【COTTON CLUB】曽根麻央スペシャルインタビュー | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

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【COTTON CLUB】曽根麻央スペシャルインタビュー

【COTTON CLUB】曽根麻央スペシャルインタビュー

日本のジャズ・シーンで異彩を放つ二刀流プレイヤー
ピアニストとしての一面を見せるスタンダードの数々

 トランペットとピアノ、双方の並外れたプレイで大いに注目を浴びる曽根麻央。バークリー音楽大学の修士課程を首席で卒業、"国際トランペット協会ジャズ・コンペティション"優勝をはじめ多数の賞に輝く俊英だ。

interview & text = Kazunori Harada

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「ライヴでは数多くのスタンダードを演奏してきましたが、リリースの機会はほとんどありませんでした。そして、僕のピアニストの一面をキャプチャーした作品も少なかった。そこで、今回"ピアノによるスタンダード・ナンバー"にしっかりチャレンジしようと思ったのが"Plays Standards"シリーズを始めたきっかけです」

 去る2月に発表したバンド編成による力作『Brightness of the Lives』も話題の彼が、7月から月2曲のペースで取り組んでいるのは、スタンダード・ナンバーを題材とする"Plays Standards"シリーズ(12月にかけて6ヶ月連続デジタル・リリース)。9月2日にコットンクラブで開催される公演「曽根麻央 "Plays Standards"」は同シリーズのライヴ拡大版というべき内容で、前半ではソロ・ピアノによる演奏、後半では曽根自身が「最も信頼するピアニストたち」と語るデヴィッド・ブライアント、宮本貴奈との共演で綴られる。

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「"Plays Standards"はピアノ中心のプロジェクトですので、いろんなピアニストの世界を聴いてほしいと思いつき、自分の最も信頼するピアニストであるおふたりに声をかけました。最初は僕のソロ・ピアノから始めて、それぞれとのデュオもあって、ふたりのプレイの上で僕がトランペットを吹くなど、多彩な内容を考えています」

 デヴィッドはヘンリー・スレッギルやスティーヴ・コールマンのユニット、モダン・ジャズ界のリヴィング・レジェンドであるルイス・ヘイズ率いる"ジャズ・コミュニケイターズ"等で鮮やかなプレイを繰り広げてきた奏者。宮本は、ニーナ・フリーロンら数々のシンガーのサポート、小沼ようすけとのデュオ"Double Rainbow"等で名手ぶりを発揮、近年は弾き語りでも評価を高めている。

「デヴィッドは"ザ・ピアニスト"という感じです。アイデアとリズムが素晴らしいですし、僕は彼がビートをロストしているところを聴いたことがありません。複雑なことをプレイしていても、ものすごく正確なんです。彼はもともとクラシックのピアニスト(コンサート・ピアニスト)でもあって、アフリカン・ミュージックの良いところとヨーロピアン・カルチャーの良いところのハイブリッドをこなす、世界的に見ても滅多にいない奏者だと思っています」

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「貴奈さんに関して言うと、貴奈さんも僕も、もともと作曲家なので、"作曲家タイプのピアノ演奏には共通点があって面白いよね"ということをよく話します。僕にとって、デイヴ・ブルーベックやセロニアス・モンクやレニー・トリスターノの演奏は"作曲家のピアノ"、ビル・エヴァンスやオスカー・ピーターソンの演奏は"ザ・ピアニストのピアノ"というイメージです。今回のライヴでは、自分がどこから来たかが、各ピアニストのプレイに出るんじゃないかと思っています」

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 去る7月"Plays Standards"シリーズの第1回として配信されたのは、ヘンリー・マンシーニ作「The Days of Wine and Roses(酒とバラの日々)」と、アントニオ・カルロス・ジョビン作「Wave(波)」。いずれもソロ・ピアノによる、オリジナル・アレンジの演奏だ。

「"スタンダードといえば"というところで、まず〈The Days of Wine and Roses〉を選びました。元は映画音楽ですが、そうしたアメリカン・ソングブックはスタンダード・ナンバーの代表的な部分だと思います。〈Wave〉を配信したのは、夏という季節柄もあります。自分のアレンジを持つのは、スタンダードを演奏するうえで大事なことですが、僕にとって音楽を表現するうえで絶対的に大事なのはダイナミクス(抑揚)です。いつも、立体感を作るように音楽を捉えるようにしています。僕は子供の頃からフランク・シナトラ、ナット・キング・コール、エラ・フィッツジェラルド、メル・トーメなどが日常的に流れている家で育ちました。そうしたヴォーカリストから得た歌心も非常に大きいですね」

 幼少期よりピアノに打ち込み、8歳でルイ・アームストロングに憧れてトランペット演奏を開始。以来、この二つの楽器が両輪になっている。

「僕はトランペットの講師もしていますが、和音を捉えて演奏する生徒はすごく少ないのが実感です。僕の場合はピアノも演奏することで和音が可視化できているので、そこが強みかなと思っています。トランペットを演奏しながらピアノでアルペジオや和音を奏でることに全く抵抗がありませんし、僕のトランペット演奏は僕のピアノの影響を受けています。トランペットは呼吸しないと先に進まない楽器ですが、ピアノはそうではありません。でも僕はピアノを演奏する時でも、管楽器的な"間"を取り入れたいと思っているんです」

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"Plays Standards"は全12曲を配信後、2023年上旬にアルバム・リリース予定。今後の同シリーズを占ううえでも、コットンクラブ公演は見逃せないものとなりそうだ。

「昔から演奏されてきたジャズの曲を、3人のピアニストで聴ける機会は珍しいのではと思います。"音色の違いや、ミュージシャンの違いで曲の印象がこんなに変わるんだ"と、楽しんでいただけると嬉しいですね」


原田和典(はらだ・かずのり)
「ジャズ批評」誌編集長を経て、2005年ソロ活動を開始。米国のジャズ誌「ダウンビート」国際批評家投票メンバー、ミュージック・ペンクラブ・ジャパン理事。代表的著書にソウル・ジャズを特集した『コテコテ・サウンド・マシーン』がある。

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『The Days Of Wine And Roses』
(リボーンウッド)
※デジタル配信

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【コットンクラブ】
☆曽根麻央 "Plays Standards"
with デヴィッド・ブライアント & 宮本貴奈

2022 9.2 fri.
[1st.show] open 5:00pm / start 6:00pm
[2nd.show] open 7:45pm / start 8:30pm
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/mao-sone/

<MEMBER>
曽根麻央 (p,tp)

【Guest】
デヴィッド・ブライアント (p,key)
宮本貴奈 (p,key)

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