BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , GARY BURTON QUARTET - - report : GARY BU...

2011/07/21

GARY BURTON - ゲイリー・バートン
GARY BURTON - ゲイリー・バートン


公演初日リポート:GARY BURTON QUARTET
featuring ANTONIO SANCHEZ, JULIAN LAGE & JORGE ROEDER



蒸し暑い毎日が続きますね。こんなときは、涼やかな音楽をライヴで味わうに限ります。

それにふさわしいプログラムが、昨日から始まりました。ヴィブラフォンの巨星、ゲイリー・バートンのステージです。“クリスタル”、“クリア”、“クール”と呼ばれたプレイは相変らず冴え渡り、4本のマレットを使った神業的プレイも健在。聴いているだけで、体感温度が下がっていく気がします。しかも今回は、出たばかりの最新作『コモン・グラウンド』(キング・インターナショナル)を携えての来日ということもあってか、初日のファースト・セットから、気合が入りまくっていました。

共演者は、バートンの秘蔵っ子であるジュリアン・ラージ(日本では「レイジ」と表記されていますが)のギター、ホルヘ・ローダーのベース、いまや新時代のリズム・メイカーといえるアントニオ・サンチェスのドラムス。若手の育成に定評のあるバートンだけあって、ハイレベルなミュージシャンが揃っています。ジュリアンはもうバートンと10年間も一緒に演奏しているそうです。「そうすると20代後半か、30代ぐらいかな?」と思ってしまうのはぼくだけではないと思いますが、実のところジュリアンはまだ23歳になったばかり。つまり彼は13歳の頃からバートンに鍛えられているわけですね。

確かにジュリアンのプレイはテクニック、フレーズ共に文句のないものでした。パット・メセニーの影響が強いかな、というところはありますが、誰だって若い頃は憧れの先輩ミュージシャンの痕跡を残すものではないでしょうか。興味深かったのは、エレクトリック・ギターを使っているにもかかわらず、ギター本体の前にもマイクを立てていたことです。「NEVER THE SAME WAY」ではアンプの音を絞り、マイクの前で弦をかきならしながら、バンジョー風の音色を出していました。

バートンは「IN YOUR QUIET PLACE」の前半で、ため息の出るような無伴奏ソロを披露。ライヴの1曲目ではカル・ジェイダーがヒットさせた「AFRO BLUE」を演奏し、アンコールではミルト・ジャクソンの「BAGS GROOVE」も取りあげました。いずれも旧作『For Hamp,Red,Bags,and Cal』で演奏していた曲ですが、まさか生で聴けるとは思いませんでした。ジェイダーもジャクソンもバートンの大先輩にあたるヴィブラフォン奏者(ふたりとも故人です)。とはいえ、バートンとは音色もアプローチも楽器にかかるヴァイブレーションも異なります。しかしバートンは、まさしく自分以外のなにものでもないスタイルで、これら古典的ナンバーに新たな光を当てました。

キャリア50年を迎え、ゲイリー・バートンの音楽世界は、ますます深く、豊かになっています。
この日のセカンド・ショウは、かつてのバートン門下生、近年はバートンとデュオでパフォーマンス・ツアーをまわる、小曽根真さんが飛び入りで参加されたようです。
(原田 2011.7.20)




● 7.20wed.-7.23sat.
GARY BURTON QUARTET
featuring ANTONIO SANCHEZ, JULIAN LAGE & JORGE ROEDER


GARY BURTON - ゲイリー・バートン