BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , LEE RITENOUR - - report : LEE RIT...

2009/08/12

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LEE RITENOUR-リー・リトナー


公演初日リポート: LEE RITENOUR GROUP with special guest ANNEKEI



おととい、フリーペーパー「Jam」の取材でボビー・ハッチャーソンにインタビューいたしました。
その日は、あいにくの大雨。しかしハッチャーソンにいわせると、これは珍しいことでも何でもないというのです。「私が来るときの日本はどういうわけか、いつも大雨か台風なんだ。マウント・フジ・ジャズ・フェスティバルのときもそうだったな」。

すかさず同行のカメラマン氏が「それはあなたがタイフーン・ガイだからですよ」と話しかけて一同爆笑になったのですが、そう考えてみると、リー・リトナーが来日するときは、いつも快晴。だけど極端に蒸し暑いわけでもなく湿っぽいわけでもなく、ほどよい気候の日が続くような気がします。しかも今回は、話題のシンガー、アンナケイがスペシャル・ゲストとして参加しているので、爽やかさも倍増です。

冒頭、リトナーがひとりステージに立ち、アコースティック・ギターを弾き始めます。“おや、1曲目は無伴奏ソロか”と思っていると、やがてアンナケイが登場、デュエットへと移行します。

アンナケイ、実力派です。声はよく伸び、リズムのノリも絶品、ディクション(言葉の発音といえばいいでしょうか)も聴き取りやすく、エンタテイナーとしての華やかさもあります。ぼくは“なるほど、これだけ歌えればリトナーがアルバム・プロデュースを買って出るわけだ”と思いました。実をいうとぼくは、これまでアンナケイの歌を積極的に聴いたことがありませんでした。もちろん名前は存じあげていましたが、オシャレ系の美貌タレントという先入観を勝手に持ってしまったため、どことなく距離をおいていたのですね。しかし、このライヴに接して考えが変わりました。彼女は、ものすごい底力を持ったシンガーです。曲によってはギターやピアノの弾き語りも聴かせましたが、これも見事でした。シンガー・ソングライター、アンナケイの未来は限りなく明るいといえましょう。

話がアンナケイに傾いてしまいましたが、もちろんリトナー・グループの演奏にも唸らされました。7弦ベースを弾きこなすメルヴィン・デイヴィス(チャカ・カーンの音楽監督をしていたこともあります)とオスカー・シートン(ライオネル・リッチーのバンドにいたとか)のドラムスがカッチリと噛み合い、ジョン・ビーズリー(晩年のマイルス・デイヴィスとも関わっています)のキーボードがあたりを装飾します。リトナーは4種類のギターを持ち替えながら、決してスタジオ録音では聴けないようなロング・ソロを披露。アントニオ・カルロス・ジョビンの「STONE FLOWER」、伝説のジャズ・ギタリストであるウェス・モンゴメリーに捧げた「WES BOUND」、70年代からの定番レパートリー「RIO FUNK」等、様々なタイプの曲を鮮やかに聴かせてくれました。
セカンド・ショウでは「Mr. BRIEFCASE」の演奏も飛びだし、リトナーは日本でこの曲は数十年演奏してないと言っていたらしいです。
(原田 2009/8/11)


● LEE RITENOUR GROUP with special guest ANNEKEI
8/11 tue. - 8/15 sat.


LEE RITENOUR-リー・リトナー



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , BOBBY HUTCHERSON - - report : BOBBY H...

