BlueNote TOKYO

'11 Bloggin' BNT by 原田和典 , SATORU SHIONOYA TRIO - - report : SATORU ...

2010/04/28

塩谷 哲-SATORU SHIONOYA
塩谷 哲-SATORU SHIONOYA


report:SATORU SHIONOYA TRIO Live 2010



津軽三味線奏者・上妻宏光との“AGA-SHIO”や、ソロ・ピアノ作品『ソロ・ピアノ=ソロ・ソルト』も大好評の塩谷哲が、井上陽介(ベース)、山木秀夫(ドラムス)との最強トリオで「ブルーノート東京」に戻ってきてくれました。

約2年ぶりの登場になりますが、1曲目の一音目から恐ろしいほど息がピッタリです。「この3人は、前世からバンドを組んでいたんじゃないの?」と思えるほどです。塩谷の曲はメロディアスでリズミカルなので、聴いているととても楽しいのですが、随所に“キメ”が盛り込まれていて、演奏するほうはウカウカしていられないだろうな、と思うこともたびたびです。でもこの3人は笑顔をふりまきながら、どんなテクニックを要する曲も余裕綽綽で聴かせてくれます。

前回も十分、気持ちよい気分を味わわせてくれましたが、今回の公演は、より自由度が増しているように感じられました。各メンバーがちょっとしたきっかけを出すだけで音楽の流れが変わっていく、といえばいいでしょうか。CDに収められていたナンバーも、演奏がどんどん長くなって、発展してゆきます。音楽は生き物なんだなあ、と改めて思わせてくれる瞬間です。あえてジャンル分けすれば“ジャズ”となるのでしょうが、なにしろ全メンバーが幅広い活動をしている凄腕ばかりです。彼らの自由な感性を通したジャズは、どこまでも風通しのよい響きに覆われています。新曲「DELICIOUS BREEZE」や、『ソロ・ソルト』に入っている「慈愛(組曲「工場長の小さな憂鬱」より)」のトリオ・ヴァージョンが聴けたのも嬉しかったですねえ。

定評のあるMCも乗りが倍増、というか、ますます磨きがかかっているように感じられました。演奏で唸らせ、楽しませ、MCで爆笑の渦に巻き込む。塩谷哲は才人サウンド・クリエイター、ピアニストであると同時に、すばらしいエンターテイナーでもあるのです。

アンコールでは塩谷が“宇宙人”と呼ぶ盟友・小曽根真が飛び入り参加。塩谷と1台のピアノをわけあいながらすさまじいインプロヴィゼーションを繰り広げました。
とてつもない満足感を与えてくれる塩谷哲トリオの公演は 4/29 まで。お見逃しなく!
(原田和典 2010/4/28)


● 4.27tue.-4.29thu.
SATORU SHIONOYA TRIO Live 2010


塩谷 哲-SATORU SHIONOYA