【スペシャル・インタビュー】NATE SMITH | News & Features | BLUE NOTE TOKYO

News & Features

【スペシャル・インタビュー】NATE SMITH

【スペシャル・インタビュー】NATE SMITH

ジャンルを超え注目を集めるドラマー/クリエイター
絆から生まれた音楽の限りない可能性

 ジャズのみならず、アメリカの音楽シーンに影響を与えてきたドラマー、ネイト・スミスのライフワークと言っても過言ではないプロジェクト、キンフォークが待望の来日公演を行う。大林武司 "TBN"トリオとして、ベン・ウィリアムスと共に素晴らしいステージを見せたばかりのスミスに、キンフォークの魅力について話を訊いた。

Interview & Text = Masaaki Hara
Interpretation = Kazumi Someya
Photo = Tsuneo Koga

READ MORE

「仲間という絆を感じる同士で集うというのがまずあって、それから音を出したらどんな音楽ができるのだろうか。そこからキンフォークは始まったんだ。最初のライヴをしたのが2013年、レコーディングしてファースト・アルバム『Postcards From Everywhere』を作ったのが2017年。そして、さらに進化して、メンバーも入れ替わり今に至っている」

20220304NateSmaith_image01.jpg

 グラミー賞にノミネートされた『Postcards From Everywhere』は、現代ジャズの土台の上に、R&B、ヒップホップ、ロックなど幼少期の自らの音楽体験を呼び起こすようなメロディーとハーモニーをノスタルジックに紡ぎ出していった。それは、幅広いジャンルの音楽に耳を傾け、影響も受けてきたリスナーとしての彼のストーリーそのものである。

「最初は父が聴いていたラジオだった。ハービー・ハンコックやクインシー・ジョーンズはもちろん、ザ・クルセイダーズやR&Bのインストものに惹かれた。それから、同時代の音楽に興味を持って、ポリスやピーター・ガブリエル、リヴィング・カラーなどに夢中になったよ。そして、プリンスが来たんだ。彼からは多くを学んだ。特に、いろんなものをたくさん出していく姿勢や、バンドを率いて演奏させることで自分の音楽をさらに拡げてみせることに刺激を受けた。優れた音楽家であり、優れたバンドリーダーだね」

20220304NateSmaith_image02.jpg 2022 12.5 mon. @Blue Note Tokyo
TAKESHI OHBAYASHI "TBN" TRIO featuring BEN WILLIAMS & NATE SMITH
Photo by Jun Ishibashi

 キンフォークがメンバー間の緊密な関係性を大切にしたプロジェクトなのは、プリンスのバンドの影響が大きいという。だからこそ、自分がリーダーのジャズ・バンドという枠だけには収まらない音楽性が表れてくる。

「キンフォークでは、最初にミュージシャンのパーソナリティを想定して曲を書いている。こういう音にしてほしいと頭の中で想定してもいるけど、実際に出てくる音は想定を遥かに超えたものになるんだ。みんな優れたミュージシャンだからね。実は、デューク・エリントンもバンド・メンバーのパーソナリティに合わせて曲を書くと言っていた。いま思えば、エリントンとプリンスは、そんなにかけ離れていない。時代が違っただけで、むしろ似ている。共に作曲家として、制限を押し広げようとしてきたんだ」

 また、デイヴ・ホランドやクリス・ポッターのバンドに参加して、彼らの関係性を大切にする姿勢からも学ぶことは多かったという。ジャズからポップスのフィールドまで幅広い活動を続けてきたスミスだけに、キンフォークでは特別な演奏を聴くことができるはずだ。

20220304NateSmaith_image03.jpg

「ジャリール(・ショウ)はとてもエネルギッシュで熱いものを持っていて、かつ知的に演奏できる。フィマ(・エフロン)は余計なことをやらず常に必要なことだけをやる。その姿勢が素晴らしくて、演奏のたびに驚かせてくれるんだ。 ブラッド(・アレン・ウィリアムズ)はメンフィス出身でブルージーなプレイが得意だけど、音楽の百科事典みたいに知識が豊富で演奏の幅も広い。アマ(・ワット)は普遍性のある声で本当にクオリティが高く、作詞家としての才能も発揮してくれている」

 この中核メンバーに今回初めて、大林武司も加わる。「キンフォークは、僕というプリズムを通して優れた音楽が広がっていくイメージだ」というスミスの良き理解者であり、 "TBN"トリオとしてのレコーディングも成し遂げた大林が、キンフォークに何をもたらすのか。それも楽しみでならない。

20220304NateSmaith_image04.jpg


原 雅明(はら・まさあき)
音楽に関する執筆活動の傍ら、ringsレーベルのプロデューサー、LA発のネットラジオdublab.jpのディレクターも担当。ホテル等の選曲、DJ、大学講師も務める。著書『Jazz Thing ジャズという何か』ほか。

LIVE INFORMATION

20220304NateSmaith_image05.jpg

NATE SMITH + KINFOLK

2023 3.4 sat., 3.5 sun., 3.6 mon. BLUE NOTE TOKYO
3.4 sat., 3.5 sun.
[1st]Open4:00pm Start5:00pm [2nd]Open7:00pm Start8:00pm
3.6 mon.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/nate-smith/

<MEMBER>
Nate Smith(ds)
Jaleel Shaw(sax)
Brad Allen Williams(g)
Fima Ephron(b)
Takeshi Ohbayashi(p, fender rhodes)
Amma Whatt(vo)

----------

★ネイト・スミスと大林武司は、ブルーノート東京公演前日、コットンクラブにも登場!
MUSIC of DAVE HOLLAND
presented by TAKESHI OHBAYASHI & NATE SMITH

2023 3.3 fri. COTTON CLUB
http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/takeshi-ohbayashi-nate-smith/

RECOMMENDATION