エネルギーに満ちた、サン・ラ・アーケストラの集団即興 | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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エネルギーに満ちた、サン・ラ・アーケストラの集団即興

エネルギーに満ちた、サン・ラ・アーケストラの集団即興

"音の錬金術師"サン・ラの生誕100年。
今もなお輝き続けるコズミックサウンドが
エネルギーに満ち溢れたグルーヴを生む。
ジャズが持つ「即興」の魅力が凝縮された
ワン&オンリーの世界を創出した。

 平穏なスウィング感と奇妙な陽気さが同居するビッグ・バンド=アーケストラの演奏に胸が高鳴った。サン・ラの生み出した音楽の奥ゆきの深さと親しみやすさと楽しいいびつさが、健やかに、ざっくばらんに開陳された。

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 ジャズはもともと形式ばったものではなく、当てずっぽうの異国情緒や未知の観念を各自が勝手に盛り込んできた芸能である、ということをほのぼの伝えてくれた。むしろ音楽だからそれができたのだ、という喜びも感じさせた。12人の楽団員全員による集団即興は、サン・ラ存命時ほど奇天烈ではないが、聴く者に前向きの心根を鼓舞するエネルギーに満ちている。スタンダード曲を無骨に歌い、腕達者な各メンバーが思い思いにソロをまわしていく。ホルンが長々と聴かせどころを作る楽団はめずらしいと思う。パーカッションとドラムスとベースのコンビネーションはしなやかにポリリズミックなグルーヴを生む。

 アーケストラの頭目、マーシャル・アレンは絶えず立ち上がり身体で指揮をとっている。アーケストラの中で一番フリーキーなソロを吹きまくり、ウインド・シンセサイザーを会場中に轟かせたりもするアレン氏だが、今年90歳!とは。驚きを通り越して呆然。「Love In Outer Space」を一緒に歌っていると、このように貴重な"平穏"な空間を後世に伝えていくには不断のおおらかな音楽愛が必要だろう、としみじみ思った。

LIVE1
THE SUN RA ARKESTRA featuring Maestro MARSHALL ALEN
-- 100th Birth Anniversary Celebration of Sun Ra --
サン・ラ・アーケストラ featuring マエストロ・マーシャル・アレン
-- 100th Birth Anniversary Celebration of Sun Ra --
2014.7.4 fri. - 7.5 sat.
Marshall Allen (sax, fl, cl, evi, kora), Noel Scott (sax, vo, per, dance), Charles Davis (sax), Danny Ray Thompson (fl, sax), Cecil Brooks (tp), Vincent Chancey (frh), Dave Davis (tb), Farid Abdul-Bari Barron (p, Moog synthesizer), Tyler Mitchell (b), F.D.Middleton (g), Wayne A. Smith Jr. (ds), Elson Nascimento (surdo)

SET LIST
1st
1.INTERPLANETARY MUSIC/2.SUNOLOGY/3.DISCIPLINE 27 A/4.I'LL WAIT FOR YOU/5.SPACE IS THE PLACE/6.DANCING SHADOWS/7.QUEER NOTIONS/8.ANGELS AND DEMONS AT PLAY/9.WHEN YOU WISH UPON A STAR/10.IN - B - TWEEN
2nd
1.THE SKY IS A SEA OF DARKNESS WHEN THERE IS NO SUN/2.SATURN/3.INTERSTELLAR LOW WAYS 4.BLUE SET/5.SOMETIMES I'M HAPPY/6.STARS FELL ON ALABAMA/7.LOVE IN OUTER SPACE/8.DISCIPLINE 27 B/9.FATE IN A PLEASANT MOOD

photography = Great The Kabukicho
湯浅学(ゆあさ・まなぶ)
育猫歴52年/著述業歴38年の神奈川県横浜市生まれの57歳。好きな食べ物は蚕豆と枇杷。著書に『音楽が降りてくる』、『音楽を迎えにゆく』(ともに河出書房新社)、『ボブ・ディラン〜ロックの精霊』(岩波新書)など。サン・ラの歩みを記した『てなもんや三裸笠』制作中。

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