BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JUJU - - report : JUJU JA...

JUJU
JUJU


公演初日リポート:
JUJU
JAZZ TOUR 2012 〜DELICIOUS〜



「奇跡を望むなら...」、「明日がくるなら」、「ただいま」など数多くのヒット曲を持つ人気シンガー、JUJU。彼女はまた、大のジャズ・ファンであり、12歳の頃には既にジャズ・シンガーを目指していたそうです。

そんな彼女が、溢れるほどのジャズ愛を盛り込んだアルバムこそ、昨年11月リリースの『DELICIOUS』でした。お気に入りのスタンダード・ナンバーを歌うJUJUのヴォーカルには、ジャズ・シンガーとしてステージに立つ喜びが満ち溢れていました。「ブルーノート東京」では“JUJUの日”(10月10日)に、アルバム発表に先駆けたライヴを開催しましたが、当日会場につめかけたオーディエンスの誰もが、JUJUの持つジャズへの情熱に心を揺さぶられたに違いありません。

彼女がブルーノート東京に登場するのは、それ以来約10ヶ月ぶり。「よくこんな売れっ子ミュージシャンを一同に集めたものだ」と驚かずにはいられない凄腕たちをバックに、前回以上にリラックスしたパフォーマンスを楽しませてくれました。『DELICIOUS』からの曲だけではなく、新たなレパートリーを味わうことができたのも嬉しかったですね。どんな曲がとりあげられたのかはライヴにいらっしゃった方のお楽しみですが、ペギー・リー、サラ・ヴォーン、ジュリー・ロンドン、ナンシー・ウィルソン等の名唱が残っているナンバーも、しっかりJUJUの個性に染め上げられているあたり、見事です。

伴奏の編成は4ホーン、ギター、ピアノ、ベース、ドラムスというものでしたが、島健の卓越したアレンジは、それをビッグ・バンドのような厚さで響かせます。かと思えばピアノとアコースティック・ギターだけをバックにしっとりと歌う曲もあり、とにかく一瞬も退屈させません。

加えてJUJUのMCがまた実に面白いのです。次に歌う曲の歌詞を説明するのですが、その語り口、間合いが心憎いほど絶妙で、ぼくは「彼女はお笑いに行っても絶対に成功しただろう」と思いました。JUJUのトークを介することで、何十年も前にアメリカで作られた英語の曲が、ぐっと親しいものとなって私たちに近づいてくるのです。

公演は13日、16日にも行なわれます。今後も彼女のジャズ・ライヴが定期的に続けられることを願ってやみません。
(原田 2012 8.12)


● 8.12sun.-8.13mon., 8.16thu.
JUJU
JAZZ TOUR 2012 〜DELICIOUS〜
☆ 参考:セットリストはこちら


JUJU


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2012/08/09

インコグニート - INCOGNITO
インコグニート - INCOGNITO


公演初日リポート:
INCOGNITO with special guest LEON WARE



ブルーノート東京に欠くことのできない存在、ブルーイ率いるインコグニートが今年も最高にハッピーでファンキーなステージを届けに来てくれました。

思えば昨年3月の震災後、公演をキャンセルすることなく日本にやってきて、音楽の力で多くの人々を勇気づけたのもインコグニートでした。そしてブルーイ自ら数多くのミュージシャンに呼びかけて、チャリティ・ソング「Love Will Find A Way」を完成させました。彼の中には、常に“LOVE”というキーワードがあります。音楽に対する愛、人々に対する愛、地球に対する愛・・・その“愛”に共感する人々は今なお増える一方。立錐の余地もないほどの超満員の中、最新のインコグニート・サウンドが響き渡りました。

メインはもちろん、ニュー・アルバム『SURREAL』からのレパートリーです。まだ22歳の若さというパーカッション奏者、ジョアン・カエターノを含むバンドのノリはどこまでも磨きぬかれ、ブルーイのリズム・ギターも相変わらず冴え渡っています。モー・ブランディス、ヴァネッサ・ヘインズ、ナタリー・ウィリアムスという3人のシンガーたちはソロで歌っても、ハーモニーを聴かせても極上。あらためてブルーイのタレント・スカウト能力の高さに感心させられます。

そして、今回のライヴには、マイケル・ジャクソンやマーヴィン・ゲイに曲を提供し、ソロ・シンガーとしても数多くの名盤を発表しているリオン・ウェアがスペシャル・ゲストとして参加。ブルーイはリオンを「音楽の天才」と賞賛し、「彼と共演することがインコグニート全員の夢だった」と興奮を隠しません。そしてアンコールでは、リオンがマーヴィン・ゲイと共作した名曲中の名曲「I WANT YOU」が披露されました。リオンとインコグニートは、まるで何十年もの知り合いだったかのように、まとまりのあるアンサンブルを聴かせます。ブルーイは続けて、こう言いました。「この曲を、世界中でいろんなひとが歌い、演奏してきたと思う。だけどその作者と一緒に、しかも同じステージでプレイできるチャンスは、めったにない。夢が東京で叶ったんだ!」。

公演は11日まで続きますが、リオンは12月に再びブルーノート東京に戻ってきて音楽生活50周年記念ライヴを開催します。スペシャル・ゲストはシャンテ・ムーア。今からわくわくしてくるじゃないですか。
(原田 2012 8.9)


● 8.8wed.-8.11sat.
INCOGNITO with special guest LEON WARE
☆ 参考:セットリストはこちら


インコグニート - INCOGNITO


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , COUNT BASIE ORCHESTRA , KEIKO LEE - - report : THE LEG...

