原田和典の公演初日レポート:
OSCAR CASTRO-NEVES
"BRAZILIAN SONGS & STORIES of BOSSA NOVA CELEBRATION"
with MARCO BOSCO, PAULO CALASANS & MARCELO MARIANO
special guests AIRTO MOREIRA & LEILA PINHEIRO
半世紀もの長きにわたって、心のこもった響きをじっくりと、大切に大切に奏であげてきた“音の詩人”。
それがぼくのオスカー・カストロ・ネヴィスに対するイメージです。
彼の名前が入っているレコードやCDを聴けば、まずハズレをつかむことはありません。それはライヴでも同様です。彼がギターを爪弾けば、それだけで周りの空気が和み、オーディエンスは皆、笑顔になります。
決して派手なことはやりません。これみよがしの技など、出しません。だけど溢れんばかりのメロディがあります。限りなく広がるハーモニーがあります。
この日のステージも、そんな彼の職人芸が満載でした。とにかく、世界が深い。プレイにコクがある。和音の使い方には、うっとりさせられるばかりでした。「ブラジル音楽はもともとハーモニーが豊かなんだよ」という声も聞こえてきそうですが、いまのぼくは、“それはわかる。だけど、オスカーの豊かさはまた一段と格別なのだ”、と胸を張って言いたい気持ちです。熱心なファンの方なら、彼が1960年代、ピアニストとしても素敵な作品を出していることをご存知でしょう。オスカーの頭の中にはたぶん、何十ものピアノやギターが棲んでいてオーケストレーションを奏でているに違いありません。
あまりにも偉大なパーカッション奏者であるアイアート・モレイラがドラマーとして、ステディなビートを刻んでいたのも印象的でした。ぼくは彼のドラミングが大好きで、サンバランソ・トリオや、トロンボーン奏者ラウル・ジ・スーザ(ハウル・ヂ・ソウサ)のレコードをむさぼるように聴いたものです。ジャズ・サンバの最高峰のドラマーだと思っています。そのアイアートが、ボサ・ノヴァを叩く。しかも鮮やかに。それを見聴きしてぼくはさらに豊かな気分を味わいました(彼のパーカッションを満喫したいファンの方も、とっておきのソロ・コーナーがありますのでご安心を)。
むくつけき男たち(失礼)の中に混じって紅一点のレイラ・ピニェイロが出てくると、ステージは花が咲いたようになりました。豊かな声量、巧みな日本語を交えたMCでファンの心をつかみます。オスカーとの二重唱も決まりすぎるほど決まっていました。
飛び切りの職人たちがおくる夕べは金曜日まで続きますが、もう一回見に行っちゃおうかと考えてます。
昨日のライブ映像がこのブログの別ページにアップされるようですので、そちらも是非見てください。
(原田 2009/4/26)
● 4/25 sun. 〜 5/1 sat.
OSCAR CASTRO NEVES "BRAZILIAN SONGS & STORIES OF BOSSA NOVA CELEBRATION
ボサノヴァ生誕50周年祭はまだまだ終わりません!
☆ OSCAR CASTRO-NEVES
1940年生まれ。10代の頃から音楽活動を始め、ジョニー・アルフ、カルロス・リラ、エリス・レジーナ等をサポート。ピアニスト、アレンジャー、作曲家としても数多くの名盤に携わり、ミュージシャン、ファン双方からの限りない尊敬を集め、そのあたたかな人柄も特に人望が厚い。
'80年代には、セルジオ・メンデスと活動を共にした時期もあり、
当店公演は、トゥーツ・シールマンスとの共演、ソニア・ローザとの共演にて過去に登場。
兄は同じくミュージシャンのマリオ・カストロ・ネヴィス、親戚にはカーレース・ドライバーのエリオ・カストロ・ネヴィス、そして、ルイス・アウグスト・デ・カストロ・ネヴィス駐日ブラジル大使。
● ♪ Waters of March (Águas de Março)
ラムゼイ・ルイスがホスト役のあの番組・LEGEND OF JAZZ 出演時の映像。
(ベースはリー・リトナーや渡辺貞夫さんの公演出演でもおなじみ、いつも笑顔がまぶしいジャンピング・ベーシストのご存知 ABE さん)
☆ AIRTO MOREIRA
1941年生まれ。13歳からドラマーとして活動し、“サンバランソ・トリオ”、“クアルテート・ノーヴォ”等で演奏。その後ウェザー・リポートやリターン・トゥ・フォーエヴァーに在籍、ジャズ〜フュージョン系打楽器奏者としても不滅の名声を得る。そのアヴァンギャルドなソロは唯一無二。
クラブ・ジャズでは神様的な存在。フローラ・プリムとの夫婦バンドでの活躍も有名。
♪ (song - unknown : percussion solo)
今回は、ドラマーとして参加ですが、おそらくこのようなパフォーマンス・シーンも飛び出すのでは。
☆ LEILA PINHEIRO
’82年にソロ・デビューを果たし、瞬く間に評価を集めた超実力派。伸びやかな歌声、深い表現力、多彩なレパートリーから“エリス・レジーナの再来”とも呼ばれ、イヴァン・リンスや渡辺貞夫など、数多くのアーティストを魅了している。
♪ Serra do Luar - Ao Vivo