが『ファンシー・ダンス』には捉えられています。

続くピアノ・トリオ作品は、‘75年に吹き込まれた『ザ・スリー』です。当時のクルセイダーズは『スクラッチ』、『チェイン・リアクション』などの歴史的名盤を次々と生んでいた時期。サンプルはフェンダー・ローズ(エレクトリック・ピアノの一種)の名手として評価を確立していました。が、『ザ・スリー』では、レイ・ブラウン(ベース)、シェリー・マン(ドラムス)という大ベテランをバックに、「サテン・ドール」等のジャズ・スタンダードを演奏。アコースティック・ジャズ・ピアニストとしての持ち味を全開しています。

今回の来日公演がどうなるのかは正直言って予想がつきません(事前に予想がつくライヴなど意味がない!)。が、グルーヴの鍵を握る重要人物が、このトリオにはいます。ドラムスのジョニー(ジョン)・ヴィダコヴィッチです。彼のドラムスをクラブで聴けるというだけで、この公演に参加することを決めているファンも、きっと数多いと思います。ジョニーはそれほど、ドラム・フリーク垂涎の存在なのです。ニューオリンズで生まれた彼がこれまで共演してきたアーティストにはネヴィル・ブラザーズ、ジョニー・アダムス(その滑らかな歌声から“褐色のカナリア”と呼ばれました)、プロフェッサー・ロングヘア、ジェームズ・ブッカー、ドクター・ジョン、ジョージ・ポーターJr.(元ミーターズ)、ジョン・スコフィールド、モーズ・アリソンといった錚々たる顔ぶれが並びます。

ジョニー・ヴィダコヴィッチの躍動的なドラムスを得て、サンプルのピアノがどう舞い、踊り、飛翔するか。開演が待ちきれません!
(原田 2009/10/26)


● 11/1Sun.-11/05 Thu.
JOE SAMPLE TRIO



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2009/10/21

チコ&ザ・ジプシーズ-CHICO & THE GYPSIES
チコ&ザ・ジプシーズ-CHICO & THE GYPSIES


公演初日リポート : CHICO & THE GYPSIES



クラブの中に太陽が降り注ぎ、砂ぼこりが待っているかのような錯覚を覚えました。

昨日から、チコ&ジプシーズの公演が始まっています。
チコ・ブーチキーはご存知、ジプシー・キングス出身のギタリスト。彼は間違いなく、初期ジプシー・キングスの顔でした。鍵を握っていました。が、‘90年代初めに独立し、チコ&ジプシーズを結成します。

が、面白いものです。今では「ジプシーズこそ往年のジプシー・キングスのサウンドを継承している」とか、「ジプシーズのほうがよほどジプシー・キングスだ」といわれているのですから。

ステージ上は、いたってシンプルです。ガランとしています。6本のマイクと、エレクトリック・ベースがあるだけ。しかしギタリスト7人が楽器を抱えて登場すると、そこは“祭りの場”へと変化します。

メンバーが黒を基調としたコスチュームでまとめている中、リーダーのチコは白いシャツで異彩を放ちます。しかし彼は決して出しゃばることなく、背後で優しくほほえみながら他のメンバーのギター・プレイや歌声をサポートします。リーダーでスターなのだから真ん中でふんずり返っていてもいいのに、ステージ右側で淡々とギターを弾き続けているのです。

逆に大きくスポットが当たっていたのが、若手ギタリストのケマです。大半の曲でリード・ギターをこなした彼は、インストゥルメンタル・ナンバーでももんのすごい超絶技巧を発揮しました。ケマのプレイをチコは大のお気に入りのようで、MCでは“マエストロ、ケマ!”と紹介していました。

レパートリーは「みなさんがお望みの曲を、すべてお聴かせいたしましょう」的ラインナップでした。「ALLEGRIA」で始まり、個人的にはペレス・プラード楽団の印象が強い「HISTORIA DE AMOR」(ある恋の物語)を見事ジプシーズ風にリメイクし、ステージ後半では「DJOBI DJOBA」、「BAMBOLEO」、「VOLARE」の必殺3連発(オーディエンスは総立ち、合唱です)、最後はあの「MY WAY」を、やはりジプシーズ的に情熱的に盛り上げてくれました。

