[公演直前インタビュー]いとうせいこう
緊急事態宣言中の貴重なインタビューが実現!
伝説のライヴの予感!
「いとうせいこう is the poet」が初登場。ダブはダンスは止められない本能の行進!サウンドシステムから流れる言葉・ビート・ダブのエフェクトを全身で感じたい!
interview & text = M.C.BOO
-- おめでとうございます!今回はお子様が生まれるというメモリアル育休前の公演になります。そして緊急事態宣言中での公演にもなりそうですが、率直な今のお気持ちは。
「このバンドでは常にセッションなので、とても楽しみです。特に今回は満島ひかりさんともセッション出来るのでエキサイティング」
-- そもそも今回の公演の経緯は。
「ブルーノートでやれたらという話が出た時に、自分たちダブポエトリーのバンドは音響的にも詩の内容的にも60年代、70年代のジャズにちかしいものを持っていることに気づかされ、是非やりたいと思っていました」
-- 3月にはアルバムが発売されますが、今回はアルバムの楽曲が中心なのでしょうか。
「基本はリリースパーティなのでそうなりますが、ゲストとの曲もたっぷりあるのでライブならではの選曲になっているかと」
いとうせいこう is the poet『ITP 1』
(DIRTY30 Records)
※2021 3.3発売
-- 満島ひかりさんがゲストでマイクをにぎります。参加はいとうさんのアイデアですか。
「共通の知人がいて、以前一緒にやりませんかと声をかけたことがあって、その時は残念ながらうまく話が進まなかったんですが、いつの間にか満島さんがバンマス:Watusiさんと音楽活動をすることになって、あれよあれよという間にもともとの構想に近づきました。音楽と朗読を両方見事に出来る人はなかなかいないので、本当にうれしい限りです」
-- 毎回のライブで音を出す上で、なにか気にかけていることはありますか。
「我々の演奏は最終的にダブエンジニアによって音像に変えられ、観客に届きます。つまり我々は素材に過ぎないので、より印象深いフレーズをより音数少なく奏でることに集中していないといけません」
-- 現代詩、演説、ラップ、引用のフレーズとシャウトがビートにのりダブ処理されていきます。言葉と声を出すスタイル(演説的だったりやサン・ラ的なリーディングだったり)で考えていることはありますか。
「言葉と音楽は、ほぼ必ず歌という形でセッションしますが、私たちはよりメロディの少ない言葉の響きと意味が音とセッションすることになります。飛び飛びに歴史に現れる先輩方のおめがねにかなうステージを心がけます」
-- 曲を聞いてるとメンバーが同じ意識、同じオーラを持ちながら、それぞれの個性が凄く溢れていると感じます。
「決まった演奏を決まった時間するのではないため、お互いの息遣いに気をつけていないと良い演奏が出来ません。その瞬間ごとにベストを尽くすことにも自然になっていきます。」
-- ライブ中に宇宙を感じたことはありますか。あればどんな瞬間でしょうか。
「特に宇宙は感じていないんですが、それは観客席に音が届いた時の印象なのだと思います。がしかし、バンド側のいわゆる中音はもっとクールで肉感的なものです。その相違にも面白みがあります」
-- PA卓とのスリリングなやりとりがいつも最高です。今回はDUB MASTER Xさんがミキサーを操ってエフェクトをかけます。
「30年以上一緒にやってきた仲間なので、あうんの呼吸でダブがかかりますし、お互いにそれを超えるようなプレイをして新鮮な音を出しますので、そのスリルを楽しんでいただくとさらに楽しいのでは」
-- そしてレコード番長の須永辰緒さんも公演前のDJでお客さんを盛り上げます。
「これまた30年以上の付き合いの辰緒があらかじめ観客席を音楽の世界へ引き込んでくれているので安心です。僕が『言葉と音楽』のセッションにおいてラップという形に疑問を持ち、シーンを離れたあと、『朗読とダブ』という方式があると思いついた時、一番最初に組んだDJが辰緒なので、これも必然かと思います」
-- これまでだと"いとうせいこう is the poet"でアルバムを作って、ライブをやって、アナログをきって、そんな活動がイメージが出来るんですが、今後の理想とか夢があれば教えてください。
「演奏が常に違う、読む物も読み方も違う、そういうフリージャズ的な要素を含んだバンドですので、公演が終わったあとすぐに音源が売られるようなサイクルにしたいと願っています。また"ITP"がJB'Sのように独立してダブインストグループになっていく、あるいは様々な人と"誰々is the poet"となって展開していくのも面白いなあと考えています」
-- 急激に変化する音楽マーケットの中で単純なヒットソングを作ろうとは考えていないと思いますが、実際は如何でしょうか。
「こういう形式でポップスは難しくとも、映画や演劇と組んで音を作っていくことは容易に想像出来、またファッションショーや店舗の環境音楽にも向くのではないかと思っています。我々が拡大していくゾーンは意外に大きいのではないかと」
-- 最後に公演や配信を楽しむ皆さんにテーマや見どころがあれば教えてください。
「お客さんが耳を澄ませ、体感してくださっている様子が我々の演奏を如実に変化させますので、どうぞその無言のインタラクティブをお楽しみください」
M.C.BOO- アーティスト、クリエイティブディレクター。BEASTIE BOYSと共演したライブがきっかけでデビュー。その後、脱線3としてアルバム「バチルカ」をリリース。音楽活動と共に近年は秋田県とオランダ国とのアーティスト・イン・レジテンツ、テクノロジーとアートをつなぐバイオミメティクスのプロジェクトも進行中。ストリートカルチャーを多様なフィールドに伝える。
LIVE INFORMATION
☆配信チケット絶賛発売中!!
いとうせいこう is the poet
featuring Special Live Guest 満島ひかり
1st album『ITP 1』リリースLive
at ブルーノート東京
2021 2.27 sat.
[1st]Open2:00pm Start3:00pm [2nd]Open5:00pm Start6:00pm
★DJ : [1st]2:00pm-3:00pm, [2nd]5:00pm-6:00pm
※2ndショウのみインターネット配信(有料)実施予定
※アーカイブ配信視聴期間:3.2 tue. 11:59pmまで
※アーカイブ配信の内容はライヴ配信と異なる場合がございます。予めご了承ください。
<Member>
いとうせいこう(ワーズ)
満島ひかり(ヴォーカル)※スペシャル・ゲスト
Watusi(ベース)
會田茂一(ギター)
佐野康夫(ドラムス)
龍山一平(キーボード)
コバヤシケン(サックス)
SAKI(トランペット)
DUB MASTER X(DUB MIX)
Opening DJ:須永辰緒