【公演直前インタビュー】土屋アンナ
本公演はアーティスト側と協議のうえ、2ndショウを中止し、1stショウのみ行うこととなりました。2ndショウで予定していたライヴ配信も行いません。本公演を楽しみにされていました皆さまには、深くお詫び申し上げます。
初登場から今年で10年
土屋アンナにとってブルーノート東京のステージとは
シンガー、俳優、モデル、作家、映画監督など、幅広い分野で才能を発揮し続けている土屋アンナが、自身の誕生日である3月11日にバースデイ・ライヴ "This is me"を開催する。昨年、ソロ・デビュー15周年を迎えた彼女。コロナ禍によって予定していた公演が中止になるなか、自身のYouTubeチャンネルでカバー動画を公開、さらに11月には配信ライヴを行うなど、精力的な活動を続けてきた。今回の公演でも、"This is me"というタイトル通り、シンガー/アーティストとしての本質をダイレクトに体感できるはずだ。
Interview & text = Tomoyuki Mori
Photo by Tsuneo Koga / Takuo Sato
土屋アンナが初めてブルーノート東京のステージに上がったのは、2011年12月27日。それは彼女のキャリアにおいても、きわめて印象的で、意義深い経験だったという。
「ロック・アーティストとして活動してきた私が、神聖なブルーノートで何を表現したらいいかのかな、ってすごく考えましたね。お客さんはもちろん、お店のスタッフのみなさん、ブルーノート・ファンの方にも喜んでもらいたかったので。自分の曲のなかでも、きれいなメロディの曲、深いメッセージがある曲、影響を受けたアーティストのカバーも用意して、腕のいいバンド・メンバーに支えられながら歌って。歌いかたも変化したと思うし、自分のなかにある引き出しをいろいろ開けた感覚がありました」
その後も、2012年、2014年、2016年、2017年、2020年に公演が実現。
「会場に入って、席に着いた瞬間に"楽しい!"って(笑)。ビッグ・アーティストの演奏をすごく近い距離で聴けるのも最高だし、"音楽が好きだな"って実感できる場所ですね」と、"ブルーノート愛"を語る彼女にとって、この場所で歌うことは特別な意味を持っているという。
「いろんな会場で歌わせてもらってきましたけど、ブルーノートでのライヴはひとつの生きがいになっていますね。ジャズやブルースのイメージもあるけど、ジャンルの枠を決めず、ロック・アーティストの私を呼んでくれることにとても感謝しています」
世界中のアーティストと同様、コロナ禍に見舞われた2020年は−−ソロデビュー15周年の記念の年だったにも関わらず−−多くのライヴが中止に。それでも彼女は、配信ライヴやYouTubeでカバー動画を公開するなど、エモーショナルな歌声を届けてきた。
「こういうときこそ音楽が必要、という気持ちもあったし、でも、自粛しなくちゃいけないこともわかっていて。いろいろな感情が渦巻いていましたけど、メディアやネットを通して歌を届けることができたし、音楽が求められていることを実感できたのは嬉しかったです。カバー動画も"少しでも届けばいいな"と思って始めたんですが、一発目の〈紅蓮華〉は、(自宅で撮影したため)部屋の反響音がすごすぎて(笑)。スタジオで完璧なものを作るのではなくて、"音楽はどこでもやれる"ということを伝えたかったんですよね、あのときは」
今回の公演"This is me"は2021年3月11日に開催。彼女が自身の誕生日にライヴを行うのは、2014年、2016年に続き3回目。今年は震災から10年目の節目の年でもあり、まさに記念碑的なステージになりそうだ。
「音楽はみんなで楽しく盛り上がるだけじゃなくて、心を静めるものでもあると思うんです。3月11日にライヴをやることに対して、"本当にいいのかな"と悩んだこともあるんですが、震災に対する祈りをしっかり込めれば、みなさんにも受け入れてもらえるのかなって。自分の誕生日という喜びの日でもあるので、聴いてくれる方の心を癒せたらいいなと思っています」
「音楽には形がないからこそ、人の心を動かせる」という土屋アンナ。"This is me"と題された今回のライヴでも、彼女は自身のスタイルを貫き、オーディエンスの感情をしっかりと揺らしてくれるはずだ。
「今までと同じように、ロックなスタイルのライヴをやりたいという気持ちは変わってないですね。私自身が歌いたい曲を中心に、きれいな曲、悲しさを表現した曲、深い意味を持ったバラードなどを融合させたいと思っています。震災に対する思いを歌にした〈Melt Into Blue〉も歌いたいし、それに近い存在のカバーも用意したいですね」
最後に、会場に足を運ぶオーディエンスに対する思いを聞いた。
「みなさん、毎日いろんなことをガマンしていると思うんです。自分のことより、他の人のことを考えて行動することも多いだろうし、そのぶん、ストレスも抱えているんじゃないかなって。今回は客席に行ったり、みんなでワーッと盛り上がったりすることはできないけど、ライヴの間だけは何も気にせず、音楽を純粋に楽しんでほしいです。もちろん3・11に対する祈り、大事な人への思いも歌に乗せるので、少しでも気持ちがラクになってくれたらなって。オリジナル・カクテルも用意するのでぜひ。カーッ!と熱くなれるカクテルにしようかな(笑)」
LIVE INFORMATION
土屋アンナ『This is me』
2021 3.11 thu.
Open5:30pm Start6:30pm
<Member>
土屋アンナ(ヴォーカル)
RYO(ギター)
ZEPELI(ベース)
渋谷憲(ドラムス)
公演詳細はこちら→ https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/anna-tsuchiya/