きけば彼らは今春、フランスの名門オランピア劇場を満員御礼にしたのだとか。そんな大スターが目の前で繰り広げる生「VOLARE」を聴きながらビールが飲めるなんて、我々日本のファンは贅沢すぎます。
(原田 2009/10/20)


● 10/20tue.-10/24sat.
CHICO & THE GYPSIES



チコ&ザ・ジプシーズ-CHICO & THE GYPSIES


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , BASIA - - report : BASIA

2009/10/17

バーシア-BASIA
バーシア-BASIA


公演リポート : BASIA


どうしてこんなに伸びのある声が出せるのだろう。どうしてこんなに切ないメロディが書けるのだろう。そう思いながら、ぼくはただステージに聴き入るだけでした。
待ちに待ったバーシアのブルーノート東京初公演。それは、とんでもなく充実した内容です。

会場に入ったぼくは、まず楽器編成に驚かされました。ドラムスがないのです。そのぶん、アコースティック・ギターの響きが際立ち、パーカッションの軽やかなサウンドが空間を埋めてゆきます。バーシアのパートナー(彼女はコラボレイターと呼んでいました)、ダニー・ホワイトのピアノやキーボードが、いかに細やかにヴォーカルに対応しているかも、クッキリ聴き取れます。もちろんバーシアの歌声も素晴らしいものでした。もともと声量の豊かなことで知られる彼女ですが、ドラムスがいないということもあるのでしょうか、どちらかというと近くの人に話しかけるように殆どのパートを歌い、ここぞというところでヴォリュームをアップします。そのメリハリ、コントラストがたまりません。バック・コーラスを務めた姉妹、アニック・クラリスとヴェロニク・クラリスとの息もピッタリで、高度なハーモニー(ドミソとかレファラではない)をガッチリ決めてくれました。

演目は、まさにオール・アバウト・バーシアというべきもの。「BABY YOU'RE MINE」、もちろん歌ってくれます。「HALF A MINUTE」、当然とりあげます。「DRUNK ON LOVE」、歌うに決まってるじゃないですか。ぼくが見たセットではアストラッド・ジルベルトに捧げた自作や、アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲「三月の雨」のカヴァーも聴かせてくれました。

バーシアの名前を聞くと、反射的に「’80年代のスター」というフレーズが思い浮かぶ方も数多くいらっしゃることでしょう。ですが、今のバーシアの歌は、かつて以上に「おいしい」です。’80年代がそのまま10代だったぼくは、心からそう思いつつライヴを堪能しました。2009年現在のバーシアの世界を、ぜひ間近でどうぞ!
(原田 2009/10/17)


● 10/15sun - 19mon
BASIA


バーシア-BASIA


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , LARRY CARLTON , ROBBEN FORD - report from 名古...

2009/10/10

eldarLARRY
ラリー・カールトン-LARRY CARLTON


公演初日リポート from 名古屋ブルーノート:LARRY CARLTON with ROBBEN FORD



ラリー・カールトンとロベン・フォードのステージが本日から始まります。彼らが「ブルーノート東京」で共演するのは、これが2度目です。

前回もギター愛、ブルース愛に溢れた熱いライヴを聴かせてくれた彼らですが、今回はキーボードやオルガン等の鍵盤楽器の入っていないシンプルな編成。2ギター+ベース+ドラムスという最小限のセッティングなのですから、よりいっそうギター・フリークにはたまらない内容になること確実です。

東京初日を待ちきれないぼくは、昨夜「名古屋ブルーノート」で彼らのセッションを目撃してまいりました。この11月で開店7周年を迎える同店は繁華街のど真ん中にあり、交通アクセスも申し分なし。オリジナル・メニューも充実しています。客席やステージのレイアウトに、ぼくはニューヨークの「ブルーノート」を思い出しました。
場内はもちろん超満員。演奏が始まる前から歓声や手笛が飛びます。名古屋の皆さんが、どれだけ彼らの共演を心待ちにしていたかがビンビンに伝わってきます。

