'12 Bloggin' BNT by 原田和典 , TIM ROBBINS - - report : TIM ROB...
2011/08/09
公演初日リポート:TIM ROBBINS & THE ROGUES GALLERY BAND
音楽ファン、映画ファン、いや、エンタテインメント全般のファンにとって必見、必聴のプログラムが始まっています。『ミスティック・リバー』でアカデミー助演男優賞とスクリーン・アクターズ・ギルド(SAG)賞に輝き、主演作品『ショーシャンクの空に』も大評判を呼んだ名優、ティム・ロビンス率いる「ティム・ロビンス・アンド・ザ・ロウグス・ギャラリー・バンド」のライヴが8月14日まで行なわれているのです(11日はオフ)。
みずから監督した映画『ボブ★ロバーツ』や『デッドマン・ウォーキング』ではサウンドトラックに携わっていたティムですが、意外なことにバンドを率いてツアーに出るのは今回が初めてなのだそうです。しかし、歌や演奏は実に手馴れたもの。少年時代から音楽を愛し、ギターを弾くことや歌うことに情熱を注いできたティムならではの、熟達したサウンドを楽しむことができました。どこかの国によくある「人気映画スターが、ちょっと音楽に手を出してみました」という次元とは違います。
ステージの両脇には、ティムの両親の写真がそれぞれ飾られています。左側に位置するのは、母親のメアリー・ロビンス。音楽家、女優として活動しました。そして右側には、ハイウェイメンというフォーク・グループで活躍した父親のギル・ロビンスの肖像が飾られました。ギタローンという大型のギターを抱えた姿は、現在のティムにそっくりです(1963年、アメリカの国民的テレビ番組「エド・サリヴァン・ショウ」に出演したときの写真だそうです)。「この両親がいたからこそ、今の自分があるのだ」ということなのでしょう。
プログラムは、オルゴールが奏でる「AMAZING GRACE」で幕を開けました。つづいて、まったく独自にアレンジされたビートルズ(ジョージ・ハリスン)の「HERE COMES THE SUN」をカヴァー。ディレイを思いっきりかけた歌声に、マンドリンやヴァイオリンの土臭い響きが絡みます。もちろん、アルバム『ティム・ロビンス・アンド・ザ・ロウグス・ギャラリー・バンド』からの曲も「YOU’RE MY DARE」、「TIME TO KILL」、「BOOK OF JOSIE」、「TOLEDO GIRL」などを立て続けに披露。ブライアン・イーノの弟であるロジャー・イーノもキーボード、アコーディオン、フリューゲルホーンなどで大活躍し、トム・ウェイツのカヴァー曲「ALL THE WORLD IS GREEN」では、デヴィッド・コールターのソウ(のこぎり)が効果をあげていました。日本では都家歌六、アメリカのジャズでは故ロイ・ブルックスがよくソウをプレイしていましたが、コールターは前半をマレット(バチの一種)で、後半を弓で演奏し、バンドの音作りに神秘性を付け加えていました。
後半に飛び出した「LIGHTNING CALLS」もアルバムに入っていた曲で、“稲妻が夜明けを呼んでいる”というリフレインがやけに印象に残ります。そして、その曲が終わるや否や、ふたたび「HERE COMES THE SUN」が登場します。稲妻のあとに、太陽がやってくる。曲順までもが映画のストーリーのようだなあ、とぼくは思いました。
(原田 2011 8.9)
● 8.9tue.-8.14sun.(8.11thu.OFF)
TIM ROBBINS & THE ROGUES GALLERY BAND