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TAKUYA KURODA

artist 黒田卓也

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO

1月と7月に開催された「BLUE NOTE plays BLUE NOTE」でも快演を繰り広げたN.Y.在住の俊英トランぺッター、黒田卓也が自身のバンドでブルーノート東京に戻ってきました。MISIAとのコラボで今年の東京JAZZ出演に登場、4日から18日にかけて「MISIA SOUL JAZZ SWEET & TENDER」ツアーを開催中のところにブッキングされたステージです。

共演メンバーはクレイグ・ヒル(テナー・サックス)、アダム・ジャクソン(ドラムス)、ラシャーン・カーター(エレクトリック・ベース)、コーリー・キング(トロンボーン、ヴォーカル)、大林武司(ピアノ、キーボード)。黒田とクレイグは出会って約5年、他のメンバーとは10年来の演奏仲間です。全員、とんでもなく音が太く、陰影豊かです。いわゆるモダン・ジャズのように、一定のパターンに則って順繰りにアドリブが綴られるということはありません。黒田が輝かしい音色で即興を重ねていくと、そこに"ここしかない"というタイミングで他の管楽器がリフを入れ、サウンドの色彩が変わってきたところで第2テーマと呼びたくなる魅力的なラインが登場、次のソリストが登場してまた別のパターンに乗って新たなクライマックスを創出するという感じでしょうか。その間もリズム・セクションは縦横無尽に動き回り、刺激を与え続けます。大林の左手でピアノ、右手でキーボードを操りながらのニュアンスに富んだバッキングにも聴きほれるばかりでした。

「R.S.B.D」は前回の初日ファースト・セットでもオープニングで演奏された曲ですが、今回はトロンボーンを加えた3ホーンズ編成ということもあり、分厚さが格段にアップした実感を受けました。エフェクターを通した音を巧みに用いたソロ、ホーン・アレンジの達人としても知られる黒田の本領発揮というべきアンサンブルに酔わされること必至です。メロウな曲調の中、アダムのアディショナル・スネアが響き渡る「ACTORS」を経て、コーリーの優しい歌声をフィーチャーした「DO THEY KNOW」が登場する流れも絶品。黒田自身も特にお気に入りの1曲であるという「GOOD DAY BAD HABIT」における、語りかけるようなトランペット・プレイも大きな聴きものでした。

息の合った躍動感たっぷりの演奏、そして爆笑のMC(どこの芸人さんかと思うほどです)は、幅広い音楽ファンにアピールすること間違いなしです。『ジグザガー』に続くニュー・アルバムは2020年上旬発売に向けて制作中とのこと。その収録予定曲(まだタイトルの付いていないものもあります)がたっぷり聴けるのも、このライヴの大きな魅力といえましょう。公演は本日まで行なわれます。精悍な6人が繰り広げる圧巻のパフォーマンスを、ぜひ間近でお楽しみください。

(原田 2019 9.15)

Photo by Makoto Ebi

SET LIST

2019 9.14 SAT.
1st
1. RISING SON
2. ABC
3. MALA
4. DO THEY KNOW
5. SWEET STICKY THING
6. THIRTEEN
EC. FOR ALL WE KNOW
 
2nd
1. R.S.B.D
2. BUMPS
3. ABC
4. ACTORS
5. DO THEY KNOW
6. AFRO BLUES
7. GOOD DAY BAD HABIT
EC. SWEET STICKY THING

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