2009/08/07

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公演初日リポート:BOBBY HUTCHERSON QUARTET featuring RENEE ROSNES



ブルーノート東京のオフィシャル・ブログに、ボビー・ハッチャーソンからのメッセージが掲載されています。

「ちょうど、ジョン・コルトレーンに捧げるニューアルバムをレコーディングしたところで、今度のライブではそのアルバムからの曲も演奏しようと思っているんだ」。

これは大ニュースじゃありませんか。コルトレーンといえばジャズの歴史に光り輝く巨人。1967年にわずか40歳で亡くなってしまったサックス奏者ですが、今もその影響力は少しも衰えず、多くのミュージシャンやリスナーを魅了し続けています。

ハッチャーソンとコルトレーンの共演レコーディングは、ぼくの知る限り残っていません。しかし、マッコイ・タイナー、エルヴィン・ジョーンズなどのコルトレーン・バンド卒業生とハッチャーソンは何度も顔を合わせています。また‘65年3月28日、ニューヨークのジャズ・クラブ「ヴィレッジ・ゲイト」では、ハッチャーソンがコルトレーン・バンドの前座を務めています(チャールズ・トリヴァー・バンド、グレイシャン・モンカー・バンドの一員として)。「いつかコルトレーンの世界をヴィブラフォンで」、というのはハッチャーソンの念願だったのではないでしょうか。

ぼくが見た初日のファースト・セットでは、3曲目から“コルトレーン・タイム”がスタートしました。「NAIMA」、「MR.P.C.」、「MOMENTS NOTICE」など、コルトレーンはいくつもの名曲を残していて、多くのミュージシャンにカヴァーされています。そのあたりの定番をプレイするのかもしれないなと、ぼくは思っていました。しかしハッチャーソンは、快く期待を裏切ります。コルトレーンの楽曲中でも極めて通好みな「SPIRITUAL」で、いきなり度肝をぬいてくれました。コルトレーンとエリック・ドルフィーが共演した『ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』の冒頭に入っている、ちょっと津軽民謡みたいな旋律です。そういえばハッチャーソンは20代始めの頃、ドルフィーのバンドに所属していたことがあります。この曲はコルトレーンと同時に、ドルフィーにも捧げているのかな、と思いながら、ぼくはパフォーマンスを味わいました。

「NANCY」は、もともとフランク・シナトラの持ち歌ですが、コルトレーンが『バラード』というアルバムでとりあげてから、しばしばジャズの楽器奏者も演奏するようになりました。つづく「WISE ONE」も、あまりカヴァーされないナンバーです。コルトレーン本人の演奏(アルバム『クレッセント』に収録)の完成度が高すぎるためでしょうか。しかしハッチャーソンは見事にこの曲を自分の色に染めあげていきます。コルトレーンに通じる奔流のような高速プレイから、余韻をタップリ生かした全音符まで、名匠ならではの技をしっかり聴かせてくれました。

けっきょく、この日はアンコールの「DEAR LORD」を含め、4つのコルトレーン関連ナンバーが披露されました。おなじみのナンバーが連発されるライヴも嬉しいものですが、新作発表に先駆けて、そこからの曲が楽しめるステージというのも、なんともいえず良いですね。実に得した気分を味わわせてくれます。
ハッチャーソンの涼やかなヴィブラフォン・ジャズは、10日まで続きます。
(原田 2009/8/6)


● BOBBY HUTCHERSON QUARTET featuring RENEE ROSNES
8/6 thu. - 8/10 mon.


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<< プロフィール・原田和典 >>
1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。
著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム)
『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、
『世界最高のジャズ』(光文社新書)、
『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。
共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、
監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。
ブログ:http://haradakazunori.blog.ocn.ne.jp/blog/



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , DIANE SCHUUR - - report : DIANE S...

2009/08/03

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ダイアン・シューア-DIANE SCHUUR


公演初日リポート : DIANE SCHUUR



ダイアン・シューアを“まるでひまわりのようなひとだ”と形容した知り合いがおります。別の方は、彼女のライヴを見て“太陽のように明るいキャラクターの持ち主”と言いました。

