愛を謳うボサノヴァ、現代の桃源郷をみる | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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愛を謳うボサノヴァ、現代の桃源郷をみる

愛を謳うボサノヴァ、現代の桃源郷をみる

活動50年を迎えるマルコス・ヴァーリと
"ジャズ・ソング・バード"と称され
その歌声が皆を魅了する、ステイシー・ケント。
ステイシーの愛溢れるパフォーマンスは
マルコスのアニヴァーサリーに華を添え
心暖まるライヴとなった。

 70歳という年齢を耳にするとき、その容姿と振る舞いを貴方はどのように想像するだろうか?

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ボサノヴァ第二世代の旗手であると同時に、かつてはプロ級の腕を持つサーファーとしても知られ、80年代にはなんとエアロビクスのテレビ番組にまで出演していたというブラジル人音楽家の肉体と精神から成るパフォーマンスは信じられないほど高い水準でキープされており、世代を隔てたファンを余すことなく魅了するに十分過ぎるものであった。

 最新作『マルコス・ヴァーリ&ステイシー・ケント・ライヴ~マルコス・ヴァーリ・デビュー50周年記念盤』からのレパートリーとなる今回の来日セットは、"ジャズ・ソングバード"とも呼ばれるステイシー・ケントが「ベスト・オブ・マルコス・ヴァーリ」と言える豊かなメロディーの連なりを可憐に歌う、温かな情感がジワリとひろがる素晴しいステージに。とりわけ印象的だったのは後半、「ラ・ペティーテ・ヴァウセ」を経て、さらなる「ピグマリオン」で会場全体が穏やかな振り子のリズムに包まれた刹那─ステイシー・ケントと、彼女の夫であるサクソフォニストのジム・トムリンソンが織りなすテーマのユニゾンに、メンバーの笑顔が弾けたのだ。

 誕生以来、数多の愛と恋を謳ってきたボサノヴァは本公演において、二人を愛のモティーフとした。そしてきっと、美しき歌姫を慕うマルコス自身は、そのおもいを恋のモティーフとした。海を越え、時を重ね辿り着いたボサノヴァの現代における桃源郷的一夜に、僕たちは酔いしれたのだった。

LIVE1

photography = Takuo Sato
text = Tomoaki Nakamura

マルコス・ヴァーリ&ステイシー・ケント featuring ジム・トムリンソン
2014.4.18 fri. - 4.22 tue.(4.20 sun. OFF)
Marcos Valle (vo,key,g), Stacey Kent (vo,g), Jim Tomlinson (sax), Luiz Brasil (g), Jorge Helder (b), Renato"Massa"Calmon (ds), [4.18fri., 19sat., 21mon.] Jessé Sadoc (tp,flh), Marcelo Martins (sax,fl), [4.22tue.] Mike Zachernuk (tp,flh), Gustavo Anacleto (sax,fl)

SET LIST
1st
1. PUMA BRANCO/2. THE FACE I LOVE/3. THE ANSWER/4. DRIFT AWAY/5. SUMMER SAMBA/6. MY NIGHTINGALE/7. LOOK WHO'S MINE/8. PASSA POR MIM/9. BATUCADA/10. LA PETITE VALSE/11. IF YOU WENT AWAY/12. PIGMALEAO/13. OS GRILOS/EC. SHE TOLD ME, SHE TOLD ME
2nd
1. PUMA BRANCO/2. THE FACE I LOVE/3. THE ANSWER/4. DRIFT AWAY/5. SUMMER SAMBA/6. MY NIGHTINGALE/7. GENTE/8. LOOK WHO'S MINE/9. PASSA POR MIM/10. BATUCADA/11. LA PETITE VALSE/12. IF YOU WENT AWAY/13. PIGMALEAO/14. OS GRILOS/EC. SHE TOLD ME, SHE TOLD ME
中村智昭(なかむら・ともあき/MUSICAÄNOSSA/Bar Music)
DJ/選曲家/音楽ライターとして「ムジカノッサ」を主宰、渋谷「バー・ミュージック」店主。2013年に新レーベル「ムジカノッサ・グリプス」をスタート。コンピレーションCD『Bar Music 2013』をリリースした。

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