公演初日リポート:MARCOS VALLE @ COTTON CLUB
天性のメロディ・メイカーにして、ブラジルを代表するグルーヴ・マスター。マルコス・ヴァーリが、今年もパワフルなステージを繰り広げています。
この来日が決定したのは、実は9月に入ってからのことです。告知期間は決して十分ではなかったと思われますが、「コットンクラブ」は超満員。客層は幅広く、男女比はほぼ半々でしょうか。マルコスの音楽がいかに多くの人に支持されているか、改めてよくわかります。昨年は約6年ぶりのニュー・アルバム『Esphera』をリリースし(追って、少し内容の違う『Estatica』も発売されました)、夏には往年の名盤+未発表曲で構成された11枚組CD『Tudo - Discografia De 1963 A 1974』も日本に入荷しました。そんなところに来日公演が決定したのですから、マルコス・ファンにとって今年下半期は最高に嬉しいシーズンとして記憶されることでしょう。
ステージに登場するや否や、「日本のオーディエンスはいつもファンタスティックだ。日本での演奏は、私に大きな喜びを与えてくれる」と客席に語りかけたマルコス。前半は「VAMOS SAMBAR」、「ARRANCA TÔCO」等、主に新作からのナンバーが演奏されました。いつも思うのですが、よくもまあ、こんなみずみずしいメロディと躍動的なリズムを持った曲を半世紀近くも書き続けることができるものです。マルコスの場合、音楽だけではなくMCも、曲に入るときのカウント(ポルトガル語で行なわれます)もリズミカルなのです。御存知の方も多いと思いますが、彼は大のサッカー・ファンです。ゲームに興じたり観戦していたりするときに、ふと曲のモチーフが浮かんでくることもあるのでしょうね。
‘60年代に、当時の夫人アナ・マリアと組んでいた頃から、マルコスのサウンドには女性シンガーの彩りが不可欠でした。ここしばらくは現在の夫人、パトリシアがこのパートを担当しています。彼女の歌い方は非常に淡々としたものですが、マルコスの声と合わさると魅力が一気に増し、豊穣なアンサンブルが生まれます。2009年の公演以来の参加となるトランペット奏者、ジェシ・サドキも得意のハイノート(超高音)を使ったプレイで大活躍、新ドラマーのアダル・フォンセカも、まるでカーニバルの打楽器チームをひとりで表現するかのような超絶テクニックで客席を沸かせました。
「コットンクラブ」公演は16日(日曜)まで。18日と19日は「ブルーノート東京」に場所を移して日本のシンガー・ソングライター、birdとの共演が行なわれます。さらに充実したマルコスの世界を、ぜひみなさんの目と耳でお確かめください!
(原田 2011 10.15)
● MARCOS VALLE
10.15sat.-10.16sun. @ COTTON CLUB
● 10.18tue.-10.19wed. with special guest bird @ BLUE NOTE TOKYO
MARCOS VALLE : Thursday Afternoon in Tokyo
マルコス・ヴァーリのオフショットを公開。
午後の激しい“とおり雨”に降られても、龍馬像がそびえ立つ SAMURAI BLUE PARK を予定通り訪れ、セレソンのユニフォームに袖を通し、仲間とともに蹴球で汗を流す。
「息子たちとたまに蹴っているのさ』と語りながら見せつけるのそのボールさばきの巧みさはさすがカリオカ、ステージ外でも驚異的な 67歳のプロ・ミュージシャンであることを、あらためて知らされました。
その後、雨上がりの代々木公演でくつろぎの時間を過ごし、楽しみにしていたという買い物のため、渋谷に消えていきました。
そして、夜のショウ・タイム=2回のステージ。
本当に、底なしのエネルギーをもっている人です。
● SAMURAI BLUE PARK
http://samuraiblue.jp/
- アクセス :
http://samuraiblue.jp/fanzone/park/about.html