BlueNote TOKYO

'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , SATORU SHIONOYA - - report : 塩谷哲 ...

2012/04/14

塩谷哲 - SATORU SHIONOYA
塩谷哲 - SATORU SHIONOYA


公演初日リポート:
塩谷哲 with SUPER SALT BAND



先日、チキンシャックのリユニオン・ライヴが行なわれたばかりの「ブルーノート東京」で、またしても黄金ユニットの復活祭が開催されました。

ピアニストの塩谷哲ひきいるSALT BANDがSUPER SALT BANDとして生まれ変わり、約10年ぶりに活動を再開したのです。メンバーは塩谷のほか、田中義人(ギター)松原秀樹(ベース)、山木秀夫(ドラムス)、大儀見元(パーカッション)。ジャズもロックもラテンもJポップも何でもござれの凄腕たち、まさに“SUPER”と呼ぶにふさわしい面々です。

演目はすべて、これまで発表された作品の中から選ばれました。2002年リリースのライヴ盤『LIVE!LIVE!LIVE!』でも演奏されていた「ARE WE SMOKIN' YET」、「IN SEARCH OF YOU」、「あこがれのリオデジャネイロ」はもちろん、“今までほとんどライヴでやったことがない”という「HOME-BOUND TRAIN」(アルバム『88+∞』収録)までもが演奏されました。

それにしても、オーディエンスの皆さんはさすがです。「HOME-BOUND TRAIN」のメロディが流れるや否や、客席がドッと沸きます。「まさかこの曲がナマで聴けるなんて!」という、驚きと感激が入り混じったような声援がバンドに送られました。

ファンを笑いの渦に巻き込む塩谷のMCは今回も健在です。“以前よりはMCを短めにした”とのことですが、しゃべるときの間の取り方、オチのつけ方は実に見事で、それをステージ上で聞いているバンド・メンバーも楽器を抱えて笑い出すほどです。しゃべりは面白く、ピアノ・タッチは美しく、曲はメロディアスでダンサブル。ぼくは塩谷哲のライヴを何度も見ていますが、その都度、本当に爽快なエンターテイナーだなあと痛感させられます。彼のブルーノート東京公演ではオリジナル・カクテルの提供が恒例化していますが、今回の名前は「スーパー甘酒か?」。日本酒、ヨーグルト、塩キャラメルがミックスされた逸品で、ネーミングは大儀見元が担当したとのことです。

2013年、塩谷哲はソロ・デビュー20周年を迎えます。それに向けて、SUPER SALT BANDの新曲制作、新作レコーディングも計画されているとのこと。今後の彼らの活躍が、さらに楽しみになってきました。
(原田 2012 4.13)


● 4.13fri.-4.15sun.
SATORU SHIONOYA with SUPER SALT BAND
☆ 参考:セットリストはこちら


塩谷哲 - SATORU SHIONOYA


'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , SATORU SHIONOYA - - report : SATORU ...

2010/04/28

塩谷 哲-SATORU SHIONOYA
塩谷 哲-SATORU SHIONOYA


report:SATORU SHIONOYA TRIO Live 2010



津軽三味線奏者・上妻宏光との“AGA-SHIO”や、ソロ・ピアノ作品『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』も大好評の塩谷哲が、井上陽介(ベース)、山木秀夫(ドラムス)との最強トリオで「ブルーノート東京」に戻ってきてくれました。

約2年ぶりの登場になりますが、1曲目の一音目から恐ろしいほど息がピッタリです。「この3人は、前世からバンドを組んでいたんじゃないの?」と思えるほどです。塩谷の曲はメロディアスでリズミカルなので、聴いているととても楽しいのですが、随所に“キメ”が盛り込まれていて、演奏するほうはウカウカしていられないだろうな、と思うこともたびたびです。でもこの3人は笑顔をふりまきながら、どんなテクニックを要する曲も余裕綽綽で聴かせてくれます。

前回も十分、気持ちよい気分を味わわせてくれましたが、今回の公演は、より自由度が増しているように感じられました。各メンバーがちょっとしたきっかけを出すだけで音楽の流れが変わっていく、といえばいいでしょうか。CDに収められていたナンバーも、演奏がどんどん長くなって、発展してゆきます。音楽は生き物なんだなあ、と改めて思わせてくれる瞬間です。あえてジャンル分けすれば“ジャズ”となるのでしょうが、なにしろ全メンバーが幅広い活動をしている凄腕ばかりです。彼らの自由な感性を通したジャズは、どこまでも風通しのよい響きに覆われています。新曲「DELICIOUS BREEZE」や、『ソロ・ソルト』に入っている「慈愛(組曲「工場長の小さな憂鬱」より)」のトリオ・ヴァージョンが聴けたのも嬉しかったですねえ。

定評のあるMCも乗りが倍増、というか、ますます磨きがかかっているように感じられました。演奏で唸らせ、楽しませ、MCで爆笑の渦に巻き込む。塩谷哲は才人サウンド・クリエイター、ピアニストであると同時に、すばらしいエンターテイナーでもあるのです。

アンコールでは塩谷が“宇宙人”と呼ぶ盟友・小曽根真が飛び入り参加。塩谷と1台のピアノをわけあいながらすさまじいインプロヴィゼーションを繰り広げました。
とてつもない満足感を与えてくれる塩谷哲トリオの公演は 4/29 まで。お見逃しなく!
(原田和典 2010/4/28)


● 4.27tue.-4.29thu.
SATORU SHIONOYA TRIO Live 2010


塩谷 哲-SATORU SHIONOYA