text = Kazunori Harada
グラミーに輝くスーパー・バンドが、
スティーリー・ダン『彩（エイジャ）』、エリック・クラプトン『ピルグリム』、ポール・マッカートニー『タッグ・オブ・ウォー』、ポール・サイモン『時の流れに』、リッキー・リー・ジョーンズ『浪漫』、チック・コリア『スリー・カルテッツ』、グローヴァー・ワシントンJr.『ワインライト』、ボブ・ジェームス＆デヴィッド・サンボーン『ダブル・ヴィジョン』など数多くのベストセラー・アルバムに参加。半世紀にわたって完璧なテクニック、至高の音色、他の追随を許さないグルーヴでドラム界の頂点に立つスティーヴ・ガッドが、新春のブルーノート東京をひときわ輝かせる。1月17日と18日はブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ公演にスペシャル・ゲストとして参加、20～21日と23日～24日は現在のマザーシップであるスティーヴ・ガッド・バンドを率いての登場だ。
名門イーストマン音楽院（ロン・カーターやマリア・シュナイダーも輩出）を卒業後、3年間の軍隊生活を経て本格的な音楽活動を開始。'76年ニューヨーク屈指のセッション・ミュージシャン・ユニット "スタッフ"に参加、'80年代半ばからは自身のバンド"ガッド・ギャング"も率いた。'94年から2004年にかけてはエリック・クラプトン、 2010年代に入ってからはジェームス・テイラーのツアー・バンドでも演奏。ガッド・バンドは、テイラーのサポートを務めるメンバーを中心に結成された。
「第61回グラミー賞」でベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム賞を獲得した『スティーヴ・ガッド・バンド』に続く最新作、『スティーヴ・ガッド・バンド アット・ブルーノート・トーキョー』に捉えられている2019 年の公演では、ジョン・レノンやロバータ・フラック作品への参加でも知られるギター奏者デヴィッド・スピノザ、気鋭キーボード奏者のケヴィン・ヘイズを含む顔ぶれで圧倒したガッド・バンドだが、同様に今回のラインナップも大変魅力的なものとなっている。トランペット＆フリューゲルホーンのウォルト・ファウラーはフランク・ザッパのバンドを皮切りにハンス・ジマー、ジャック・ブルース、アンディ・サマーズ等のプロジェクトに参加してきた名手。キーボードのジェフ・バブコはTOTOのサポート・メンバーとしても活動、2018 年から19 年にかけてはクリス・シーリ（パンチ・ブラザーズ）がホストを務めるラジオ番組「ライヴ・フロム・ヒア」でも演奏した。ベースのトラヴィス・カールトンは、父親のラリー・カールトンを筆頭に、スティーヴ・ルカサー、ロベン・フォードなど数々のギタリストに絶妙なバックグラウンドを提供する逸材。トラヴィスと、ロサンゼルスのトップ・セッション・ギタリストであり、ロベンとのツインギター・ユニット"レネゲイド・クリエイション"でも白熱のプレイを繰り広げたマイケル・ランドウとの連携にも鮮やかな化学反応が期待できそうだ。
ガッド・ギャングはR＆B ～ソウル・ミュージック色濃厚なサウンド作りが特徴だったが、ガッド・バンドはジャズ、フュージョン、ロック、ラテン、フォークなどの要素も盛り込んだ、より幅広い音楽性が持ち味。しかも2023年は、ガッド・バンドの結成、そして初来日公演からちょうど 10周年の節目にあたる。このアニバーサリー・イヤーに、凄腕たちがどんなステージを届けてくれるのか。期待は高まる一方だ。
LIVE INFORMATION
スティーヴ・ガッド・バンド 10th ANNIVERSARY TOUR https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/steve-gadd/
2023 1.20 fri., 1.21 sat., 1.23 mon., 1.24 tue.