それほどダイアンは華やかで、その場を和ませる力に溢れています。彼女にとっては、オーディエンスみんなが友達なのでしょう。ステージに登場するや否や、“ヨガをやって1年間で50ポンド減ったのよ”と語りかけ、いきなり客席を驚かせるダイアン。ですが、最初の1音をピアノから導き出し、歌い始めるやいなや、その姿は超一流アーティストのものに変貌します。表情豊かな歌声、その歌に寄り添うようなピアノ・タッチは、まさしく彼女ならではのもの。「TAKING A CHANCE ON LOVE」を皮切りに、「THEY SAY IT'S WONDERFUL」など、極めつけのラヴ・ソングを次々と紹介してくれました。前半をベースとヴォーカルのデュオで聴かせてくれた「YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO」では、“Tokyo Blue Note!”というシャウトも。曲が進むうちに、ぼくはダイアン宅の居間でリラックスしながら楽しんでいるような気分になりました。

バック・メンバーも、“気心が知れた”という表現がぴったりのプレイでした。ぼくがとくに目を見張ったのは、レジー・ジャクソンのドラムスです。曲によっては、けっこうガンガンと叩いているのですが、ちっともうるさくなく、常に歌を引き立てているのです。なんて細やかなプレイをするドラマーなのだろうと、ぼくは感心しっぱなしでした。デューク・エリントンの名曲「IT DON'T MEAN A THING」では、ブラッシュとスティック両方を使ってドラム・ソロを披露。そのプレイが見事に決まったときの、ダイアンの嬉しそうな表情が忘れられません。

欲をいえばダイアンのピアノをフィーチャーしたインストゥルメンタル・ナンバーも聴きたかったところですが(彼女のピアノは実に味わい深いのです)、今日あたり、それも披露してくれるかもしれませんね。
真夏のジャズ・クラブで、ダイアンの“太陽”を思いっきり浴びてください。
(原田 2009/8/2)

● DIANE SCHUUR
8/2 sun. - 8/5 wed.



ダイアン・シューア-DIANE SCHUUR




<< プロフィール・原田和典 >>
1970年生まれ。ジャズ誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。
著書に『原田和典のJAZZ徒然草 地の巻』(プリズム)
『新・コルトレーンを聴け!』(ゴマ文庫)、
『世界最高のジャズ』(光文社新書)、
『清志郎を聴こうぜ!』(主婦と生活社)等。
共著に『猫ジャケ』(ミュージックマガジン)、
監修に『ジャズ・サックス・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック・エンターテイメント)。好物は温泉、散歩、猫。
ブログ:
http://haradakazunori.blog.ocn.ne.jp/blog/



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 - - 公演レビュー:B...

2009/07/31

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公演レビュー:BOBBY HUTCHERSON



ぼくとボビー・ハッチャーソンの距離が一気に近くなったのは’90年代の中ごろです。

ブルーノート・レコードの作品がオリジナル・アナログ番号順にCD化されることになったときに、ライナーノーツの依頼を大量にいただいたのがきっかけでした。まるで何かのめぐり合わせのように、発注を受けた殆どのアルバムにハッチャーソンの名がクレジットされていたのです。これは縁だと思い、彼の作品をすべて残らず聴いておこうと決意、予算の許す限り参加作品を購入し、しばらくのあいだ朝から晩までハッチャーソン漬けの日々を過ごしました。

おかげで、中学生の頃から好きだった彼の音楽が更に好きになり、そうなると不思議なもので、ハッチャーソンに関してライナーノーツや雑誌やフライヤー等について書かせていただける機会がさらに増えてきて、いまもこうして彼について、今度のライヴに限りない期待を寄せながら、わくわくしつつ文章をしたためているわけです。

美しくみずみずしい音色、歌心と緊張感が入り混じったフレーズ作り、リズム感の鋭さ、メロディアスでかっこいい曲作りなどなど、ハッチャーソンの魅力は尽きません。が、なにしろあと1週間ほどで来日するのです。ぼくがグダグダと説明するよりも、ライヴで彼のプレイを目の当たりにしていただくのが絶対に一番です。
なので今回は、「これを事前に聴いておくとハッチャーソンのライヴがさらに楽しくなる10枚」を、独断と偏見を混ぜながら、そっと紹介させていただくことにいたしましょう。