2012/08/06

カウント・ベイシー・オーケストラ - COUNT BASIE ORCHESTRA
カウント・ベイシー・オーケストラ - COUNT BASIE ORCHESTRA


公演初日リポート:
THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA
with special guest KEIKO LEE



ことしでなんと、結成77年目。ビッグ・バンド・ジャズの基本を形作り、今なお休むことなく活動を続けるカウント・ベイシー・オーケストラが、真夏のブルーノート東京をスインギーに彩っています。

今回のコンダクターは、テナー・サックス奏者のダグ・ミラー。ジョー・ヘンダーソンに奏法を師事し、その後バークリー音楽大学、ニューイングランド音楽院でも学びました。ベイシー・オーケストラには1989年から在籍し、そのほかジョージ・ラッセル、ライオネル・ハンプトン等のオーケストラでも演奏経験があります。これまでの歴代コンダクターはステージ中央に立って指揮をしていましたが、ダグはいつものようにサックス・セクションに陣取り、その場所から立ってメンバーに指示を与えます。またMCはトランペット奏者のスコッティ・バーンハートが一貫して担当しました。

デニス・マクレルが指揮していた頃と比べると、より1950年代のレパートリーに比重が置かれていたような気がします。伝統的なカンザス・シティ・スイングにモダン・ジャズの要素を加えた、いわゆる“新約聖書バンド”時代に立ち返ったようなサウンドを楽しむことができました。クリーヴ・ガイトンのフルートをフィーチャーした「CUTE」、バンドが一丸となって火の出るようなプレイを繰り広げる「THE KID FROM RED BANK」、サックス奏者アーニー・ウィルキンス書き下ろしの傑作「16MEN SWINGING」など、ベイシー・ファンなら誰でも知っているであろう古典が、目の前で鮮やかに再生されてゆくのは、とにかく快感というしかありません。

中盤ではスペシャル・ゲストのケイコ・リーが、万雷の拍手に迎えられて登場しました。ベイシー楽団と共演したシンガーを振り返れば、ビリー・ホリデイ、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレエ、フランク・シナトラ、トニー・ベネットなど錚々たる面々の名が挙がります。そこにケイコ・リーも日本代表として名を連ねたわけです。演目は「NIGHT AND DAY」を始めとするスタンダード・ナンバーばかり。「こんな素敵なバンドをバックに歌えるなんて、本当に気持ちいいだろうな」と思いました。

後半にはもちろん、おなじみの「ONE O'CLOCK JUMP」や「APRIL IN PARIS」も登場しましたが、「ONE O'CLOCK JUMP」をエンディング・テーマ扱いで数コーラスだけ演奏するのではなく、各人のアドリブをフィーチャーしながらたっぷりと聴かせてくれたのも嬉しかったですね。品質は保証つき、いつもゴキゲンなベイシー・サウンドをライヴで聴いて猛暑を吹き飛ばしましょう!
(原田 2012 8.5)


● 8.5sun.-8.7tue.
THE LEGENDARY COUNT BASIE ORCHESTRA
with special guest KEIKO LEE
☆ 参考:セットリストはこちら


カウント・ベイシー・オーケストラ - COUNT BASIE ORCHESTRA


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , TITO JACKSON - - report : TITO JA...

2012/08/02

ティト・ジャクソン - TITO JACKSON
ティト・ジャクソン - TITO JACKSON


公演初日リポート:
TITO JACKSON


世界で一番有名な音楽一家、ジャクソン・ファミリー。その次男坊であるティト・ジャクソンが今年も笑顔いっぱいのステージを繰り広げています。二日前にジャクソンズのユニティ・ツアーをワシントン州シアトルで終え、休む間もなく飛行機に乗り、日本のファンに会いにきてくれたわけです。ツアーの好調をそのままクラブに持ち込んだかのようなパワフルなパフォーマンスを楽しませてくれました。

バンドのメンバーやバック・シンガーたちは、赤を生かしたコスチュームで登場。そこに、帽子、上着、サングラス、ギターを黒一色で決めたティトが登場します。ジャクソン5時代は、どちらかというと三枚目的なキャラクターだったティトですが、シックにまとめた姿もなかなかオツなものです。またその渋めの着こなしが、ブルース・ナンバーによく合うのです。力強い歌声、チョーキングを駆使したギター・プレイに、ぼくは“ブルース・アーティストとしてのティト・ジャクソン”を強く感じました。

