'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JOHNNY A. - - report : JOHNNY ...
2011/10/21
公演初日リポート:JOHNNY A.
骨太のブルース・ロックが、昨日からブルーノート東京の店内に鳴り響いています。ピーター・ウルフ(元J.ガイルズ・バンド)のグループを経て独立、いまやソロ・アーティストとして目覚しい躍進を続けるジョニー・Aが出演しているのです。
ジョニーは「まるでギターを弾くために生まれてきた男」と形容されるほどの凄腕です。しかしそのテクニックは殆ど独学によって培われたものだとか。影響を受けたアーティストにはジミ・ヘンドリックス、ビートルズ、チェット・アトキンス、ジェフ・ベック、B.B.キング、J.J.ケイル等の名が並びます。MCで「ロックもブルースもジャズもカントリーも皆、大好きだよ」と語っていたジョニーですが、ブルースに寄せる思い入れは特に強いようです。
オープニングはジミ・ヘンドリックスの名演で有名なブルース「RED HOUSE」。スライド・バーを用いたイントロが飛び出すだけで、どこかアメリカ南部のジューク・ジョイント(安酒場)でライヴを聴いているような気持ちになってきます。こういう音を聴きながら呑むウィスキーは、いつもよりさらに旨いことでしょう。ジョニーは1968年にジミのコンサートに接して、大きなショックを受けたそうです。しかし彼のプレイは決してジミのコピーではありません。そこにぼくは、ジョニーの音楽家としての良心を感じます。
セカンド・アルバムのタイトル曲「GET INSIDE」、近作『ONE NOVEMBER NIGHT』からの「THE NIGHT BEFORE」(ビートルズのカヴァー)等、十八番が次々とプレイされていきます。B.B.キングの「ROCK ME BABY」も取り上げられましたが、前置きで「B.B.は大好きだけど、彼とは違う、俺自身のスタイルでやるよ」と言ったとおり、ジョニーの個性に彩られたヴァージョンになっていました。それにしても彼のギターはニュアンスに富んでいます。これまで4度来日し、フジ・ロック・フェスティバルに出演したこともあるジョニーですが、指使いがたっぷり拝めるのはクラブ公演ならではの嬉しさです。
ジョニーは椅子に座って黙々とギターを弾きます。派手なアクションは一切ありません。しかし指先は常に動き回り、目をつぶっていると何人ものギタリストが同時に弾いているかのようです。オーディエンスの反応もツボを得たもので、当日のブルーノート東京にはギターを心から愛するファンだけが集まっていたような気がします。彼のプレイは、ロック・バンドでギターを弾いているアマチュアの方にはヨダレの出そうなフレーズの宝庫でしょうし、ジョニー・ウィンターやスティーヴィー・レイ・ヴォーンのファンにも強く響くことでしょう。
ジョニー・A、要注目です。まだ彼の音を聴いたことのないひとも、名前を知ったばかりのひとも、ぜひこのライヴを!
(原田 2011 10.20)
●10.20thu.-10.22sat.
JOHNNY A.