BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , MANU KATCHÉ - - report : MANU KA...

2012/01/13

マヌ・カッチェ - MANU KATCHE
マヌ・カッチェ - MANU KATCHE


公演初日リポート:MANU KATCHÉ



スティング、ジェフ・ベック、ヤン・ガルバレク等、数多くのアーティストに愛されているドラマー、マヌ・カッチェが自身のグループと共に来日してくれました。

「モーションブルー・ヨコハマ」に出演したときの演奏は語り草になっていますが、ブルーノート東京への登場は今回が初めてです。マヌの神技的なプレイを、クラブ規模の会場で楽しめるのはドラム・ファンにとっては言葉にできないほどの喜びです。

ドラムは通常、ステージの真ん中奥に設置されていることが多いのですが、マヌのバンドは違います。左からドラム、ベース、サックス、ピアノの順に並び、ドラマーとピアニストがほぼ向かい合う形で演奏を進めていきます。このユニットでマヌが取り組んでいるのは、間違いなく「ジャズ」なのですが、いろんなジャンルで活躍する彼だけあって、あっと驚くような多彩な響き、カラフルなメロディやリズムが登場します。ぼくはマヌのライヴに接して、あらためてジャズの面白さ、自由さに触れた気分になりました。

それにしてもマヌのドラムの音色は本当に美しいです。ブラッシュを使ったときの包み込むような響き、スティックを用いたときの太く抜けのよいサウンド。音量の幅広さも尋常ではなく、どんなに小さい音で演奏しているときにも、うねるようなスイング感が感じられます。そして彼のプレイからは、旋律が聴こえてきます。「歌うようなドラム」という表現が、これほどぴったりくる奏者もいないのではないでしょうか。こんなドラマーが背後にいたら、ソリストたちは怖いものなしでしょう。

「SNAP SHOT」の冒頭でドラム・ソロを聴かせた以外、マヌはリズム・サポートに徹していました。しかしぼくには、全メンバーがマヌの手のひらで踊っているように感じられました。それほど懐の深いプレイを、マヌは聴かせてくれるのです。

マヌのライヴに接すると、オーディエンスの誰もが「ドラムって、こんなに優しくてソウルフルな楽器なのか」と感動するに違いありません。公演は14日まで行なわれます。圧巻のパフォーマンスを、ぜひ!
(原田 2012 1.12)


● 1.12thu.-1.14sat.
MANU KATCHÉ


マヌ・カッチェ - MANU KATCHE