BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JOYCE - - report : JOYCE @...

2012/08/13

ジョイス - JOYCE
ジョイス - JOYCE


公演初日リポート:
JOYCE @COTTON CLUB



ボサ・ノヴァ第二世代を代表する歌姫、ジョイスが今年も涼やかでスタイリッシュなステージを繰り広げています。メンバーは公私共にパートナーをつとめるトゥチ・モレーノ(ドラムス)、そしてエリオ・アルヴェス(ピアノ)、ロドルフォ・ストロエテール(ベース)といった気鋭たち。昨日と本日は「コットンクラブ」、明日あさっては「ブルーノート東京」への登場です。ぼくは「コットンクラブ」の初日に行きました。

「今回の公演は私にとって特別なの」と、ジョイスはMCで語りました。その理由のひとつは、最新作『トゥード』が、彼女にとって10数年ぶりのオリジナル曲集であること。そしてもうひとつは、ここからのレパートリーを中心としたライヴを披露するのが世界で初めてであること。「私たちのプレミア・パフォーマンスを見にきてくれてありがとう」といいながら、ジョイスはニュー・アルバムからの曲を快調に続けました。人懐っこいメロディ、軽快なリズム、うっとりするようなハーモニー。新曲ではあるのですが、まるでずっと昔からそばで鳴っていたかのような親しみやすさに溢れている・・・・そこが彼女の曲作りの魅力です。

ジョイスはギターを弾きながら歌いますが、いわゆるギター・ソロはとりません。間奏部分は、エリオがほぼ一手に担当します。以前にも書いたと思いますが、60年代のハービー・ハンコックを思わせる清新なピアノ・プレイは、現ジョイス・グループの大きな魅力のひとつです。彼のタッチの中には、ブラジル音楽のリズム感、そしてジャズのハーモニー感覚が絶妙に溶けあっているのです。

もちろん新曲だけではなく、これなくしてジョイスは語れないといってもいい「FEMININA」や、アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲「AGUAS DE MARCO」、「DESAFINADO」なども披露。年季の入ったファン、最近ジョイスを知ったばかりのリスナー双方を深く満足させるプログラミングだったと思います。それにしてもジョイスとトゥチはいつも本当に、見ていてうらやましくなるほどラブラブです。
(原田 2012 8.12)


JOYCE
● 8.12sun.- 8.13mon. @COTTON CLUB


● 8.14tue.-8.15wed. @BLUE NOTE TOKYO





'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JOYCE - - report : JOYCE w...

2011/08/03

ジョイス - JOYCE
ジョイス - JOYCE


公演初日リポート:JOYCE with special guest SÉRGIO SANTOS


1991年に初登場以来、「ブルーノート東京の夏の顔」として人気を集め続けているジョイス。20年間にわたって、常にたくさんのオーディエンスを集め、数え切れないほどたくさんの素敵なブラジルの歌、そして多くの逸材を紹介しています。今回はミナス派のシンガー・ソングライター、セルジオ・サントスをゲストに迎えたステージです。

前半は夫君のドラマーであるトゥチ・モレーノ、ピアニストのエリオ・アルヴェス等を含む、レギュラー・グループによるジョイスのパフォーマンスが続きます。ジョイスの歌の伸びやかさ、包容力については今さらいうまでもないでしょう。そのヴォーカルにあいづちを打つように、自らつまびくギターの音が挿入されます。「歌もいいけど、ギターも本当にうまいなあ」と、あらためてぼくはその妙技に聴きほれました。

エリオは前回もただならぬ存在感を示していましたが、今年はさらにフィーチャーされる割合が増したように思います。ハービー・ハンコックを相当研究したのではないかと思われるリズミカルなピアノ・プレイで、いくつものクライマックスを作っていました。なかでも、10分に及ぶ「DESAFINADO」はジョイスやエリオの“アドリブ心”が満載のスリリングなパフォーマンスでした。続くジョイスのソロ・コーナーでは、発売されたばかりの弾き語りアルバム『リオ』からの曲を、さっそく聴かせてくれました。

続いてお待ちかね、セルジオ・サントスの登場です。ジョイスとのデュエットをしっとりと聴かせた後、彼単独で4曲を披露。驚くことにジョイスのギターを使ってのパフォーマンスです。今回が初来日とのことですが、ミナス派の重鎮、ミルトン・ナシメントにどこか通じる歌声は、日本でも多数の音楽ファンに受け入れられることでしょう。長身にアコースティック・ギターを抱えた姿が、またよく似合います。

その後、再びジョイスが登場し、セルジオとのデュエットを展開。熱狂的な拍手に包まれて、ライヴは終了しました。ジョイスのブルーノート東京出演記録は、今後も25年、30年と更新されていくことでしょう。
(原田 2011 8.2)



● 8.2tue.-8.5fri.
JOYCE with special guest SÉRGIO SANTOS


ジョイス - JOYCE


JOYCE - ☆ P+M映像 : JOYCE...

