公演初日リポート:LEE RITENOUR "6 STRING THEORY"
-50th Anniversary Celebration-
場内が暗くなると同時に、リー・リトナーが放った数々のヒット・チューンがメドレー形式で流れます。どんな曲がかかるのかはあえて伏せさせていただきますが(その場にいるオーディエンス限定のお楽しみということで・・・)、名曲、定番が目白押しです。
このギタリストが音楽界に刻んできた足跡に改めて感服していたら、いつの間にかリトナー・バンド全員がバンドスタンドにあがり、演奏を始めました。1曲目に選ばれたのは、あの「CAPTAIN CARIBE」。いうまでもなくリトナーの十八番であり、70年代フュージョン界の国歌的なナンバーです。リトナーは笑顔を浮かべながら、相変わらずの艶やかなトーンとタイトなピッキングで、この名曲に今日の息吹を注いでいきます。
続いてブラジル音楽好きのキャラクターを全開したアントニオ・カルロス・ジョビンのカヴァー「STONE FLOWER」、フルアコ・タイプのエレクトリック・ギターを弾きまくる自作「WES BOUND」と、ファン垂涎のナンバーが続きます。「WES BOUND」はタイトル通り伝説のジャズ・ギタリストであるウェス・モンゴメリーに捧げた曲ですが、リトナーはウェス風の親指奏法はもちろんのこと、スライド・プレイも交えながら、曲をどんどん発展させていきます。かつてボブ・マーリーに捧げた『ア・ツイスト・オブ・マーリー』というアルバムを制作したことのあるリトナーですが、この日は数あるマーリーの代表曲の中から「GET UP, STAND UP」も取りあげました。
もちろん新作『シックス・ストリング・セオリー』からのナンバーも聴かせてくれました。アルバムはB.B.キング等、数多くのギタリストとの共演セッションで占められていましたが、「LAY IT DOWN」のライヴ用にアレンジされたヴァージョンはよりハードに、エッジの立ったものになっていました。
新メンバーに選ばれたラリー・ゴールディングスは、メイシオ・パーカーやジョン・スコフィールドとの共演でも知られるキーボード奏者。最近はジェームズ・テイラーとも活動しています。リトナー・バンドではキーボードやオルガンの他に鍵盤ハーモニカもプレイし、多才ぶりを強く印象づけました。リトナーとは長年の好パートナーであるメルヴィン・デイヴィスはベースの他に貫禄たっぷりのスキャット・ヴォーカルも披露し、“アース、ウィンド&ファイアー”のメンバーだったソニー・エモリーは見ても聴いても楽しめるドラム・プレイで喝采をさらいました(「SMOKE 'N' MIRRORS」での蛍光スティックを使った超絶ソロには、誰もが驚嘆することでしょう)。
ところで今回の公演は、リトナーのギター生活50周年を記念するスペシャルなライヴです。と書くと、「リトナーってそんなにトシだったっけ」といわれそうですが、そうではありません。それほど幼い頃から彼はギターに親しみ、弾き続けてきた結果の50年なのです。リトナーの“ギターの旅”は、これからさらに雄大に、パワフルに続いていくことでしょう。
(原田 2010/9/23)
● 9.23thu.-9.27mon.
LEE RITENOUR "6 STRING THEORY" -50th Anniversary Celebration-