その1:『ダイアローグ』(Blue Note)
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記念すべきハッチャーソンのファースト・アルバムです。ぼくは、ラテン調の「カッタ」に引き込まれました。アンドリュー・ヒルの力強いピアノや、サックス奏者サム・リヴァースとの絡みにも、ぞくぞくさせられます。



その2:『ハプニングス』(Blue Note)
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Bobby Hutcherson - Happenings

ハッチャーソンの代表作であると同時に、’60年代ジャズの金字塔です。「ヘッド・スタート」、「アクエリアン・ムーン」、「処女航海」などなど、名曲名演が詰まった、まさしく名盤。ハービー・ハンコックのピアノもかっこいい!



その3:『オブリーク』(Blue Note)
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ひょっとしたら入手が難しいかもしれません。こちらにもハービー・ハンコックが参加。隠れ名曲「ティル・ゼン」や、映画『欲望』のメイン・テーマなどを聴くことができます。ジョー・チェンバースの涼やかなドラムスも絶品。



その4:『スティック・アップ』(Blue Note)
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Bobby Hutcherson - Stick Up!

ジョー・ヘンダーソンが吹くテナー・サックスの音色と、ハッチャーソンのヴィブラフォンが絶妙にブレンドしています。オーネット・コールマン作「ウナ・ムイ・ボニータ」の躍動感に、体が揺れます。



その5:『モザイク・セレクト』(Mosaic)
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‘70年代、Blue Noteに吹き込んだスタジオ録音をまとめた3枚組CDです。「3枚組はヘビーだなあ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、とにかく曲調もサウンドも多彩で飽きさせません。ハッチャーソンはマリンバも演奏しています。



その5:ライヴ・アット・モントルー(Blue Note)
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作品数の割にハッチャーソンのライヴ盤は少ないので貴重です。もちろん、内容も熱い! 伝説のトランペッター、ウディ・ショウとのコンビネーションは空前絶後のものすごさ。「嵐を呼ぶヴィブラフォン」を120%体感できます。



その7:『モンタラ』(Blue Note)
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カル・ジェイダーやデイヴ・パイクの例を出すまでもなく、ヴィブラフォンとラテンの相性は絶品です。そしてハッチャーソンがラテン・ジャズに取り組むと、そこに深いブルース・フィーリングが加わり、いっそう味にコクが出ます。旨いです、ご賞味あれ。



その8:『ソロ/カルテット』(Contemporary)
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前半はハッチャーソンの無伴奏ソロです。「ヴィブラフォンからこんなに多彩な音が出せるのか」と驚くのは、ぼくだけではないでしょう。彼の音楽性の広さが全開です。後半は盟友マッコイ・タイナーを加えた編成で、アコースティック・ジャズの王道を行きます。



その9:『アンボス・ムンドス』(Landmark)
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ラテン・プロジェクトの第2弾です。タイトルは「両方の世界」という意味で、ジャズのスリルとラテンの熱狂がひとつになった本アルバムの内容を的確に言い表しています。ライヴの定番レパートリーである「ポンポニオ」も収録。



その10:『スカイライン』(Verve)
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60年代ブルーノート・サウンドを限りなく愛するリチャード・サイデルのプロデュース作品。ケニー・ギャレットやジェリ・アレンをメンバーに迎え、ハッチャーソンが気合満点のプレイを聴かせてくれます。巨匠の健在を伝える1枚です。


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ライヴの余韻がさめやらぬ9月16日には、名曲「リトル・Bズ・ポエム」の初演を含むアルバム『コンポーネンツ』(EMIミュージック・ジャパン)が国内初CD化されます。これも、とてもいいアルバムです(不肖ぼくが解説を書かせていただいております)。ライヴでもきっと、ここからの曲を演奏してくれることでしょう。
また、今日届いたボビーさんからのメッセージによると、なんと最近コルトレーンの曲に取り組んでいたようですね、これまた楽しみです!!
(メッセージはこちら → http://www.bluenote.co.jp/jp/sp/090806.html#message


● 8/6 - 10
BOBBY HUTCHERSON QUARTET featuring RENEE ROSNES



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 - - report : ROBERTA...