2011/08/02

blog_02.jpg

☆ JOYCE with special guest SERGIO SANTOS(コットンクラブ公演)

サウダージ感覚あふれる歌声と、心に染み入るギターの響き。
人気シンガー・ソングライター、ジョイス with special guest
セルジオ・サントスのコットンクラブで行われた公演(8.1mon.)の
パフォーマンス&メッセージ映像をアップしました。
現在ブルーノート東京で公演中、8.5fri.まで。

●8.2tue.-8.5fri.
JOYCE with special guest SERGIO SANTOS @BLUE NOTE TOKYO



JOYCE - ☆ P+M映像 : JOYCE...

2010/07/29

☆ P+M映像 : JOYCE with special guest CELSO FONSECA

blog_02.jpg

☆ JOYCE with special guest CELSO FONSECA

ボサ・ノヴァ第二世代を代表するシンガー・ソングライター、ジョイス。
毎年素晴しいミュージシャンとともにブルーノート東京にやって来る彼女、
昨年のジョアン・ドナートに続いて今回共演するのはセルソ・フォンセカ。
セルソが19歳でプロに、その後ジルベルト・ジルにその才能を認められ
バンド・メンバーになったのをはずみにガル・コスタ、
ミルトン・ナシメント、カエターノ・ヴェローゾらと共演を
重ねてきた才人。同じリオの出身でともにシンガー・ソングライター、
ギタリストとして代表するアーティストである2人が、
夏の夜に素敵なひとときを届けてくれています。
初日のパフォーマンス&メッセージ映像はこちらから。
公演は8.1sun. まで。



●7.28wed.-8.1sun.
JOYCE with special guest CELSO FONSECA



'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , JOYCE - - report : JOYCE w...

ジョイス - JOYCE
ジョイス - JOYCE

公演初日リポート:JOYCE with special guest CELSO FONSECA



ジョイスが“日本のホームグラウンド”、ブルーノート東京に帰ってきました。
いつも素敵な仲間を連れてきてくれるジョイスですが(彼女の交友範囲の広さは、数々のコラボレーション・アルバムでおなじみのことでしょう)、今回はセルソ・フォンセカを迎えたステージです。しかも、ステージをともにするのはなんと初めてらしいです。

前半はジョイスのバンドによるパフォーマンスが続きます。夫君トゥチ・モレーノのドラムスは相変わらず繊細でシャープ、まるでジョイスのヴォーカルに相槌を打つようなプレイです。ジョイスとトゥチは演奏の場を離れても大の仲良しなのですが、ドラムスと歌声の絶妙なコンビネーションに接すると、「このふたり、知り合ってからずっと愛し合っていて、口げんかすら一度もしていないんだろうな」と思えてきます。これこそまさしく“おしどりカップル”というべきでしょう。

ピアニストが参加したのも今回の公演の特徴です。ガンガン、ジャズ・フレーズ満載のプレイでアドリブをとっているので、相当ジャズの素養のあるミュ−ジシャンなのだろうと思って奏者の顔を見たらなんと、エリオ・アルヴェスではないですか。ニューヨークを拠点に活動する、ブラジリアン・ミュージックとモダン・ジャズを自在に行き来する才人です。ぼくはReservoirというレーベルから出ているリーダー・アルバムを聴いて、すっかり彼のファンになったのですが、生演奏に接する機会は今の今までありませんでした。ジョイスのギターとエリオのピアノが一体となって生み出されるハーモニーは、とても豊かで美しいものでした。エリオは10月、渡辺貞夫のバンドで再登場する予定です。ぜひチェックしていただければと思います。

セルソが登場したのは、プログラムの中盤になってから。ギターを抱えた長身が相変わらず絵になります。黒のジャケット、白いシャツ。そのさりげない着こなしはファッション・モデルのようです。シンガー・ソングライター、サウンド・クリエイターとしての評価も高い彼ですが、今回はアントニオ・カルロス・ジョビンの「SHE'S A CARIOCA」(英語で)、ギターのチューニングを変えて(6弦の張りをゆるくして)バーデン・パウエルの「CONSOLACAO」などを味わわせてくれました。

ラストはマルコス・ヴァーリの定番「SAMBA DE VERAO」(サマー・サンバ)。マルコス本人も5月に来日してこの曲を聴かせてくれたばかりですが、ジョイスとセルソの共演で聴く“夏のサンバ”には、また違った魅力があります。セルソの声にジョイスの声がそっと重なり、やがてハーモニーを描いてゆきます。「前もってハモろう」と決めていたというよりは、「一緒にステージに立っているうちになんとなくハモってしまった」感じなのがいいですね。日本人が、いきなりふたりで歌おうとしたら、どうしてもユニゾンになってしまうような気がします。だけど彼らはごく自然に「ハモれて」しまうのです。ブラジル音楽がどうしてあんなに豊かな和音を持っているのか、その謎を知ったような気分になりました。
(原田 2010/7/28)


● 7.28wed.-8.1sun.
JOYCE with special guest CELSO FONSECA


ジョイス - JOYCE


12