'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , PHAROAH SANDERS - - report : PHAROAH...
2009/07/07
原田和典の公演初日レポート : PHAROAH SANDERS
「夏の大三角形」が光り輝く夜に、巨星ファラオ・サンダースが炸裂しました。
“ジョン・コルトレーンの後継者”、“スピリチュアル・ジャズの王者”、“クラブ・ミュージックのカリスマ”など、いろんなキャッチフレーズで親しまれているファラオ。彼はファン層が広いことでも知られています。先日もぼくは動画サイトで、彼の「LOVE IS EVERYWHERE」が、日本のエレクトロ系グループの曲にサンプリングされている音源を発見しました。もちろん違和感まったくなし、ファラオ・サウンドにジャンルの壁はありません。
「YOU’VE GOT TO HAVE A FREEDOM」、
「THE CREATOR HAS A MASTER PLAN」、
「PRINCE OF PEACE」
などなど、多数の定番があるのもファラオの強みです(ぼくがダントツで好きなのは「THE LIGHT AT THE EDGE OF THE WORLD」です)。どの曲が演奏されるかは、当 日、ステージ上でファラオ自身の意思によって決められます。数多いレパートリーから、そのときの気分で演目が選ばれていくのです。
ぼくが見た初日のファースト・セットは意外や意外、バラードから始まりました。
ファラオのライヴの一発目というと、激しいブロウものというイメージが個人的には強いのですが、このときの1曲目は「THE GREATEST LOVE OF ALL」。
確かモハメド・アリのドキュメンタリー映画の挿入曲で、ジョージ・ベンソンが歌っていたはずです(ホイットニー・ヒューストンのヴァージョンも有名です)。ファラオは’87年のアルバム『A PRAYER BEFORE DAWN』の中でこの曲をカヴァーしていました。それをいきなり生で聴けるとは、なんだかいきなりすごい贈り物をもらったような気分です。
次はメンバー全員のロング・ソロをフィーチャーした「LAZY BIRD」。
恩師ジョン・コルトレーンの曲です。コルトレーン自身の演奏は名盤『BLUE TRAIN』に収められていますが、そこでテーマ・メロディを吹いているのはコルトレーンではなく、トランペット奏者のリー・モーガン。なのでテナー・サックスで聴くこの曲の旋律は実に新鮮です。ファラオとは20年以上のつきあいになるウィリアム・ヘンダーソンのピアノも力強いものでした。
続いては、スタンダード・ナンバーの「A NIGHTINGALE SANG IN BERKELEY SQUARE」。ローランド・カークやデクスター・ゴードンも演奏した、しみじみしたメロディを持つ1曲です。ファラオの美しいロング・トーンが深い余韻を残します。
バラードから一転、次の「JUST FOR THE LOVE」はアップ・テンポのブルースです。
コルトレーンが最初の奥さんであるファニータ(回教徒名ナイーマ)に捧げた曲ですね。コルトレーンの書いたなかでも、おそらくは最も通好みであろうナンバーを持ってくるあたり、さすがファラオというしかありません。
ラストはお祭り気分いっぱいの「AFRICAN HIGH LIFE」。
ファラオは途中、「THECREATOR HAS A MASTER PLAN」の歌詞を歌ったり、ダンスをしたり、ごきげんです。そして最後の最後にサックスのキーをパタパタと動かしてパーカッションのような音を出し、笑顔のままステージから去っていきました。
とにかく何が飛び出すかわからないのがファラオのライヴです。皆さんの聴きたいあの曲は、本日、演奏されるでしょうか。
7/7 Tue. 、七夕 x 満月。。。。今宵、ファラオのパフォーマンスはいかに。。。?
(原田 2009/7/6)
7/6 mon - 9 thu
PHAROAH SANDERS