2009/07/27

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ROBERTA FLACK-ロバータ・フラック


原田和典の公演初日リポート:ROBERTA FLACK


あのスーパースター、ロバータ・フラックをクラブで聴ける。
これは世界的な快挙です。ものすごいぜいたくです。各国のファンが、必ずうらやましがります。

バンドが2曲プレイした後、マイケル・ジャクソンの名曲「YOU ARE NOT ALONE」を歌いながら、ロバータが客席から現れます。女王の堂々たる登場に場内、割れんばかりの拍手です。
歌い終わった後、ロバータはマイケルとの思い出を語ります。一緒に歌った映像(「WHEN WE GROW UP」)がYouTubeにアップされていることにも触れながら、「当時マイケルは12歳で、私は(ここだけ小声で)13歳だったわ」と、ジョークを入れることも忘れません。

そして次に「やさしく歌って」(KILLING ME SOFTLY WITH HIS SONG)。ロバータといえばこれ、というぐらい代表的なナンバーです。ぼくも当然のことながらこの曲を楽しみにしてクラブに向かったのですが、ラスト・ナンバーかアンコールで歌ってくれるだろうと思っていました。なのに、もう飛び出してしまったのですから、びっくりです。出し惜しみをしないというか、気前が良いというか。もちろん出来栄えも最高でした。70年代のロバータが歌った「やさしく歌って」はCDでいつでも聴くことができますし、今もラジオでよくかかっています。TVコマーシャルで使われたこともあると記憶しています。が、いま現在のロバータが歌う、さらに味わいを増した「やさしく歌って」は、ライヴでしか味わうことができません。それだけでぼくは、このステージに接することができてよかったなあと心から思うのです。

ロバータの気前の良さはまだまだ続き、次にキャロル・キングの書いた(最近はエイミー・ワインハウスも歌っていますね)「WILL YOU STILL LOVE ME TOMORROW」を取り上げてくれました。“今夜、あなたの目には愛の光が差している。言葉を使わずに「君だけだよ」って言ってくれる。でも、明日も私のことを愛してくれるの?”と歌うロバータは、まるで乙女です。やわらかな歌の合間に、バンマスを務めるシェルトン・ベクトンのキーボードが絶妙な合いの手を入れます。

そして次は、これまたお待ちかねの「愛のセレブレーション」(TONIGHT, I CELEBRATE MY LOVE)。ロバータとピーボ・ブライソンのデュエットで大ヒットしましたね。ピーボのソロ公演でもこの曲は必ず歌われますが、ロバータにとっても大切なレパートリーです。この日はデリック・ヒューズとのデュエットで聴かせてくれました。いやー、素晴らしい。なんて美しいメロディなんだというしかありません。ベタといえばベタなのですが、この、“予想通りに感動させてくれる展開”がたまらなく好きだ、というファンは、ぼく以外にも溢れるほどいらっしゃることでしょう。

もちろん「愛のためいき」(FEEL LIKE MAKIN' LOVE)も、「愛は面影の中に」(THE FIRST TIME EVER I SAW YOUR FACE)も歌ってくれました。名曲の数々に心が和み、たまらなくいい気持ちになります。
すごい名曲だよね、レコードやCDで何度も聴いたよ、という方も多いことでしょう。だけどもう一度いいますが、今のロバータが表現するこれらのナンバーは、ライヴでしか味わえません。現在も彼女は珠玉のナンバーを丁寧に丁寧に歌い、新たな息吹を加えています(新曲と共に)。その境地を、ぜひ間近で堪能していただきたいと思うのです(ライブの写真撮影がNGのようですので、写真掲載ができないそうです、ごめんなさい)。
(原田 2009/7/26)

ROBERTA FLACK
7/26 sun - 8/1 sat
(off - 7/29 wed.)



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