フォープレイで演奏するときは端正なアプローチで渋く迫るラリーが、天衣無縫なワイルド・ガイぶりを発揮し、ロベンのギターからは、おいしいブルース・フレーズが滴り続けます。
トラヴィス・カールトン(ラリーの愛息で、ロベン・バンドのメンバー)のベース、ジョエル・ローゼンブラット(スパイロ・ジャイラ)のドラムスがバックで粘るようなリズムを送り、ふたりの音色やアプローチの違いを際立たせます。なにしろラリーもロベンも、リード・ギター、サイド・ギター両方で鮮烈なプレイを聴かせてくれるので、本当に目のやりどころ、じゃなくて耳のやりどころに困ってしまうほどです。

選曲も「さすが、ファンの気持ちをわかってらっしゃる」というしかないものでした。ラリー、ロベンそれぞれのフィーチャリング・ナンバーあり、アコースティック・ギターによるナンバーあり、激しいバトルあり。東京初日を前にして、あえて曲名を書くことはしませんが、みんなが聴きたいであろうあの定番もしっかりやってくれました。ふたりの共通分母であるブルース形式の曲も、ロベンのヴォーカルをフィーチャーした「スイート・ホーム・シカゴ」風あり、マイナー(短調)のミディアム・テンポあり、アドリブ炸裂のものありと、本当に多彩。

東京公演でも、‘永遠のギター少年’たちの語らいに、クラブにいる誰もがノックアウトされること間違いありません。
(原田 2009 10/9)


● 2009 10/10 Sat..-10/14 Wed.
LARRY CARLTON with ROBBEN FORD



☆ 名古屋ブルーノート

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http://www.nagoya-bluenote.com/
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'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , DAVE KOZ - - 祝・WALK OF FAME...

2009/10/08

eldarDAVE
デイヴ・コーズ-DAVE KOZ

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DAVE KOZ - おめでとう! WALK OF FAME 殿堂入り!!



今ごろデイヴ・コーズは、行くところ行くところで「おめでとう」のシャワーを浴びていることでしょう。
なんてったって、あの“ハリウッド・ウォーク・オブ・フェイム(栄誉の歩道)”に選ばれたのですから。

“ウォーク・オブ・フェイム”とはそもそも、ハリウッド大通りとヴァイン通り沿いにある歩道のこと。
5kmほどの距離の中に、映画、音楽、テレビ、ラジオ、舞台などで活躍する著名人の名前が刻まれた星型のプレートが埋め込まれている、あの場所のことです。皆さんもテレビでご覧になったことがあるのではないでしょうか。1959年に発足してからちょうど50周年という節目に、デイヴは受賞したわけです。9月22日に行なわれたセレモニーでは、数千人が見守る中、「オーヴァー・ザ・レインボウ」を演奏しました。


☆ その模様:


これまで殿堂入りを果たしたひとたちには、ビートルズ、マリリン・モンロー、ハンフリー・ボガート、マリア・カラス、チャーリー・チャップリン、スティーヴン・スピルバーグ、トム・クルーズ、フランク・シナトラといった錚々たるメンバーが並びます。この賞は人間以外にも与えられるのも特徴で、名犬ラッシー、くまのプーさん、ミッキーマウスなどのプレートも“栄誉の舗道”では見ることができます。つまり、多くの人を楽しませ、喜びを与えてきたキャラクターであれば、どんな生物であっても、この賞を受ける資格があるのです。
サックスを吹くこと、ステージで演奏することを心から楽しみ、オーディエンスに喜びと力を与えるデイヴ・コーズは、まさしく“ウォーク・オブ・フェイム”にふさわしい人物です。これまでジャズ系のミュージシャンでは、ルイ・アームストロング、ベニー・グッドマン、ハービー・ハンコック等が殿堂入りを果たしていますが、デイヴの受賞は、それ以来の快挙といっていいのではないでしょうか。

今やスムース・ジャズ〜フュージョンの枠にとどまらず、世界的なエンターテイナーとして大活躍を続けているデイヴ。ハッピーでダンサブルでメロディアス、そんな彼の充実したパフォーマンスを、どうぞ至近距離でお楽しみください!
(原田 2009/10/7)



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