【公演直前インタビュー】小沼ようすけ | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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【公演直前インタビュー】小沼ようすけ

【公演直前インタビュー】小沼ようすけ

二夜連続、対照的なアニヴァーサリー・ステージ
20年の集大成と新たな挑戦!

 巧みなフィンガー・ピッキングでオリジナルな音風景を描き出すトップ・ギタリスト、小沼ようすけ。波乗りを楽しむ彼はギターを手にした途端、独自のウェイヴを作り上げる。風のような軽やかさで世界を巡り、人と場が生んだカルチャーを吸収しながら、しなやかなパフォーマンスで音楽ファンを魅了。気負いを感じさせずにキャリアを重ね、デビュー20周年記念公演をナチュラルな佇まいで迎えようとしている彼に、これまでの音楽人生を振り返ってもらった。

interview & text = Hijiri Kanno

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「自分の奥にある"何か"をずっと追い求めているような20年でした」

 2001年のアルバム・デビューから現時点までを簡潔に表現した小沼ようすけ。その言葉には消えることない音楽に対する高い熱量を感じるが、ミュージック・アドベンチャーの扉を開けたのは中学時代である。

「父が愛用していたギターでBOØWYの大ヒット曲〈Marionette -マリオネット-〉を弾いていたら、プロのギタリストになりたいという想いが湧いてきました。その夢を卒業文集にも綴っていますが、目指していたのはロック・ギタリストです。なんせ、その頃のヒーローはエドワード・ヴァン・ヘイレンでしたからね」

 上京し、音楽学校で本格的に学び始めた彼がジャズにシフトしたのは秋田の実家に帰省した際、父親が聴いていた曲に心を奪われたからである。

「ジョージ・ベンソンがジャック・マグダフと一緒に演っているジャズ・ブルースに大感動。目指すはジャズ・ギタリストだと方向転換したんです」

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2022 4.8
Photo by Takuo Sato

 才能はすぐに開花した。ヘリテージ・ジャズギター・コンペティションの日本代表となり、アメリカで開催された世界大会のステージでプレイしたのが21歳。1999年にはギブソン・ジャズギター・コンペティションで見事優勝!

「この頃から都内でライヴをするようになったのですが、オマさんこと鈴木勲さんのバンドやオルガン・ユニット"AQUAPIT(アクアピット)"に加入したことで本格的にプロとしての音楽活動をスタートさせることができました」

 そして、2001年にアルバム『nu jazz』でメジャー・デビュー。以降、コンスタントに作品を発表し、国内外を問わず精力的にライヴを行い、数々のジャズ・フェスティヴァルにも出演。自身の名義で初めてブルーノート東京のステージに立ったのは2010年のことである。

「フレンチ・カリビアンのリズム隊とコラボしたアルバム『Jam Ka』のレコーディング・メンバーと、その年の3月にニューヨークのブルーノートでライヴを行い、10月に同メンバーとブルーノート東京に出演しました。ハタチ前後から何度も足を運び、世界で活躍するトップ・アーティストのパフォーマンスを間近で体感してきた"聖地"で、初のリーダー・ライヴを行った演奏時の興奮と快感は今も忘れられません」

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2010 10.12
Photo by Takuo Sato

 ブルーノート東京は"憧れであり、夢を実現させてくれる場所"と言葉を続け、こんなエピソードを語ってくれた。

「2011年3月28日、エリック・ミヤシロさんの呼びかけで急遽、開催が決定した〈-Love for Japan- ブルーノート東京オールスター・ビッグ・バンド〉のチャリティ・イベントにゲスト出演した時のことです。公演自体も忘れられない貴重な時間でしたが、終演後、客席で鑑賞していたインコグニートのブルーイに突然、声を掛けられ"一緒に東日本大震災のチャリティ・ソングを作らないか"と誘われました。感激しましたね。そのまま彼の滞在していたホテルに行き、ブルーイが途中まで書いていた曲を一緒に完成させたんです。そして、翌々日はインコグニートのブルーノート東京公演に飛び入りしたんですよ」

 小沼も作曲に参加したチャリティ・ソング「Love Will Find A Way」は、すぐさま国内外のアーティスト総勢21組30名によって録音され配信リリース、収益金は全額、東日本大震災の義援金として寄付されている。ブルーノート東京というスポットがなければ生まれなかった曲に小沼は携わっていたのだ。

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2011 3.28
Photo by Takuo Sato

「音楽家として最も大切にしていることは"縁に感謝"です」

 その言葉を裏付けていると言ったら大袈裟だろうか、6月25日から2デイズにわたって行われる20周年記念公演『Both Sides』の出演メンバーを見ると、両日共に笹路正徳の名前がある。小沼の3rdアルバム『Jazz'n'Pop』(2003年)をプロデュースした彼とふたたびタッグを組みたくなった理由とは?

「笹路さんはすべてを受け止め、そのうえでベクトルをうまく調整をしてくれます。新たな可能性も引き出してくださる、絶妙なバランス感覚をお持ちのミュージシャンだとたいへん尊敬していますが、そんな笹路さんと以前、ご一緒したテレビ番組の仕事で、ストリングス+中島美嘉さん+僕という編成だったことがあり、それが非常に良い感触だったんですよ。笹路さんも帰り際"今度、小沼くんとストリングスを交えたライヴがしたいな"と言ってくださって、その言葉がずっと頭の片隅にありました。そうだ、実現するなら20周年という節目のライヴにしたい、と閃き、笹路さんにオファーしたんです。ライヴの初日は、僕のソロ・ギターと笹路さんがアレンジを手掛ける金原千恵子カルテットとの初共演をお届けします。これまで体感したことのない世界を僕自身が旅できるのではないかと大いに期待しています」

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2019 8.25
Photo by Tsuneo Koga

 翌日の26日は〈エレクトリック・バンド・セット〉と称して、セッション感覚の演奏を繰り広げるとのこと。2日間とも小沼が発表してきたアルバム収録曲から厳選したナンバーを予定しているそうだが、ライヴ・タイトル『Both Sides』が示しているように、間違いなく対照的な時間になるだろう。

 "人生そのものを表現している音楽に僕は惹かれます"と言った彼。自らの半生をギターの音とグルーヴに乗せる2日間。次の10年を匂わすプレイも体感できるはずだ。これは見逃せない。


菅野聖(かんの・ひじり)
構成作家/ライター。23歳からフリーランスでラジオを中心に番組制作&選曲に携わる。CD解説をはじめ、雑誌や新聞、webサイトといった様々な媒体でミュージシャンを中心としたインタビュー記事やコラムなどを執筆。

LIVE INFORMATION

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~デビュー20周年記念~
小沼ようすけ『Both Sides』Live at Blue Note Tokyo
6.25 sat.:ソロ・ギター + ストリングス・カルテット
6.26 sun.:エレクトリック・バンド・セット


2022 6.25 sat., 6.26 sun.
[1st]Open4:00pm Start4:45pm [2nd]Open6:30pm Start7:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/yosuke-onuma/

<MEMBER>
6.25 sat.:Solo Guitar + Strings Quartet
小沼ようすけ(ギター)
笹路正徳(アレンジ、ピアノ)
鈴木正人(コントラバス)
金原千恵子(1stヴァイオリン)
栄田嘉彦(2ndヴァイオリン)
渡部安見子(ヴィオラ)
徳澤青弦(チェロ)

6.26 sun.:Electric Band Set
小沼ようすけ(ギター)
笹路正徳(キーボード、ピアノ)
鈴木正人(ベース)
平陸(ドラムス)

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