【JAM vol.219】MAKAYA McCRAVEN
text = Kenichi Aono
マカヤ・マクレイヴン、
約5年ぶりのブルーノート東京公演
21世紀のジャズのアップデートにおいて重要だったのは、なんといってもビートに対する考え方、楽器でいえばドラムであることは多くの人が認めるところであろう。偉大なるモダン・ジャズにとどまることなく多彩なリズムを導入しつつも、聴けば間違いなくジャズであるという近年の作品群はジャズをより自由にしたといえる。このようにジャズの進歩に貢献したドラマーたちだが、そのなかでもひときわ精彩を放っているのがマカヤ・マクレイヴンだ。
1983年パリ生まれ。父はアーチー・シェップやマリオン・ブラウンらとも共演したジャズ・ドラマーのスティーヴン・マクレイヴン、母はハンガリー出身のシンガー、フルート奏者のアグネス・ジグモンディである。幼い頃から音楽活動を行い、2007年に拠点をシカゴに移してジャズやヒップホップのグループに参加。2015年のアルバム『In The Moment』が高い評価を得て多くの人の知るところとなった。ジェフ・パーカー、ブランディ・ヤンガー、ジョエル・ロスらが参加した最新アルバム『In These Times』(2022)では、さまざまな国、地域の音楽文化や歴史をポリリズミックにレイヤーしたシネマティックで詩情豊かな音楽を展開。録音と自身の手によるポスト・プロダクションに7年もの歳月を費やした渾身の一枚は、直近のジャズのなかでも最重要作品といえるだろう。
2018年7月の初来日以来、約5年ぶりとなる今回の公演はマカヤ・マクレイヴンのドラムに『In These Times』にも参加したユニウス・ポール(ベース)とグレッグ・ワード(サックス)、そしてロバート・グラスパーやジェイコブ・コリアーらとの共演でも知られるジャハリ・スタンプリー(ピアノ、キーボード)が加わった4人がステージに上がる。前回の公演はギターを交えたカルテットだったが、今回はギターの代わりに鍵盤楽器が入る編成で、より色彩に富んだパフォーマンスが期待されるところだ。
マカヤ・マクレイヴンが生で叩き出すさまざまなビート、そしてそれに呼応するほかの楽器が放つ音から目と耳が離せないのはいうまでもないが、彼のアルバムの特徴のひとつである緻密な楽曲アレンジやポスト・プロダクションをステージでの演奏でどのように表現するかにも注目したい。また、どんなドラムのセッティングで臨むのかも実に楽しみである。"ビート・サイエンティスト"の異名を持つマカヤ・マクレイヴン。彼の楽曲、ドラムに触れることは、すなわち現代ジャズの最先端を体験すること。全身で音を感じよう。
RELEASE INFORMATION
MAKAYA McCRAVEN
『In These Times』
(XL Recordings / Beat Records)
LIVE INFORMATION
マカヤ・マクレイヴン
2023 4.11 tue., 4.12 wed., 4.13 thu.
[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/makaya-mccraven/
<MEMBER>
マカヤ・マクレイヴン(ドラムス)
ユニウス・ポール(ベース)
グレッグ・ワード(サックス)
ジャハリ・スタンプリー(ピアノ、キーボード)