プログラムの3分の1が過ぎた頃でしょうか、「今夜はいろんな曲を聴いてもらいたいんだ」というティトのMCでレゲエ風の「HOME IS WHERE THE HEART IS」が始まりました。サングラスをとり、アコースティック・ギターに持ち替えたティトは、軽やかに、だけど歌詞をかみしめるようにジックリと歌います。続く「SHE‘S GOTTA GO」は一転、カントリー色濃厚なナンバー。ティトのヴォーカルの後ろで、デヴィッド・スコットのスライド・ギターが力強く響き渡ります。

“現在のティト”をたっぷり味わった後は、お待ちかねのジャクソン5〜ジャクソンズ・コーナーです。ティトは昔を思わせるアフロ・ヘアのかつらをかぶり、サービス精神いっぱいにプレイします。マイケル・ジャクソンのパートは、女性シンガーのニコール・ジャクソン(血縁関係はないようです)が担当しましたが、目をつぶって聴くとまるでマイケルそっくりなのには本当に驚かされました。少年時代のマイケルの、あの伸びやかなボーイ・ソプラノが、ステージ上で見事に再現されたのです。「1969年、70年….75年。ここでアフロ・ヘアをやめて、違うレーベルに移った。そして自分で作曲するようになった。それがこの曲だ」という前置きで始まった「HEARTBREAK HOTEL(THIS PLACE HOTEL)」も絶品でした。

ジャクソン5やジャクソンズの曲はいつも世界中で、あらゆるアーティストによって歌われています。しかしそれを、当事者みずからのライヴで楽しめる機会など、そうあるものではありません。公演は4日まで続きます。ぜひお越しください!
(原田 2012 8.1)


● 8.1wed.-8.4sat.
TITO JACKSON
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ティト・ジャクソン - TITO JACKSON


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , LARRY CARLTON - - report : LARRY C...

2012/07/29

ラリー・カールトン - LARRY CARLTON
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公演初日リポート:LARRY CARLTON QUARTET
featuring GREG MATHIESON, ABRAHAM LABORIEL & KEITH CARLOCK



フュージョン〜コンテンポラリー・ジャズ・ファン垂涎のプログラムが、ただ今おこなわれています。不滅の人気を誇るギター・ヒーロー、ラリー・カールトンが、なんと’70年代後半〜’80年代前半のレパートリーを目の前で演奏してくれるプレミア級のライヴです。

クルセイダーズから独立したカールトンは、1978年に『夜の彷徨』をリリース。この中の「ROOM 335」が大ヒットを記録し、彼の名は大きく広まりました。その後も『ストライクス・トワイス』、『夢飛行』といった快作を連発。どれもがフュージョンの金字塔といっていいでしょう。

場内はもちろん、立錐の余地もないほどの満員。カールトンがステージに歩み寄るだけで、ものすごい声援と拍手が響き渡ります。いきなりガンガン盛り上げていくのかと思ったら、最初は無伴奏ソロから始まりました。客席はシーンと静まり返り、ギターの美しい音色がクラブを満たしてゆきます。そして次に彼自身がベースのエイブラハム・ラボリエル、キーボード奏者のグレッグ・マティソンといった“戦友”たち、そしてドラムスのキース・カーロックを紹介して、4人揃ってのセッションが始まります。

“おや、この聴き慣れたイントロは?”と思うやいなや、オーディエンスは大騒ぎ。そうです、「ROOM 335」の最新ヴァージョンです。「335がなければカールトンのライヴは成立しない」といわれるほどの定番ナンバーですが、マティソンやラボリエルと一緒にプレイするこの曲をナマで聴けるとは、まさか思いませんでした。

その後も、愛娘に捧げた「SONG FOR KATIE」(この日が誕生日だったそう)、「RIO SAMBA」、「SLEEPWALK」(もともとは’50年代にサント&ジョニーという二人組が流行らせたナンバーで、’80年代にカールトンがリバイバル・ヒットさせました)等の定番から、通好みのナンバーまで次々と登場します。あれから30年が経ち、カールトンもマティソンもラボリエルも、外見上はそれなりに年齢を重ねています。しかし曲やプレイの鮮度はまったく失われていません。最年少(1971年生まれ)のカーロックは、これまでスティング、ダイアナ・ロス、リチャード・ボナ等と共演し、スティーリー・ダンのツアー・メンバーも務めたことのある凄腕です。彼の的確で無駄のないドラム・プレイも、このステージの大きな聴きどころでした。

公演は31日まで続きます。また9月にはカールトンの盟友であるボブ・ジェームスが、やはり’70年代のレパートリーに的を絞ったスペシャル・ライヴを「ブルーノート東京」で行ないます。こちらもぜひチェックしてください!
(原田 2012 7.28)

<LARRY CARLTON QUARTET JAPAN TOUR スケジュール>

● 7.28sat.-7.31tue.【東京】Blue Note Tokyo


●8.2thu.【名古屋】Nagoya Blue Note


●8.3fri.【福井】Heartopia Harue


8.4sat.【富山】Mirage Hall


8.6mon.【大阪】Umeda Club Quattro

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